ピンクフロイドの発電所

毎日寒い日が続くが、太陽が出ているときは、着込んで屋上で読書をしている。そうすると、少し離れた空を飛行機が飛んでゆく。羽田空港に着陸する飛行機が、南風のときには海上からではなく、北から空港に降下してゆくのだ。これは2020年3月からの景色だ。一年たったから、そう珍しい景色でもなくなった。しかし、以前は東京の上空の低いところを飛行機が飛ぶことはなかった。それをみながら、本を読んでいて、ロンドンを思い出した。

ロンドンは、市内から西の方向にヒースロー空港があり、多くの飛行機がロンドンの上空を飛んでいる。だから、飛行機雲の入った写真がたくさん撮れる。

東京からロンドンに向かう際にも、朝ごはんを食べて窓から外を見ると、まず海上にたくさん並ぶ風力発電の大きな羽をみる。あまりにたくさんあるので、船がぶつからないか心配になる。陸上上空をしばらく飛んで、高度を下げ始めると、大きく蛇行するテムズ川が見え始め、ロンドン上空に達する。

ロンドンに通っていたときに、何度目かにテムズ川のそばに、大きな白い煙突が見えた。すぐに、それがピンクフロイドの発電所だと気がついた。

ピンクフロイドの発電所というタイトルは不親切なものだが、意味はピンクフロイドのアルバムのジャケットの写真に出てくる発電所という意味だ。イギリスのバンドと言ってもたくさんありすぎて、どれがいいとは言えないが、ピンクフロイドは5つ選べば必ず入るバンドだ。3つだと自信はないが5つだと必ずだ。どれが好きかと言われても時期によって違うから一概には言えない。ロンドンオリンピック以降は、The Whoが気になっている。

そのピンクフロイドだが、映画のサウンドトラックの「モア」や「原子心母」あたりから意識して聞いていた。よく聞いたのは「原子心母 – Atom Heart Mother 」、「おせっかい – Meddle 」、「狂気 – The Dark Side of the Moon 」、「炎〜あなたがここにいてほしい – Wish You Were Here 」、「アニマルズ – Animals 」あたりだ。中では「Animals」は良く聞いたわけではないが、そのアルバムジャケットが気になっていた。その建物が何かも知らず、実在も知らなかった。それが実在の火力発電所だと知ったのはかなり時間がたってからだと思う。この発電所に豚の形をした風船が浮かんでいるが、豚のキャラクターはピンクフロイドのこの頃の代名詞でもあった。彼らが豚ということではなく、現代文明への風刺として彼が豚と言ったという意味だが。

アルバムのデザインをしたのはヒプノシスで、ピンクフロイドの他の多くのアルバムも彼らの手によるものだ。ユーミンの「昨晩お会いしましょう」も手掛けている。

その火力発電所を初めて見たのは、飛行機の上からだった。その後、何度も撮影に通った。名前は、バタシー発電所で、1983年まではロンドンに電力を供給していた。写真では左の下の方。4本の白い煙突が見える。最初に気がついたのは、この煙突だった。それで、何度目かの時に、カメラを準備して待って、この写真を撮った。

上空を飛ぶ飛行機を見て、ロンドンを思い出した。