便利が不便になること

スマートフォンは我々の生活の中心にあり、もはや単なるデバイスとは呼べないほど、日常生活において身体の一部となっている。これこそ、マクルーハンが言う体の機能の延長と言っていいようなところまで進化した。便利な反面、プライバシーの流出や、社会や友人仕事との接続状態が続き、平穏な日常生活を乱す元凶となっていると言うこともできる。

このリスクに対して、スマートフォンの開発者であるAppleやGoogleは新しい機能を追加して、ユーザに様々な選択肢を与えるようにしている。

まず、気が散ることの要因となる、外界から通知に関して、Appleは秋にリリースされるiOS 15において自分の状態を外部に知らせる機能を追加する。Do not disturbというボタンで、邪魔しないでと言うようなステータスを外部に発信することができるようになる。このボタンには、Work やSleepのような状態を知らせたり、仕事で締め切り間近のOn deadline を外部に表示できるボタンもある。また、仕事中は、会社の上司や同僚以外からの通知を表示させない機能もある。これの機能により、友人や同僚は、急ぎでないメッセージを後で送ることを選択するかもしれない。

AppleのiOS15では、この状態を知らせる機能以外にもFaceTimeがAppleユーザ以外のAndroidユーザにもつながることができたり、Zoomのような会議もできるように進化する。また、LiveTextはカメラがAIにより進化して、写真の文字情報を読み込んで、電話をかけたり、送り状の番号から配送状況がわかるというように、番号などをタイプしなくてもすぐにわかる機能が追加される。

Appleは、4月にリリースされたiOS 14.5において既にアプリによりトラッキングされないことを選ぶ機能が追加されたが、さらに個人情報の共有状況が簡単にわかるダッシュボードが追加される。これにより、希望しない個人情報を共有を発見すれば、すぐに対応できるわけだ。

Googleは広告事業主体の会社なので、アプリによりトラッキングされることを防ぐことを積極的に行っていないが、プライバシー・ダッシュボードと言う機能を追加し、何のアプリが何時にカメラにアクセスしたとか、別のアプリが位置情報を何時にアクセスしたと言うような、個人情報のアクセス状況が簡単にわかる仕組みを導入する。

便利になったことの反面で、便利すぎて個人の時間や情報が盗まれる状況の改善ための様々な機能だが、いっそ全部やめれば、何の心配もいらないが、それでは、生活や仕事が成り立たなくなる。厄介なことだが、そのトレードオフのバランスの中で生きてゆくしかないのだろうか。