生誕100年 石元泰博 写真展

石元泰博の生誕 100年を記念する写真展のために初台から恵比寿まではしごした。今回の写真展は、2021年に高知で行われるものも含めて三会場で行われる。

東京都写真美術館と東京オペラシティーアートギャラリーは相互割引を行っているので、半券を持っていくと一方が割引になった。同じ内容でなくても都内で美術館や博物館が協力して行えば活性化してよいと思う。マーケティングで言うところのクロスセルだ。

桂離宮とか、雪が降ったシカゴや渋谷の人物、落ち葉、新聞が飛ぶシカゴの公園など、なじみのある写真をまとめて鑑賞できた事は良かった。でも大規模な回顧展と言うことで、両方合わせて今まで見たことのないシリーズの作品を鑑賞できたことが良かった。

石元泰博と言えばモノクロ・プロントと言うイメージがあるのだが、カラーの作品もあって、中でもびっくりしたのは、「食物誌 包まれた食物」シリーズ。ポラロイドで撮られたと言う色調とラップに包まれた魚や野菜の生々しさが、素晴らしい文明批評になっている。イギリス人の友人が、日本はプラスティックが多すぎると言っていたが、このアップされた食物の写真の壁を見ると、日本の文化の一面を生々しく感じさせてくれる。同じカラーでも両界曼荼羅については石元さんでなくても良いと思うので、特に感想はない。

デザインを学んで写真家になったからデザイン性が、というような話もよく聞くが、そればかりでなく、東京やシカゴのスナップもすごく良いし好きだ。とくに「渋谷、渋谷」はノーファインダーで撮られたそうだからデザインはない。ともかく、どんな写真家であってもデザイン的な考えが無い人がいないのだから、経歴で決めつけるのはやめてもらいたいものだ。

カラーの他のシリーズでは、多重露光で撮られた抽象的な作品は、見ていて飽きないほど魅力があった。

しかし、最もインパクトがあるのは、やはり桂離宮で両方の展示でたくさんの作品を一度に見られて非常に感激した。どの作品も計算されて捉えているのだろうが、非常に即物的にデザイン的に撮られている作品と光の映り込みを生かした、やや情緒的な作品もあり、そのバラエティに改めて驚かされた。

数年前に、はがきで申し込んで桂離宮に行ったのは、この石元さんの作品の本物を見るためだけで、それ以上の理由はなかった。当然のことながら石元さんのように内部を見ることもできないし、建物に近づくこともできないのだが、飛び石等の写真をたくさん撮って帰ってきた。光を感じる作品は初めて見たので違和感はあったが、見慣れればこちらも好きになれそうだ。

この生誕100年の展示は、来年の2月~3月には高知県立美術館でも開かれる。石元泰博フォトセンターに石元さんは多くの作品や関連するものを寄贈されているので、かなり大規模な展示がされるのだろうから、行ってみたいと考えているが、その時期に行けるかどうかはまだよくわからない。