携帯料金値下げという人気取り政策

「さよならau」と言う言葉が、Twitterのトレンド入りしたそうだ。12月9日に開催したauの新サービス発表会において、auが、ドコモが12月3日に発表したAhamoの格安料金に対抗したプランの発表が無かったことが理由だ。

auが発表したのはデータ使い放題にAmazon Primeがついてくると言う新しいプランで、ドコモの格安プランの月額2980円に見合うものでなかった。これが、「後出しじゃんけん」で負けたとか、Amazon Primeが家族全員についても何の意味もないと言うことでネット上では嘲笑されている。

ドコモのAhamoという価格破壊

ドコモのAhamoは、ドコモ本体の料金プランとして発表されているが、実はドコモが持っていない格安ブランドの別会社として企画されていたのではないかと噂されている。そのネーミングが韻を踏んでいる点を見ても、兄弟ブランドや親子ブランドという印象がある。

Ahamoは、実店舗でサポートを受けられないが、その理由はドコモとは別会社として企画されていたからだという。実店舗を持たないAhamoと言う新会社が立ち上げる、携帯電話サービスと言うことだったのだろう。

このようなサービスの立ち上げが、簡単にできるわけではないので、もうかなり前から、ドコモが持たない、セカンドラインの格安ブランド別会社の準備がなされていたのだろう。auはUQモバイル、ソフトバンクはY!モバイルと言う別会社の格安サービスを持っているが、ドコモはそのような別会社を持って来なかった。ドコモが最も恐れていたのは、そのような別会社を立ち上げて、格安サービスを行うと自社の持つ8,000万という契約ユーザがそちらに流れてしまうと言うことだ。他社から契約ユーザーを奪うより、自社の共食いの可能性が高い。

菅政権による携帯料金値下げと言う政策

それが、なぜ今回は別会社ではなく本体のサービスとしてAhamoが立ち上がったかと言うと、菅政権による携帯料金値下げと言う政策に対して、Auやソフトバンクは格安ブランドのほうの料金の値下げを行ったが、これに対して武田総務大臣が本体ブランドの料金の値下げを行っていないことに対して不快感を示していたことが理由だ。ドコモは、この状況の中でAhamoを別会社として立ち上げるのではなく、本体の料金プランの一つとすることで、政府の求めている本体の料金の値下げの対応として発表したのだろう。

オンライン化という流れ

Ahamoは、実店舗でのサービスが受けられず、すべてオンラインで対応することにより、低価格を実現していると説明されている。この考え方そのものは、DXに対応する新しい社会としてまっとうな考え方で、今後の携帯電話に限らず、様々なサービス・商品で取り入れられるべきものである。実店舗でのサービスやサポートを希望する人は、それに対応する契約を選べば良いことで、そのような2つの契約を提供する形に変わっていかなければいけないだろう。

携帯電話に限らず、様々な商品やサービス、例えばファッションに関しても、ネットで購入して安い値段か、あるいは実店舗やデパートで店員から様々なアドバイスやサポートを受けて購入する場合には、値段が高いと言うことが考えられる。

人気取り政策?

ただ菅政権の携帯電話の値下げ圧力に関して言うと、目立つからということが理由のような気がする。確かに国民の共有財産である電波を利用した事業に対して、巨額の利益を上げていることが問題だと言う指摘には納得する。問題は、それを人気取り政策に使うのではなく、他の分野も含めて検討した上で携帯電話の料金を値下げすることを求めると言うことであれば良いが、実際はそうなっていない。

同じ電波で言えばテレビ局である。テレビ局も国民の共有財産である電波を使用して事業を行っている。この電波使用料に対してテレビ局各社があげている利益も巨額である。東京のキー局が支払っている電話使用料は、4億〜5億円で、その事業の1%程度である。テレビ局は、広告モデルをとっているので、視聴者から視聴料を集めていない。だから、値下げと言う事は無いのだが、電波使用料に対してあまりにも巨額の利益と言うことであれば、電波使用料の値上げと言うことも考えられる。ただこれを菅政権が実施したところで、一般大衆の受け取る印象はあまりない。料金を国民が支払っている携帯電話のように、国民にとって目に見える形で値段が下がったと言うようなことがない。テレビ局の電波使用料の値上げ分は国庫に入り入るだけだ。これは十分に国民の共有財産の使い方として正しいが、単に目立たないということだ。

つまり携帯電話の料金値下げと言うのは、あえて言うと選挙目当ての人気取り政策と言うことが言える。電波に限って言えば、テレビ局の電波使用料の値上げと携帯電話の料金の値下げと言うことを両方行い、免許事業の適正化を行うことが筋である。

携帯電話ネットワークの健全性は担保されるのか?

テレビ局の電波使用料の値上げは報道機関としてのメディアの反発を受ける事は必至なので、政権としては慎重だということだけだ。テレビ局には手をつけず、携帯電話会社の利益額を下げさせると言うようなことが、どのような結果になるかと言うことを検討しているのであろうか。携帯電話のサービスは、国民の生活や産業にとっての最重要インフラであり、この通信ネットワークに問題が生じれば、生活や経済が大きな打撃を受ける。そのようなことがないように、携帯電話会社が、通信システム・施設の保守・運用、将来のアップグレードが行えるような適正な利益水準の考慮が本当になされているのかどうかが心配だ。