映画愛の塊、ホームカミング

「ミスター・ロボット」が面白かったので、サム・エスメイルが製作総指揮、監督を務める「ホームカミング(Homecoming)」もAmazon Prime Videoで見てみた。

「ミスター・ロボット」時のように謎の世界に引き込まれ、またまた止められず一気見してしまった。と言っても三日ほどかかっているし、一話が30分なので短いのだけれど。

ジュリア・ロバーツがでているシーズン1の方が緊張感が高く、シーズン2は種明かし的な部分もあり、回答編的な展開。でも、シーズン2では、冒頭からの謎が突如解消される瞬間に驚かされた。そういうことでシーズン2も期待以上。

シーズン1の方が良いと思うのは、ジュリア・ロバーツの演技による部分が大きい。2018年と2022年が交差して話が進む。このあたりの複雑な構成は、「ミスター・ロボット」と同じ。混乱と同時に緊張感を生む。この複雑さを支えているのはジュリア・ロバーツの演技だ。最初は、主役の彼女の役、ソーシャル・ワーカーのハイディは何か隠していると思っていた。そのあたりの秘密が、タイムラインを行ったり来たりするうちに明かされていく。

シーズン2も主要人物を演じるジャネール・モネイが良い。役の中での彼女の困惑が伝わってきて、怖さが迫ってくる。

映像が凝っている

タイムラインを表現するためにアスペクト比が変わるのが面白い。私はこのように途中でアスペクト比の変更がある映像を見たことはない。よくあるのは、モノクロとフルカラーで、タイムラインの違いを表現する。でも、これはあまりにもよく使われているので、ちょっと平凡過ぎる。だから、このアスペクト比の変更は新鮮だった。

また、全体的に映像が良い。1シーン、1シーンが凝っていて画面が美しいのと、緊張感がある。特にエンドのタイトルバックが長く、すぐに溶暗せずに、静止画にすると写真になるようなシーンが続く。音楽と合わせて、この最終シーンが良くてずっと見ていたいと思った。

撮影も有名な映画のオマージュになっているようだ。私でもわかるのは、ブライアン・デ・パルマの独特の画面分割や頭上から平面的に撮影するなどのテクニックが使われる。きっと他にもあるのだろうが分からなかった。

どの程度、サム・エスメイルの指示が、撮影された映像に入っているのかわからない。撮影監督は、Tod CampbellとJas Sheltonがクレジットされている。どちらも良く知らないが、これから調べてみたい。ともかく、全体を通して映像が良い。後から、思い出す様なシーンがいくつも挟み込まれていて飽きさせないというのはすごいことだ。

音楽が凝っている

様々な映画の音楽がそのまま使われていて、画面を見ていても音楽が気になり始める。炎のランナーとか有名な曲もあるが、すべてを覚えているわけではないので気になるという感じだ。ジュリア・ロバーツの母親役のシシー・スペックの「キャリー」の音楽が使われているのは面白い。

有名な音楽が使われることにより、その映画を思い出させる。連想により、文脈を複雑にするのだ。それは効果的で、この「ホームカミング」のシーンが重層的な意味を持つ様に設計されている。

ジュリア・ロバーツ 

初めてのテレビショーだそうだ。若い時からいろいろな映画で見ているが、今回の役が最も印象的だ。一方の主役のウォルターとのシーンは、つらい人生での人間の温かみを感じている雰囲気がよく伝わってくる。特に、二人の最後のシーンには胸が熱くなった。

ボビー・カナヴェイル 

「ミスターロボット」のアーヴィング。彼は、出演回数は少ないが、主役のラミ・マレックに匹敵するくらいの印象を残している。今回も同じような役柄だが、相変わらず強烈。この人を見るだけでも価値がある。

ジャネール・モネイ  

シンガー・ソングライターで、映画「ドリーム(Hidden Figures)」のメアリーの役で覚えていた。かわいい顔をして、意志の強い役にはぴったりだ。シーズン2では中心人物として重要な役割を担い、物語の展開を面白くする。

「ミスター・ロボット」も「ホームカミング」も面白かったので、サム・エスメイルの作品をもっと見ようと思っている。しかし、調べてみると、映画はなく、テレビではBriarpatchという作品に、プロデューサーとして名前を連ねているだけだ。USA Networkで2020年の放送だから、NetflixかAmazon Prime Videoで探してみる。