Facebookの法廷闘争始まる

アメリカ連邦取引委員会と48の州が、Facebookに対して、自由競争妨害したとして独占禁止法違反の訴訟を起こしている。自由競争妨害する方法として競争相手を買収すると言う方法をとったと指摘して、その例としてInstagramを約1000億円で2012年に買収したこと、さらにWhatsAppを約2兆円で2014年に買収したことをあげている。この連邦政府と各州の訴訟は、Facebookにとっての最悪のケースは会社の分割につながる。

Facebook の売上は約7兆円

広告の分野でインターネット広告は急速に伸びている。日本でも、2019年にインターネット広告がテレビ広告を追い越したことが話題になったが、アメリカでは先行して同じ状況になっているし、世界で見ても同様だ。そして、このインターネット広告の市場は、GoogleとFacebookの寡占状態にある。FacebookはGoogleについて2位だが、2019年でFacebook の売上は約700億ドル(約7兆円)だが、このほとんどは、広告の売上である。Facebookによる買収後、InstagramやWhatsAppも個人データを広告に利用開始し、ここからの収益が大きくなっていたことも急成長の要因の一つになっている。

ケンブリッジ・アナリティカへの漏洩疑惑

今回のFacebookへの訴訟や、他の大手IT企業に対する調査、訴訟の遠因は、2016年のトランプとヒラリー・クリントンの大統領選挙時のSNSデータを不正に用いて、広告を行い、選挙結果に影響を与えたという疑惑にある気がする。この時に、トランプ陣営の選挙コンサルティングを行ったのは、ケンブリッジ・アナリティカだが、彼らはFacebookから漏洩された個人データを使って、広告活動を行ったと言われている。この個人データの漏洩疑惑が、プライバー保護に対する不安感を高め、それが、膨大な個人データを保有する巨大IT企業への不信感に繋がっている。

GAFAに対する調査

自由競争を標榜するアメリカでは、独占禁止法をめぐる訴訟がよく起こる。最も有名なのはMicrosoftをめぐる長期にわたる法廷闘争だ。IT企業の4社Facebook、Google、Amazon,、Appleに対して調査が行われて、議会でもリモートで証言を求められている。それぞれ事業領域が違っているが、単にIT企業と言うだけで標的にすると言うのもいかがなものかと思う。アメリカ的に言うと、巨大な企業は何らかの市場に対して、競争の障害になるというような信念があるのだろう。

すでに承認済みの取引

Googleに対しては、すでに10月に司法省が独占禁止法違反の疑いで訴訟を起こしている。今回のFacebookに対する連邦取引委員会と48州の訴訟は、簡単には結論が出ないことが予想される。Microsoftのケースでも10年以上争った上に、最終的に和解している。今回、競争妨害の例として挙げられているInstagramとWhatsAppの買収についても、民主党のオバマ政権時に承認された取引である。後から覆すと言うのは、後出しジャンケンというか、あまり腑に落ちない握手と個人的には思う。

Facebookはモバイル対応に遅れていた

インターネットの世界は常に変化している。技術もユーザーも起業家も常に新しいことを求めるからだ。変化は常と考えるべきだ。Facebookが、InstagramとWhatsAppの買収を行った2012年や2014年は市場や環境が大きく変化していた。Facebookが圧倒的に強かったPCにようるソーシャル・メディアという競争力が、スマホの普及とモバイル化によって崩れつつあった。競争相手潰しという側面も大きいが、求めていたのはモバイル対応のビジネス拡大だったとも想像できる。どんな企業も新製品や新市場による成長を意図しているものだ。同様に、モバイル対応だけではなく、バーチャルリアリティ(VR)企業、Oculusを20億ドル(約2000億円)で買収している。これも、VRの市場が拡大すると読んで対応したと思われる。これも、広告から得る莫大な収益を投資するという健全な企業経営だ。

連邦政府や各州との法廷闘争がどうなるか。Facebookが分割されるのか。興味はあるが、私が賭けるとしたら、Facebookの負けはないという方だ。