民主主義のインフラとしてのインターネット

緊急事態宣言が発出されての週末、感染者数が急増中だ。この二日間とも8,000人程度の新規感染者が報告されている。また、重傷者や死者も多い。このまま、諸外国の様な感染状況になるのか、不安になる。ファクターXはどこに行ってしまったのだ。

アメリカでも、一時は少し落ち着いていたが、事態はまた悪化している。これは日本と同様で、クリスマスのころの人の活動が影響して、この時点で感染者が増加しているのだろう。1月8日には、1日で30万人を超える新規感染者が出て、死者も3,895人と言う、今までの中でも高い数値に戻った。アメリカでは、ワクチンの接種が始まっているが、事態は簡単に収まりそうにない。

そんなコロナ禍の中で、アメリカの政治も混乱している。あと10日余りで、バイデン新大統領の誕生と言うタイミングでの、国会議事堂への暴徒の乱入と言う、あまり他の国では見ないような事態がアメリカで起こった事は驚きだ。しかも、その騒ぎの中で警官の発砲により、警官も含めて5人の死者が出た。アメリカの歴史の中でも今までにない汚点となるだろう。気ねし大統領の就任演説とか、2大政党による政権の移行などを見てきている外国人としても、アメリカの民主主義はどうなったかと不思議に思う。

この暴動を煽動したとして、トランプ大統領のソーシャルメディアのアカウントが停止された。Twitterはトランプ大統領を永遠に締め出した。そして、Facebookはトランプ大統領の任期の終了までアカウントを停止する決定をした。 トランプ大統領やその周辺からは、この2社の決定がアメリカ合衆国憲法修正第1条の表現の自由を定めたに違反するものだとして非難の声が上がっている。多くの法学者は、憲法修正第1条は、政府などの公的機関の行動を制限するもので、民間企業のアカウント停止などの行動を規制するものではないとしている。自由の国アメリカでは、憲法修正第1条は侵すべからずあるものとして非常に優先順位の高いものだ。日本においても同様だが、表現・発言の十は民主主義の基本である。

Wikipediaによるとアメリカ合衆国憲法修正第1条は以下の様になっている。

議会は、国教の樹立を支援する法律を立てることも、宗教の自由行使を禁じることもできない。 表現の自由、あるいは報道の自由を制限することや、人々の平和的集会の権利、政府に苦情救済のために請願する権利を制限することもできない

Wikipedia

大統領による暴動の煽動と事態の発生や、今後の政権の平和的な移行を妨げる恐れを考慮して、TwitterとFacebookが、トランプ大統領の発言を封じることを決めたということの様だ。当然この決定には、両社の弁護士等との確認によって行われているものだろう。実際、報道によると、両社の決定は、発言の自由を保証した憲法修正第1条には抵触しないとされている。それは、ソーシャルメディア 企業が民間だからである。

ソーシャルメディアが、特定の個人のアカウントを排除するアカウントを排除すると言う事は、アメリカの憲法や法律において問題がないということだが、これは、非常に危険な力をソーシャルメディアに与えるものである。FacebookやTwitterのように広く普及したプラットフォームは、民間企業であっても、発言の場としてある種の公的な意味合いを持つようになっている。ここから、特定の意見を持つ人を排除する権利をソーシャルメディアの企業が持つこと自体に、問題がある。しかも、それは議会などの公的な機関の確認を受けずに行える点で、ソーシャルメディア企業に最終的な決定権があるからだ。

もちろん、トランプ大統領が、TwitterやFacebookのアカウントを使って、政権のスムーズな移行を妨げるリスクがある事は妨げる妨げるリスクがある事は理解できる。しかし、ソーシャルメディア企業が独自の判断で、個人の発言を封じることが問題になる。今回のトランプ大統領と言う特殊な個人による、暴力を誘発するような発言は、問題以前なのだが、これが少数者の政治的な発言で、それをソーシャルメディアと言う民間企業が封じるような事はあってはならないからだ。

インターネットは、個人であっても、大企業であっても、政府であっても1個の発言者として議論に参加できるという点で民主主義のプロセスを自由化した。このインターネットという民主主義を保障するインフラを壊してはいけないということが、今朝、思ったことだ。