「グレート・ギャッツビー」のパブリックドメイン入り

昨年、ジョン・グリシャムの「ギャツビーを追え」を読んだばかりだ。作品の中心は、「グレート・ギャッツビー」の草稿だった。

その「グレート・ギャツビー」が、ついに今年の1月1日にパブリックドメインに入った。そのためにアメリカでは、「グレート・ギャツビー」の様々な本が出版されている。著名人の解説が付いたバージョンが、いくつもあり、さらには漫画バージョンもある。

色々な関連の出版の中で、1番面白いと思ったのは、「グレート・ギャツビー」の小説の中での語り手であるニック・キャラウエイを主人公とした小説だ。彼が、ギャツビーと出会うまで姿を描いているということだ。当然、作家が違うのでどんな作品かわからないが、読んでみたい。さらに、もう一人の主要登場人物のデイジーから見た物語もあったら面白いかもしれない。

これも、小説がパブリックドメインに入らなければ難しかった。主要な主人公を使用しているので、許諾がなければできなかったのだ。パブリックドメインに入ったおかげで、その設定や登場人物を自由に使用することができる。

アメリカの著作権法は、何度も延長されてきた。現時点では、発表後95年を過ぎると、本でも音楽でも映画でも、パブリックドメインに入る。「グレート・ギャツビー」は1925年に発行されたので、2020年の今年がパブリックドメインに入った年だ。さらにこれは、正確に95年と言うことではなく、95年を過ぎた翌年の1月1日より、パブリックドメインと言う規定のようだ。

F・スコット・フィッツジェラルドは大好きな作家でだ。小説は全て読んでいる。アメリカに留学した際にも、たまたまそう遠くないところにお墓があるのを知っていたので、かなり早い時期にその墓地にも行った位だ。メリーランド州にあるその墓地は規模が大きくなかった。むしろ、小さな教会と小規模な墓地という、墓地らしくない感じの場所だった。写真も撮ったが、当時のフィルムの写真は探すのが大変なので手元にない。

小規模な墓地だったので、簡単に彼の墓地を見つけることができた。彼と妻のゼルダのもので、他の墓と比べても、たいして立派なものではなかった。ただ、墓の前に「グレート・ギャツビー」の最後の一節が刻まれていた。

“So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.”

その小説の1番印象深い部分でもあり、記憶していたが、墓石に刻まれるとなると、さらに重みを持って、いつも思い出す。

フィッツジェラルドは、1940年12月21日に亡くなっている。彼の遺作の「ラスト・タイクーン」は、未完だったので、遺稿のプロットを使って、友人が完成させて、出版している。ロバート・デ・ニーロ主演で映画化もされているが、私はこれを見ていない。見たのは、Amazon Prime Videoのバージョンだ。TVドラマの「ホワイト・カラー」の主役のマット・ボマーが主演していた。

1940年に亡くなったフィッツジェラルドの作品が、ようやくパブリックドメインになると言うように、アメリカの著作権法は何度も延長されてきた。昔は、著作権の保護期限は、著作者の死後50年と言うことだったが、これから何度か変更されてきた。

有名なのは、1998年のソニー・ボノ著作権延長法、またの名はミッキーマウス保護法と呼ばれるもので、ミッキーマウスの保護期間が終了する前に、著作権の保護期間を延長した変更と言われる。

この際に、1978年以前に発表された作品については.著作者の死後70年と決まっている。そして、その後、それらのすべての著作は、2019年まで保護されると言う形にさらに延長された。

現時点ではミッキーマウスの著作権の保護期間も2023年には切れるとされているが、これも今後延長される可能性もあると考えている。ミッキーマウスは、ウォルト・ディズニー社だけでなくアメリカの資産だから当然だろう。

ジョン・グリシャムの新刊が村上春樹訳