携帯料金、値下げだけで良いのか?

日経に「ドコモ料金値下げ」と言う記事が出ている。また、同時に廉価ブランドも導入されるようだ。

菅新政権が発足して携帯電話3社への料金値下げの圧力が強まっている。確かに、2020年の上半期の携帯3社の営業利益は1兆7400億円と言うとてつもない金額で、たとえばトヨタは半期で営業利益が1兆2000億円程度だから、これをはるかに超える利益を三社合計で上げている。

政府のこの値下げ指導は、国民の共有財産である電波を使ってビジネスを行っているわけだから、過度な利益を上げることが望ましくないと言う考えに基づいている。これには異存はない。適正な利益水準を得られるような水準まで料金を下げるべきであろう。ただし、適正な利益水準がどの程度のものかということについては議論が必要だ。

適正な利益水準

携帯電話のネットワークは、国民にとっては電気・ガス・水道と同じように生活のインフラ、ライフラインなので、この維持・補修や次世代の5Gなどの通信施設の整備等にも対応することが、携帯電話会社に求められる。これを含めて適正な利益水準が検討されなければならない。

記事によれば、現行のドコモブランドの値下げが携帯大手3社では初めて行われるようだ。ドコモの今の料金体系では7 GBが上限で使わなかった分は料金が安くなるが、最近の携帯電話の使い方では7 GBでは足りないケースの方が多い。これを超える場合には7,650円と言う定額料金が用意されている。これを引き下げないと多くの人のニーズには対応できないであろう。これを、どの程度引き下げるのか見てみたい。

さらに、ソフトバンクやauの持っている廉価ブランドが導入される。その料金体系で20ギガの料金が3000円程度になるようだ。これも廉価ブランドの他の会社と比べても競争力がありユーザーを集めるだろう。ドコモにとってもの問題はドコモの既存顧客がこちらに乗り換えることだろう。その問題があるので、他社が格安料金で自社の顧客を奪ってきても、これまで廉価ブランドを我慢してきたはずだ。政府の圧力に耐えられなくなったということか。

20 GBで3,000円

廉価ブランドでは、20 GBで3,000円程度と言うことなので、ヘビーユーザではない場合にはこちらを使えば3,000円程度で済むことになる。これは競争力がある。廉価ブランドへのドコモのこの価格での参入で、既存の大手系列2社、Y!mobileとUQや楽天モバイルとの競争が激しくなって、すでに多い、携帯電話会社の広告が増えるだろう。

電気料金はどうか?

携帯電話の料金にばかりに政府の目が行っているが、電力も同じだ。9年前にあの事故を起こして、今でもその対応に莫大な費用がかかっているが、その費用はほとんど政府が対応して、つまり税金で、東京電力自体は3,000億円を超える利益を上げている。これについては、政府は料金値下げと言うようなことを考えていないようだ。東京電力が、3,000億円の利益を上げると言う事は適正なのだろうか。

テレビ局は?

また、同じ電波で言えばテレビ局も同様だ。国民の共有財産の電波を使ってビジネスを行っているが、これについては広告モデルなので、国民は料金を支払ってはいない。ただ、テレビ局が支払う電波使用料は、各社が売り上げている収入に比べてはるかに安いものだ。事業収入に対して1%未満の使用料しか払っていない。このようなビジネスが他にあるだろうか。仕入れ原価が1%未満であれば儲かるのは当たり前だ。

産業育成はできないか?

今の政府の携帯電話会社に対する料金値下げの圧力は、「やってる感」を見せるためのポーズにしか見えない。他の国民の共有財産を使って莫大な利益を上げているビジネスをについては目を背けているのだろうか。携帯電話のネットワークは国民のインフラなので、この維持・品質向上は重要な問題だ。それに、国民や産業の発展に伴うような新規ビジネスに格安でネットワークを提供するような産業育成策もあって良い。モバイルのネットワークを利用した新規ビジネスを募集して、見込みがありそうな事業に携帯電話三社に出資させ、その通信をサポートさせるというようなことだ。このようなことも含めて単に料金値下げではない、携帯電話ネットワーク全体の議論が望まれる