popIn actionを開発した技術と日本語サービスの限界

2021年のコロナ禍による、多くのもののオンライン化の話を昨日書いた。その中でオンラインショッピングも、様々な購買体験を豊かにするようなシステムが組み込まれると書いたばかりだ。今朝見かけたのは、ユナイテッドアローズがオンラインショップで画像認識AIサービスを組み込んだと言う記事だ。

好みのアイテムを見つける画像検索

この画像認識AIサービスは、popIn Action(ポップイン アクション)と言うサービスで、popIn株式会社が提供するものだ。このpopIn Action AIサービスは、見ている商品と似ているものを簡単に探せる類似アイテム検索機能が搭載されている。この機能は画像認識技術を利用して、見ている商品の色・柄・形・素材などの要素を取得して、類似したアイテムを表示できると言うことだ。さらにスマホやPCに保存されている画像をサイト内にアップロードすると、そのサイト内から類似した商品を表示できる画像検索機能もある。

この機能は、ファッションのECサイトにあると便利と思われる。特に、後者の自分の持っている画像から見たものを探してくれる機能は、自分の買いたいイメージに近いものを薦めてくれるので、買い物をするときには便利そうだ。

ユーザの行動からの協調フィルタリング

通常のレコメンドサービスは、協調フィルタリングシステムで、他のユーザの行動履歴から類似商品を推薦してくれるものである。有名なのは、Amazonの協調フィルタリングシステムだ。「この商品を購入した人はこんな商品も買っています」とか、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」、「他のカスタマーがよく購入する商品」と言うような形で、膨大なユーザの行動履歴から商品の推薦を行っている。ただファッションにおいては、自分の好みが中心になるので、他のユーザの購買や閲覧と言う事はあまり参考にならない。自分の持っているイメージから、類似商品を選んでもらう方が、目的にかなっている。

そういうことで、このユナイテッドアローズが採用したpopIn Actionは、ファッションのオンラインショップにおいては、より良い購買体験を与えられそうだ。

中国語ユーザを対象としたサービス

このpopIn 株式会社のことを知らなかったのだが、もともとは東大発のベンチャーで、2015年に中国のBaiduの子会社と経営統合して100%子会社になっている。画像検索のpopIn Action以外にコンテンツレコメンデーションの機能を持つpopIn Discoveryも展開している。これはメディア向けの機能でBaiduのAI技術を使って、続けて読まれる可能性の高い記事をレコメンドすることにより、そのメディアからユーザが離脱することを防ぐためのレコメンデーションエンジンである。同時に、このpopIn Discoveryは、独自のアドネットワークを持っており、様々なメディアにメディアと同じフォーマットで広告を掲載できるサービスを提供している。

中国のGAFA、BAT

BaiduはBATと呼ばれる中国の大手IT企業の一社で巨大IT

企業だ。BATの他の2社は、AlibabaとTencent。AlibabaはECの巨人だし、Tencentはゲームやソーシャルメディアで有名だ。

中国のBAT3社が持つAI技術やアルゴリズムは中国で開発され、世界中で利用されるようになっている。BATではないがバイトダンスのTikTokももともとは中国の映像レコメンドのアルゴリズムを中心に運営されている。

中国語人口という強み

中国の強みは、1つにはその人口の多さだ。中国語で開発されたサービスは、13億人以上のユーザを対象してビジネスを行うので、多くのユーザの利用から生まれるメリットは、ビジネスの規模だけではなく、そのユーザの利用から得られる知見だ。ここから、AIや様々なアルゴリズムが開発されてくる。これが、英語のサービスだと英語人口の5億人少ししか対象にしていないので、中国語サービスの半分以下になってしまう。当然、日本語のサービスは、中国語のサービスの10分の1以下しか対象にできない。

多言語展開の必要性

このように、膨大な中国語人口を対象にすることにより、中国の BATはインターネットの世界で、資金とノーハウと言う2つの強みで世界に進出を果たした。日本の企業も日本語だけのサービスであれば、事業に限界がある。ノーハウの蓄積のためにも、他の言語でのサービスを始めるべきだ。中国語であれば13億人以上、英語であれば5億人以上、ヒンズー語やスペイン語であれば4億人以上と言うような人口相手のビジネスが可能になる。日本国内は少子化が叫ばれて久しい。ビジネスは数に規定されるので、日本をベースにしても、多言語の展開を考えてほしいものだ。