HBO MAXの挑戦

HBO MAXは2020年末で4,100万人の契約数だった。しかし、親会社のAT&Tは2025年までに1億2000から1億5000の契約を達成すると発表している。

HBO MAXは、AT&Tの子会社のワーナーメディアの動画配信サービスだ。2020年の5月にワーナーメディア関連のテレビサービスをベースにして事業を開始した。衛星有料放送のHBOの契約者も、HBO MAXにもアクセスできる。だから、4,100万人の契約数は最初から下駄をはいたものだ。

ワーナーメディアは、映画会社のWarner Bros.やニュース専門チャンネルのCNN、衛星有料放送のHBOを傘下に持つメディアコンテンツ企業である。2018年に、それまでのタイム・ワーナーと言う名前を、AT&Tに買収されたのを機にワーナーメディアに変更された。雑誌のTIMEは売却しているから、名称から外すのは当然と言えば当然だ。

以前はアメリカでトップのCATVネットワーク,タイム・ワーナー・ケーブルをっていたが、2015年に売却済みである。タイム・ワーナー・ケーブルには思い出があって、昔コネチカットの本社に社長を訪ねて行ったり、フロリダでタイム・ワーナー・ケーブルが行っていた、当時からすれば未来ネットワークのフューチャーネットワークと言う光ケーブルを使ったシステムを視察に行ったことがある。

どちらも遠い昔話になり、今はOver The Topの映像配信の時代になった。それを特に感じたのは、今話題の菅首相の長男が登場する東北新社の接待問題で出てきた、衛星放送子会社の外資比率で放送免許取り消しの一件だ。免許が取り消しされるシネマ4Kは、契約者数が700だと報道されて、非常に驚いた。Amazon Prime VideoやNetflixがこれだけ契約数を伸ばしている中で、衛星アンテナをつけて映画のチャンネルを契約するというのが時代遅れになった証拠のようだ。

脱線したので、HBO MAXに戻ると、現時点では日本での事業開始はアナウンスされていない。しかし、日本で事業を開始すると、それなりの競争力があると考える。それはWarner Bros.はとりあえず今年に限ってだが劇場公開用の映画を全てHBO MAXで提供している。それにワーナーメディア傘下の様々な会社の膨大なコンテンツがある。

Warner Bros.の映画はもちろん、ニュー・ライン・シネマ、DCコミックス、ユニバーサル・ピクチャー、20世紀スタジオなど映画のコンテンツは膨大だ。それに衛星有料放送のHBOが持っているコンテンツもある。HBOは長い歴史のある有料放送を行っており、数多くのコンテンツを制作してきた。「ゲーム・オブ・スローンズ」や「ウェスト・ワールド」があるし、古くは「セックス・アンド・シティー」が有名だ。今年話題になったのは「セックス・アンド・シティー」の続編が制作されると言うこと。最近、Amazon PrimeVideoで見て面白かった「ワイヤー」もHBOの制作だった。他にも、ワーナーメディアは数多くのテレビ番組を制作してきている。

定額動画配信サービスは、U-NEXTなどの日本勢も健闘している中、アメリカ資本の会社も増えてきてますます競争が厳しくなる。ユーザの視点で見ると、見たいコンテンツが、たくさんのプラットホームに散らばるので、いくつものプラットフォームと定額契約をしなければいけないと言うことが難点だ。定額の良いところは見放題と言うことなので、単品購入でオンデマンドで見るよりは安い。問題は、見たいコンテンツが、他のプラットフォームにしかないときだ。基本的な定額契約を一、二社を行い、見たいものだけをオンデマンドで買えるのであれば見ると言うような人が増えるのではなかろうか。

Disney+が2億人を目標としていて、すべてのアメリカのネットワーク局が配信サービスを立ち上げた中で、NetflixやAmazon PrimeVideoの牙城にどこまで迫れるか。今後のHBO MAXが1億以上の契約を達成するためには、有力なコンテンツを武器に、海外市場の開拓に力を入れなければいけないのではないだろうか。日本を含む海外市場への参入は活発化するだろう。

ただ、NetflixやAmazon PrimeVideoはすでに、ローカル市場向けのコンテンツ制作に力を入れているので、そこにもどれだけ迫れるのだろうか。莫大なコンテンツ投資が予想される。親会社はAT&Tという巨大企業だから、資金的には問題がないとも思われるが、先に述べたようように視聴者はせいぜい一、二社しか契約しないだろうから、上位の3社程度しか生き残れない気がする。そう考えると、NetflixやAmazon PrimeVideoにもう1社ということになる。その席に座れるのはどこか。HBO MAXの挑戦はかなり厳しい。