オリンピックのメダルの価値

オリンピックのメダルのオークションでの販売の記事を読んだ。1900 年のパリ夏季オリンピックの銀メダルが1,283ドルだった。種目は射撃。また1956年のイタリアでのコルティーナ・ダンペッツォの冬季オリンピックの銅メダルが3750ドルで売れた。あまり、びっくりするような価格ではない。

しかし、1896年アテネの夏季オリンピックの銀メダルは、180,111ドルの値がついた。知らなかったが、1896年に近代オリンピックが始まった第一回大会には、金メダルはなかった。銀メダルが1位の賞だったのだ。第一回ということで、高い価値があるのかも知れない。

オリンピックのメダルが販売される事はあまりないようだ。やはり、それは自分自身の記録であり、販売して得られる価格よりも、感傷的な価値が高いからだろう。

1984年のアメリカのバスケットボールチームが金メダルをとったときの、メダルの一つが83,118ドルで売れたそうだ。誰がもらったものかは、公表されていない。パトリック・ユーイングではないことは確かだろう。

それは、高い値段だとは言えるが、1936年のベルリン夏季オリンピックでジェシー・オウエンズが取った金メダル4個が1,500,000ドルで売れたことを考えるとわずかな金額だ。このジェシー・オウエンズの金メダル4個の売却価格が今のところオリンピックメダルの最高の記録となっている。

ジェシー・オウエンズは、アメリカと世界の陸上界にとって歴史的な人物だ。1936年ベルリンオリンピックでは100メートル、走り幅跳び、200メートル、400メートルリレーの4種目で金メダルを取った。1936年は、アメリカで黒人差別が当たり前の時代であり、またベルリンオリンピックはヒットラーが白人の優越性を示そうとした大会でもあった。そこでジェシー・オウエンズは、4個のオリンピック金メダルと言う目覚ましい活躍をした。このような背景を考えると、その金メダル4個が1,500,000ドルの価値があると考える人がいても不思議ではない

オリンピックのメダルは、受賞者の名前が刻印されていない。このために出所が明らかでないメダルの価値は下がるそうだ。東京オリンピックの金メダルは、重量556グラムに対して、金は6グラムしか含まれていない。大体1%程度と言うことだ。その金と銀の物質としての価値は大体800ドル程度になると言う

だから、オリンピックのメダルの物質としての価値はあまりないと考えてよい。それを獲得したスポーツ選手本人の努力の証のようなものだろう。しかしそのようなメダルがオークションで売却されると言う事は、理由があるのだろう。

記事の中では経済的な理由とチャリティーへの寄付が多いとされている。ジェシー・オウエンズも、ベルリンオリンピックの後は破産をしたりとか不遇の時代が長く、その頃に金メダル4個も売却されたのだろう。それがコレクターの手を経て今に至り、2019年に1,500,000ドルで売却されたようだ。

オリンピックでメダルを取るのは、血のにじむような努力と自己節制、本人の持って生まれた才能、そして運などいくつもの要素が必要なことだ。それを手放す判断が、難しい事は、実際に売却した本人ではないとわからないだろう。夏季・冬季と1世紀以上にもわたって行われているオリンピックのメダルのオークションでの販売が少ないと言う事は、取ったら本人にしかその価値はわからないし、それを知っている受賞者が手放さないからだろう。

しかし、それをオークションで手に入れようと言うコレクターの気持ちも、私にはよくわからない。出場して成績を残して、受け取った本人以外には、単なる金属の塊にしか思えない。しかしコレクターには違った見方があるようだ。