Facebookの内部告発者

Facebookの内部告発者が、内部の文書をWall Street Journalで公開して、Facebookが自らの利益のために公共の安全を軽視していたことを明らかにした。

この文書によれば、Facebookは自らのプラットフォームがもたらす問題について完全に理解をしていたが、広告収入が落ち込むこと恐れて、修正しなかったようだ。

まず、驚いたのは、Facebookでは誰もが自由に平等に発言できるとされていたが、実は100万人単位の特別の地位にある人については、内容にかかわらず、Facebookの投稿基準を外れていても、自由に投稿できると言うシステムをとっていたと言うことだ。つまり一般の人であれば許されないような、政治や健康に関わるような発言も、何を言っても許されるような特別アカウントがあると言うことだ。

また、Facebookは、その傘下にあるInstagramは、10代の女性の精神的な健康や体型についてのネガティブな影響があることを調査から知っていたが、これの対策を何ら取ってこなかったと言う。今までの議会の公聴会やメディアからの取材に対しては対策を行っていると回答していたにも関わらず、実際は違っていた。

Facebookは2018年に、家族や友人との交流を活発にすると言う目的でアルゴリズムを変更した。しかしFacebookの一部のスタッフは、アルゴリズムの変更はFacebookやそのユーザーが、多くの問題について怒りを持つように仕向けると反対した。しかし、マークザッカーバーグは、問題が起きても、投稿が増え広告収入が増えることを優先して、社内の反対を押し切った。

また、発展途上国においてFacebookが人身売買の被害者を集めるために使われたり、武装勢力による少数民族の迫害、臓器販売やポルノグラフィーに関係する活動に使われたいとするようなことをFacebookの社員が発見したが、Facebookの経営陣はこれ何の対処も行わなかったことも明らかにしている。

マークザッカーバーグ本人はコロナウィルスワクチンの普及に協力すると社内メモで発表していたが、ワクチンについての様々な噂や誤情報を、反ワクチンの活動家がFacebookを使って流すことにより、ワクチン接種の障害になってしまった。結果的にワクチンの普及率は、アメリカは現時点では他の国に比べると低い。内部告発者は、経営者がコントロールできていないと指摘しているが、多くの人の口に戸を立てられないので、この点については同情すべきかもしれない。

内部告発者は、アメリカの時の人になっている。先週末の60 Minutesに登場してFacebookの問題点を指摘し、さらに今日、Facebookが与える10代のユーザーへの影響について議会で証言することになっている。この数年、Facebookの活動が社会に与える影響は、多くの人が懸念していたこともあり、関心が集まっている。

Facebookは2012年に上場し急速な成長を遂げている。今やGoogleについて世界第二位の広告収入を上げる会社となった。その従業員数は毎年平均38%ずつ増えて、今や63,000人を雇用している。Facebookの2021年第二四半期の純利益は約103億ドル、つまり約1兆円、年間に変換すれば純利益が4兆円。これをたった60,000人で達成していることになる。

トヨタ自動車は、連結を含めた総従業員数は360,000人で、年間に2兆円の純利益を上げていることを考えると、Facebookの効率の良さがよくわかる。しかしこれについては、製造業のトヨタ自動車と、自らコンテンツの制作もしないITプラットフォームのFacebookを比べても、意味がない。

Facebookのビジネスは、インターネット上のプラットフォームを作り、そこにユーザーを呼び込んで、写真、動画、文章の投稿をさせるだけだ。これをどう活発化させるかが、広告収入を上げる方法になるため、内部告発者が指摘するように、多くの人が投稿し、多少の偽情報が流れても目をつぶると言うことをずっとしてきたと言うことなのだろう。

Facebookは2016年のトランプ大統領が選ばれた大統領選挙において、個人情報を流出させ、そのデータを使ったトランプ大統領の当選に間接的に関係したこともある。さらに近年は、同じくトランプ大統領の様々な発言を許してきた。これは内部告発者の開示した文書にある通り、一部の例外ユーザーは何を言っても許されると言う事と合致する。

アメリカ議会はFacebookの活動について懸念を示して、マークザッカーバーグを何度も公聴会に呼んで質問している。さらにInstagram Kidsの計画についても10代の女性に与える今のInstagram影響考えて、多くの人が反対をしている。この問題についても、今回の内部告発は大きな影響を与えるであろう。

内部告発者の開示した文書により、Facebookの悪役イメージは完全に定着する。これがどのようにFacebookのイメージやビジネスに影響するのか、現時点では明確には見えない。個人的な予想としては、Instagramをあまり影響受けずに、Facebookについては影響があるのではと予想している。ただし、高年齢者が使うソーシャルメディアは、Facebook以外に見当たらないので、今のユーザー数はある程度減少しても、高齢者は使い続けるのではと予想している。