川瀬巴水

大田区郷土博物館まで川瀬巴水の版画を見に行ってきた。馬込は電車で行くのには不便なので、雨が降っていたこともあり、車で出かけた。雨の土曜日と言うこともあり、環七の渋滞があり30分以上かかった。

川瀬巴水の展示は、10月からSONPO美術館で行われることもあり、新宿の駅にはたくさんのポスターが貼られている。以前より人気のある版画家だが、ブームになるのかもしれない。

今までにも、川瀬巴水のいくつかの作品を見たことがあり、興味を持っていた。しかし、大きな展示を見たこともなかったし、調べたこともなかった。だから、この展示を見に行くまでは、江戸時代の浮世絵版画の流れをくんだ版画家で、江戸時代の終わりから明治時代に活躍した人とだと思っていた。

しかし、そうではなく、大正・昭和に活躍した人で、亡くなったのも昭和30年代に入ってからのことだった。彼が属していた版画は、新版画と呼ばれるもので、江戸時代に廃れた浮世絵の復興を目指して、明治30年頃より始まった運動ということを初めて知った。そして、そのきっかけになったのが、欧米から来日した画家だったらしい。彼らが、版画の技術者と手を組んで始めたのが新版画の始まりだ。

川瀬巴水は、鏑木清方の弟子で、兄弟子の伊東深水の新版画を見て、自身でも取り入れたということだ。

日本各地を旅行して、多くの作品を残している。今まで見ていたのは、夜景の作品が多いと言う印象だった。実際に大田区郷土博物館には多くの作品が展示されているが、やはり夜景のものが多かった。岩国の錦帯橋を描いた作品は日中の明るい光の中のものだし、箱根のサツキの作品も日中の作品だが、これらはあまり心に響かない。もともとの印象が夜景だから受け付けないのかもしれない。

同じ版木を使って、朝夕夜と3つの光を見せる作品もあり興味深かった。それをみると、やはり川瀬巴水の良さは光にあると思う。日中の光では、それは見えない。

良いと思われる作品は、早朝や夕景であったり、夜景だ。その方が光がよく見える。川瀬巴水の良さは、夜や朝夕のわずかな光が描かれている作品が美しい。特に、朝や夕の少し光があたった作品が良い。

撮影は許可されていました。

それと、もう一つ気になったのは、人物が登場するとその遠近感が狂って見えることだ。そうでない作品もあるが、人物の大きさが周りに比べると大きく見え、空間の構成がおかしく見えてしまう。それが、少し残念だ。

川瀬巴水は長く大田区の馬込あたりに住んでいたと言うことで、作品が大田区に寄贈されているようだ。展示されていた多くの作品は大田区共同博物館所蔵のものだったことからの推測だ。

しばらく、この馬込の環七の道路の反対側の山王に住んでいたことがあり、久しぶりの馬込の散歩を考えたら、雨と言うこともあり展示を見た後すぐ帰ってきた。