東京オリンピックの勝者はTikTok

東京オリンピックは、日本では記録的な金メダルと総メダル数で盛り上がった。テレビの視聴率も軒並み好調だった。NHKのEチャネルが、サッカー男子3位決定戦の「日本×メキシコ」が放送して、平均世帯視聴率が13.45%を取り話題になったりしている。

しかし、アメリカでは、視聴率が低く、放送したNBCユニバーサルは広告主に低視聴率の埋め合わせの無料広告の補償をおこなっている。大会初日は、通常放送とストリーミング合わせた数で1,590万人とリオオリンピックから32%も低下した。その後も同じような状況で回復する事はなかった。時差も東海岸で13時間とリオデジャネイロに比べ大きいことから、視聴率の低下は予想されていた。しかしこれほど大きいとは想定していなかったようだ。

だが、低視聴率の問題は時差だけではない。コロナも関係している。アメリカで最大のイベントであるスーパーボウルも2021年は、過去14年間で最低の視聴率を記録している。コロナで、アメリカでは毎日まだ500人以上の死者がでている状況では仕方ないだろう。

そんな中で勝者は、TikTokだった。Androidのユーザにおいて、オリンピック期間中の7月23日から8月2日まで2,760万人のアクティブユーザーを記録して、この期間だけで4%も増加した。

今回のオリンピックでは、有名選手たちがTikTokを使って様々な動画を投稿した。有名になった段ボール箱のベッドや洗濯物の動画が動画が共有されて、大きな話題になった。まさに、競技以外の非公式放送局はTikTokになったかのようだ。

今回のオリンピックで、IOCはSNSやスポンサーシップの規則を少し緩めている。

オリンピック選手は、オリンピックスポンサーと独自の契約をできるようになった。これにより、オリンピックスポンサーは、オリンピック選手を使って、様々な活動ができるようになっている。

しかし、非オリンピックスポンサーには、オリンピックの数日前から数日後まで、オリンピック選手を使った活動はできない。オリンピック選手は、自身が契約していても、オリンピック関係以外の会社に「ありがとう」というメッセージを1回だけしか送れない。しかも、その会社の用具やウエアなどで、良い成績を取れたというような東京オリンピックに関係する内容は発信できない。

非オリンピックスポンサーは、オリンピック選手を起用した広告を、90日以上市場使っていれば、オリンピックとの関連を出さずに、極端に多い量をオリンピック期間中に露出しなければ使い続けることができるようになった。これによって、非オリンピックスポンサーもオリンピック選手を使った広告の道が開かれている。これは、良いことか悪いことか。一般の人には、オリンピックスポンサーと非オリンピックスポンサーの区別がつけにくいので、誤認を生み、オリンピックスポンサーの価値を下げる可能性があるが、少なくともオリンピック関連の露出を増やすことができる。

パンデミックに対応した変更なのか、今後も適用されるのか不明だが、前回大会よりやや柔軟になっている。

SNSも上記のスポンサーへの言及がなければ柔軟になっている。オリンピック選手たちが投稿する様々なビデオはTikTokで1,000万回以上も再生されたものもある。アメリカのオリンピック選手団は600人にものぼるから、オリンピック関連のTikTok上の動画の数の話もかなりのものだろう。

また、多くのオリンピックスポンサーや、非オリンピックスポンサーが、新しいルールに基づいたキャンペーンをTikTokを使って行っている。TikTokは、ユーザーの増加以外に広告でかなりの収益を上げたと思われる。

TikTokだけではなくYouTubeも健闘して多くの広告主がYouTubeで広告を流した。オメガのオリンピックの広告は5,500万回見られ、2万5000の「いいね」を獲得している。P&Gの広告も300万回視聴された。TikTokもYouTubeもNBCユニバーサルのように放送権料を支払っていないが、大きな恩恵を受けたようだ。

ウイズ・コロナ(With coronavirus)のスポーツ

2020年のスポーツは、コロナ禍の影響で開幕が大幅に遅れた。ようやくサッカーとプロ野球は無観客の6月開幕から、7月に入って人数制限などの感染症対策を行なって観客を入れるようになった。人数制限は、サッカーが収容人数の50%か5,000人の少ない方、プロ野球は5,000人。大相撲も3月場所は無観客、5月場所は中止だったが、7月場所は収容人数の4分の1の観客なので2,500人で行われた。

問題はこれがいつまで続くかだ。同じような状況が来年まで続くと今年の10月に判断されれば、オリンピック・パラリンピックの開催の是非にも発展する。オリンピックの場合には世界全体の感染状況が考慮されるので、国内のスポーツとは視点が変わるので、今の世界の感染状況を考えると不透明だ。

オリンピックも同様だがスポーツの収益源は下記のようなものだ。

  • 入場料
  • スポンサー権利料
  • 放送権料
  • マーチャンダイジング・ロイヤリティ

スポーツやチームによって、この比率が変わってくるが、入場料収入が主要なスポーツ団体の収益源であることは変わらない。これが、制限されることになるとスポーツ団体の収支には大打撃だ。

コンサートなどはオンライン・ライブなどを行って収益の確保を行なって(単純な金儲けではなく、チャリティやファンサービスという目的もあるが)成句している。感染症の影響でコンサートが中止なる中、有料か無料か別にして多くのアーティストがオンラインライブを行なっている。

では、スポーツも入場料収入の落ち込みをカバーするためにオンライン観戦を販売という方法も考えられるが、これは放送権とも絡んで実現するのは難しそうだ。テレビ視聴とオンライン視聴はゼロサムゲームだから放送権を持っている方はなかなか許可はしない。

オーバー・ザ・トップ(OTT)で動画などが通常に見られる環境だから、スポーツでも可能だが、従来のテレビ放送の契約が邪魔をする。それにJリーグはすでにDAZNとOTTで契約済みだ。そうなると、放送権とは別の権利で試合を楽しめるような方法を開発して、その権利を切り出すということを考えなければいけないが、言うほど簡単なことではない。

コロナのワクチンが来年には実用化されるという話も出ているので、この入場料収入の制限が短期的なものか長期に渡るのかわからない。しかし、どちらにせよ、OTTの流れが来るので既存のテレビの放送との棲み分けの問題はコロナの制限があろうとなかろうとスポーツ団体が考えなければいけない問題だ。