YouTube Shortsの広告キャンペーン

東京オリンピックでは、TikTokが人気を集め、選手も含めて動画投稿が行われた。その動画が人気を集め、TikTokが金メダルとも言われた。

この数年短い動画は人気を集め、そこに好きな音楽をつけられるTikTokが流行となり、動画投稿の代名詞がTikTokとなった。

何かが流行ると、競合会社も同じような機能を追加するのがソーシャルメディアの常だ。Instagram SnapchatがTikTokを模倣した機能を追加するのと同じように、YouTubeも2020年9月にYouTube Shortsをインドで開始していた。それが今回世界展開となったわけだ。

YouTubeは、YouTube Shorts を、7月13日に世界100カ国以上に広げて全面公開に踏み切った。このYouTube Shortsは、複数の動画をつなぎ合わせるマルチセグメントカメラ、音楽をつける機能、速度設定を変えられる嫌い動画作成機能などが使える。今回のグローバル展開で新たに追加された機能は、特定の場所でのテキストの追加、自動キャプション追加、最大60秒までの動画投稿、ギャラリーからのクリップ追加、フィルター機能などだ。これによりTikTokと変わらない動画の投稿が世界中で行える。逆に言うと、TikTok を超える部分がない。

YouTubeがTikTokに追いつけるのか。今後の展開を見るだけだが、どのような商品でもそうだが、先行者のブランドイメージが強く、音楽のついた短い動画投稿と言うジャンルでは、TikTokのイメージが圧倒的で、YouTube Shortsがブランドイメージを変えるのはなかなか難しい

それを意識して、YouTubeはグローバルで、YouTube Shortsのためのキャンペーンを開始している。これは完全にTikTokを意識したYouTubeのブランドイメージ変更キャンペーンその中でShort side of YouTubeと題してYouTubeのモバイルサイトやアプリで縦長の60秒以下の動画を投稿する際の、音楽の種類の豊富さを紹介している。

使える音楽として、The Weekndの “Take My Breath”、BTSの “Permission to Dance”、Camila Cabelloの “Don’t Got Yet “など、人気アーティストを紹介している。YouTubeは、Universal Music Group、Warner Music Group、Sony Musicなどの大手音楽企業と契約して、使える音楽の豊富さを訴える戦略のようだ。

TikTokは以前音楽の著作権問題でトラブルが発生して全米音楽出版協会が著作権侵害で提訴すると発表するような事態もあったが、すでに各音楽団体、企業と契約を提携して、様々な音楽が使えるようになっている。今回YouTubeShortsが発表したような音楽については、TikTokでも同じように使える。だから音楽と言う面ではYouTube上に、TikTokに対する競争力は無い。だからそれを広告キャンペーンで使うと言う音は同じことができますよと言う程度の事だ。その程度ではTikTokの牙城を崩すのは難しいであろう。

個人情報保護法とサードパーティクッキー

TikTokのアメリカでの騒ぎは個人情報の保護や国家安全保障という面が建前では強調されているが、米中の新冷戦の一貫だ。それでも、個人情報保護については関心が高い。日本でも個人情報保護法の改正法は6月5日に成立、6月12日に公布された。

日本においては個人情報の取得の際には利用目的も含めて本人に通知することが義務付けられている。GDPRでは同意が義務つけられているが、日本ではそこまでは厳しくはない。

クッキーはそれ自体は個人を特定する氏名や住所の情報を持たず、ブラウザを特定するだけなので個人情報に当たらないとされてきた。しかし、「他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの」が個人情報に当たると個人情報保護法により規定されたために個人情報として取り扱うことが当たり前になってきた。現在のデジタルマーケティングでは、データの蓄積によりクッキーと個人情報が紐付いていくのは自然な流れだからだ。

どのサイトでもクッキーの取り扱いには慎重になっていて、サイトにアクセスした段階でそのサイトのクッキーの規約に同意を求められるのが普通になっている。しかし、どれくらいの人が同意するのか、また本当に規約を読んで同意・不同意を決めているかよくわからない。私自身いついて言えばあまりちゃんとは読んでいないが、読むと多くのサードパーティにクッキーの情報が提供されているのがよくわかる。ほとんが広告ネットワークのためのものだ。

インターネットでの広告は、このサードパティ・クッキーによって成立している。この情報をもとにターゲットを識別したり、履歴で広告を配信しているわけだ。Appleはそのブラウザのサファリで2年前にITP(Intelligent Tracking Prevention)を導入して24時間以上のクッキーの保持ができなくなっている。さらに最初はサードパーティだけだったものが、今は自社、つまりファーストパーティのクッキーについても同様になっている。ブラウザのシェアではサファリは10%を切っているので、全体の広告に影響を与えるものではなかった。しかし、Googleも今年の初めにChromeのクッキーをサードパーティ・クッキーのサポートを2年以内に打ち切ると発表した。これは、Chromeの80%を超えるシェアを考えると大きな問題だ。インターネットの広告を支える緻密なターゲッティングや行動履歴に基づく李マーケティング の広告ができなくなるからだ。

2年という余裕の時間の中でインターネットにおける広告のあり方を間なければならない。それができないと、また20世期の4マス媒体の広告のように、この枠やコンテンツのターゲットは・・・というように大雑把なターゲッティングに戻ってしまう。しかし、個人情報保護とかプライバシーなどの大きな流れを考えると仕方ないことかもしれない。