インテルの今後は?

Appleが11月に発表したMacintoshの3機種は自社製のCPUを搭載している。M1と呼ばれるチップで、これのスピードの速さと省電力性が様々なテストで証明されて、話題になっている。

M1のパーフォーマンス

Appleによれば、インテルの同様のチップに比べ、4分の1の消費電力で2倍のパフォーマンスが出ると言うことだ。このM1チップはArmの技術をベースにして、Appleが自社開発したものだ。その技術は、省電力が重要なiPhoneの開発で培われたものだという。

この自社製のM1を搭載することでインテルのCPUからの切り替えが始まっている。AppleがMacintoshにインテルのCPUを採用したのは2006年で、それから14年間インテルのCPUがMacintoshの心臓部に入っていたわけだ。インテルのCPUが採用されたときにかなり驚いた。と言うのはIBM互換機のウィンドウズがインテルのCPUを使いWintelと言われ、Macintoshの敵陣営の中心だったからだ。Macintoshは独自のCPUをずっと使ってきていたから、ウィンドウズのPCと同じCPUというのは素人の私には、理解できなかった。

AmazonもArmベースに

そしてインテルからCPUを切り替えたのはAppleだけではない。AmazonもAWSと言われるアマゾン・ウェブ・サービスのサーバーのCPUにやはり同じArmの技術を生かした自社製のCPUの採用を始めている。AWSはAmazonが自社のサーバ・センターを外部の事業者に解放して、様々なウェブ上のサービスを提供して始めた事業だが、今では、それ自体が大きなビジネスで、多くの大手インターネットサービス会社が契約している。クラウドだけをとってみても、世界一のシェアを持っている。インターネットの事業を始めるのであれば、AWSと契約すると言うのはデファクトと言っていいほどの位置にある。

このAWSもやはり同様のArmの技術をベースにした自社製のCPUにインテルから切り替えを始めている。Appleの評価テスト同様に、Amazonの新しいチップもスピードの速さが明確に出ていると言う事だ。それからサーバー・センターでは発熱の問題が大きいので省電力になっていると言う事は強みとなる。

モバイルの波に乗り遅れる

Wintelと言われIT業界のデファクトCPUだったインテルも、2007年頃から始まったのスマートフォンの波に乗り遅れ、モバイル用の半導体は製造していない。盟友のMicrofoftも同様にモバイル対応が遅れたことと同じだ。強者は、新しいことがなかなかできないものだ。

ここに登場したのが、イギリスのArmで、ソフトバンクが買収したが既に売却することが決まっている。そういう意味で孫さんの目のつけどころは凄いと感心する。Armの強みの一つは省電力性で、だからこそモバイルに採用されてきた。インテルは、その後起こったパソコンからモバイル・デバイスの流れに乗り遅れたと言える。

ArmベースのCPUが登場したことにより、スマートフォンやタブレットと同様に、多くのノートPCの市場はそちらを採用することになっていくと思われる。Googleのクロームブックは安いノートPCとして人気があるが、やはり省電力を目的としてArmのCPUを採用している。

インテルにとっては、流れは望ましい方向ではないが、AppleのPCにおける市場はせいぜい5から6%だし、クロームブックは主流にはなり得ない。そういうことでPCにおけるインテルの立ち位置は急には変わらないし、アマゾンがArmベースのCPUに切り替わっても、インターネットのサービスが今後もますます増えることを考えると、まだまだインテル・ベースのサーバーの需要は大きい。そして既に動いているシステムであれば、ソフトウェアを切り替える手間の方が大きいので、ハードの寿命が来てもやはり同様のインテル・ベースのサーバーに切り替える方が簡単だ。

遠い将来では、個人使用の様々なデバイスはインテルから切り替わる可能性があるが、業務用のサーバー市場では今後もインテルの強さは、当面は変わらないのだろう。