議会下院GAFA規制の提言

アメリカの議会下院がGAFAを含む巨大IT企業に対する規制を提言するレポートを発表した。このレポートは司法委員会が16ヶ月にわたって調査され、449ページもある。

レポートはGAFAなどが競争を阻害する独占状態にあることを懸念している。対策として事業ごとの分割や、集中状況の監視する機関の創設、スタートアップ企業の買収の規制等について検討すべきだとしている。

実際GAFAにMicrosoftを加えれば、この5社でアメリカの証券取引市場の20%に近い価値を持っている。

これは驚くには当たらない。GAFAのようなIT企業の行っているプラットフォーム型のビジネスは、一人勝ちが発生するようなビジネスモデルである。プラットフォームを立ち上げて、ユーザの参加数が増えれば増えるほどプラットフォームの価値が上がる。一度競争に勝ち抜けば競争相手のプラットフォームの価値はほとんど無になっていく。

これはメトカーフの法則と言われる現象だ。圧倒的に強いプラットフォームを持つGAFAが行ってきた事は、そのビジネスを中心にして事業を拡大してきた。

Googleは、検索でほぼ独占状況を築いたあとで、YouTubeを買収し、無料のメールやドキュメント制作などのサービスを提供している。結果として、そのビジネスの行っていた企業を全て駆逐した。

またFacebookは競合になるかもしれないInstagramを買収したり、事業の拡大のためにコミュニケーションアプリのWhatsAppを買収してきた。

また、同時にその買収したサービスや新規サービスを自らのプラットフォームでプロモーションを行い、ユーザーに体験させ、同種のサービスへの新規参入を阻害してきた。

今回のレポートの趣旨は、いま述べたように、GAFAが行なっていることは、競争関係を阻害しているということだ。この指摘は、確かに正しい。

従来からアメリカは自由主義をとっており独占については厳しい態度であった。国としての競争力の保持のために独占に寛容な時期もあったが、90年代から始まったMicrosoftの独占禁止法違反訴訟は、長く続いた。結果的にはわずかな賠償金で和解が成立しているが、当時から巨大IT企業のビジネスについては規制に積極的な議員が多くいる。

では、今回のこの下院のレポートが、どのようにな取り扱われるか考えると、すぐにはGAFA規制にはつながらない。

今回のレポートをまとめた委員会の中心は下院の民主党であり、下院全体の審議を経て承認されるまではまだまだ超えるべきハードルがたくさんある。

それに下院で承認されたとしても、上院や大大統領の承認が必要になり、今回のレポートの提言通りに進むのはかなり時間もかかるし、可能性も低いと言わざるを得ない。

一方ですでに州のレベルではGoogleに対する独占禁止法の違反訴訟が準備されている。同様にアマゾン、Facebook、アップルに対する訴訟も検討されているのでこれらの巨大IT企業に対するアメリカでの規制の動きはまだまだ止まないだろう。