Homelandシーズン8

Homelandシーズン8を見終わった。ネタバレになるといけないので、詳細を書かない。

印象として、シーズン8は話としては面白いのだが、展開の真実味にやや欠けると感じた。今までのシーズンであれば、目的に向かって着実に手を打っていくキャリー・マチソンの判断がおかしいというのがまず一つ。それから、全シリーズの終着点となるエンディングはやや納得性に欠けると感じた。

とは言え、テレビドラマであり、エンターテイメントとして緊迫感やどんでん返しといった要素が必要だ。シーズン8も、ハラハラしながら見ると言う意味で引き込まれて見る面白さはある。

Homelandシーズン1を見たのが、もうずいぶん前だが、その設定の面白さに引き込まれた。シーズン1は、アメリカでは2011年の公開だったので、私が日本で見たのは、2012年頃のことだろうか?多分、FOXで見た。その頃は、スカパーかケーブルTVのどちらかと契約していた。

ストーリーは、長い間、捕虜になっていたアメリカの軍人が帰国するが、実はテロリスト組織のアルケイダに転向して、テロリストとして戻ってきたと言う設定だ。これが、緊張感を生む設定で、すごいと思った。

捕虜になった軍人は、亡くなったマケイン上院議員のように何年も耐えた人もいるが、洗脳のような形で敵の勢力に共感を持つようになった人もいる。

これは長年の心理学の研究で、認知不協和をもたらす洗脳の方法が明らかになり、決してありえないことではないと言うことがわかっている。ドラマの中でも、転向して帰国したブロディが、どうやって協力者になっていくかと言う事は丁寧に描かれており説得力がある。

このアメリカに潜入した最強のテロリストとどう戦うかと言うことが、主人公のCIA作戦担当官キャリー・マチソンの使命であり、妄執ともなる。彼女は、双極性障害を持つという設定である。この病気を抱えたキャリーの信念に基づいた行動や計略とその失敗と成功がこのドラマの中心だ。誰も信じない中で、目的のために手段を選ばない彼女の生き方が描かれる。キャリーは、ブローディとの間に娘を持つことになり、敵である転向者に対する理解力を持つことも出来た。この辺りの人間のドラマが共感する点だ。そして、娘を持ったキャリーの喜びと苦悩も丁寧に描かれる点が、単にスパイのドラマではなく、人間のドラマにしている点だ。

このブローディが登場するシーズン3までが1つの話である。ある意味、シーズン3で、このシリーズ終わったとも言える。人気が出たので、続編が次々と作られたということか。

この転向した軍人がテロリストとして国の中枢に帰ってくると言う設定は、独自のものではなく、イスラエルのドラマPrisoner of Warをから採られたものだ。そして、シーズン8の最終話のタイトルもPrisoner of Warで、この元になった作品へのオマージュになっているし、最終話でPrisoner of Warの意味も明かしている。

ブローディーの物語が、シーズン3で終わった後、各シーズンは舞台と敵が変わり、キャリーが敵と戦うストーリーが展開していく。

その中では、ワシントンとニューヨークを舞台にしたアメリカ国内におけるキャリーの戦いを描くシーズン6とシーズン7が個人的には好きだ。理由はいくつかあるのだが、このドラマの主要登場人物であるピーター・クインの活躍が見られると言うこともその一つだ。

この8シーズンに及ぶ長いストーリーを支えているのは、様々なアメリカの抱える問題を巧みに取り入れる脚本だが、最終的には主人公であるキャリー・マチソンと、キャリーの上司、ソール・ベレンソンを演じる2人の役者の貢献が大きい。この2人の関係はキーとなってストーリーを支えている。

キャリー・マチソンを演じるクレア・デインズは、デカプリオと共演したロミオ+ジュリエットで有名だが、このシリーズによって役者としての実力を示した。

ソール・ベレンソンを演じたマンディ・パティンキンは、『クリミナル・マインド FBI行動分析課』に出ていたのを見ただけなので詳しくはわからないが、国益のために長期的に考え行動するスパイの老練さを巧みに演じているように思える。

最初にネガティブに評価を書いてしまったが、8シーズン通して楽しめたことも事実なので、非常に良い作品であり印象的な作品と言うことを最後に書いておく。