動画広告の時代

インターネット広告では、かつては、バナーと呼ばれる静止画や動きのあるアニメーションの入った広告が主流だった。

しかし、近年はブロードバンド化やスマホ普及で動画を見ることが普通になってきたので、広告も動画が増えている。電通が発表している日本の広告費では、2019年にインターネット広告がテレビ広告を抜いて一位なった。そして、そのインターネット広告の中で著しい成長を見せているのが動画広告である。2019年に、前年比157.1%で3184億円。これはインターネット広告の20%のシェアとなる。これが2020年にはもっと伸びていると思われる。

5Gが導入され、家庭のテレビのインターネット接続により、YouTubeが普通に見られようになっている。このような環境が整うと、動画広告がさらに増えてくる。インターネットを通じて見るものも、動画が中心になっており、NetflixやAmazon PrimeVideoを見ている人が急速に増えている。新型コロナウィルス感染症による影響も大きい。

米国などの各種の統計をまとめているStatistaによれば、2020年3月時点で、ソーシャルメディアの利用が増えた人が45%、NetflixやYouTubeのストリーミング視聴が増えた人は51%と言う。この傾向は若年層ほど顕著である。

通信機器メーカーのシスコによれば、インターネットの総トラフィック量の動画コンテンツの割合は、2016年に67%だったものが、2020年には80%まで拡大していると言う。動画は、情報量が多いので実際に見ている時間と比例しないが、インターネットの使用の目的が動画となっていることの表れである。

動画の方が情報量が多く訴える力が大きい。また、映画、テレビ番組的なショー、スポーツと動画のコンテンツが娯楽の王様である。だから、コンテンツとしては動画が好まれるのは当然のことだ。

映画やテレビ番組のような娯楽コンテンツも、OTT(オーバー・ザ・トップと言われるインターネットを経由して見られる。個人がソーシャルメディアで友人・知人と共有していたような写真も、動画が中心に変わってきている。そのために、動画を投稿するSnapchatやTiKTokのようなアプリが急速に普及している。この傾向に対抗して、既存のInstagramなども動画機能を拡充して、ユーザのニーズに対応してきている。

このようなことから、ますます、私達のメディア接触は動画が中心になってくる。当然のことながら、広告も動画化される。2019年の20%と言う動画広告のシェアも、さらに増加してインターネット広告の半分程度は動画広告になると予想する。

そうなると、広告主にとっては、動画広告の制作コストが増えるだろう。テレビ広告の制作費は削減されるので、合計は変わらないかもしれないが、制作方法や広告の内容は大きく違うので、同じようには作れない。しかも、インターネット広告のキャンペーン運用に対応して、スピーディに動画広告を作ることが必要だ。かつてのテレビ広告のようなクオリティーではなくても、動画広告が作れるような機材がたくさんある。それに対応する人材をインハウス育てることが重要だ。今後は動画広告の制作編集スキルを持った人材が求められるようになるだろう。