コカ・コーラの36年目の再挑戦

コカ・コーラ社がまた味を変えると言うことだ。そう聞くと36年前のNew Cokeの出来事を思い出す。

1985年に、シェアを伸ばしているPepsiに対抗して、少し甘さを増したNew Cokeを発売した。しかし、コカコーラの味を変えたと言うことでNew Cokeについてのクレームが殺到し、3ヶ月で、コカ・コーラ社は、それまでのCokeをCoke Classicとして再発売した。

この頃は、ペプシはマイケル・ジャクソンを使った広告キャンペーンを行ったり、積極的な攻勢に出てシェアを伸ばしていた。New Cokeの直接のきっかけとなったのは、ペプシ・チャレンジと言われる街頭での目隠しテストだ。目隠しをして、CokeとPepsiを飲み比べて、好きな方を指し示すと言う広告がたくさん放送された。

この目隠しテストでは、多くの人が別の方を選んだことに危機感を持ったコカ・コーラ社は、Cokeの味をPepsiに合わせ、より甘みを増したNew Cokeを開発した。この計画はコカ・コーラ社内ではカンザス計画として知られている。しかし、Cokeの味に変更を加えたと言うことで多くのアメリカ国民はコカ・コーラ社に対して苦情を申し立てた。ある意見では、ペプシ・チャレンジのように1口飲むだけでは甘味の強いペプシが好まれても、1瓶すべて飲むにはNew Cokeは甘すぎたと言うことだった。

この出来事はマーケティングの歴史における最も有名な失敗の事例だ。

そしてコカ・コーラ社はまた味を変えようとしている。今度はCoke Zeroだ。今の正式名称はCoca-Cola Zero Sugar。ややこしいのは、Coke Zeroとは別にDiet Cokeもあることだ。どちらも、砂糖ではなく人工甘味料のアスパルテームが使われているが、微妙に配分が違い、Diet Cokeの方がほんの少しカロリーが高く甘みも強いようだ。

今回コカ・コーラ社が発表しているのはCoke Zeroの成分は変えずに配分を変えて、よりCoke Classicの味に近いものにすると言う事だ。

これはダイエット飲料の分野でペプシ・コーラ社に追い上げられているために、巻き返す戦略と思われる。

ダイエットの分野に最初に参入したのは コカ・コーラ社で、Tabを1963年に発売している。ペプシ社もこれを追いかけて、主力商品の名称を使った、Pepsi Dietを1964年に発売している。コカ・コーラ社が、主力商品のCokeの名称を使ったDiet Cokeを発売したのは、18年遅れた1982年だった。その後、Diet Cokeは人気が出て、一時はPepsi本体のシェアを上回ったこともある。しかし、次第に高年齢層のイメージがついたために、新たにCoke Zeroが導入された。

今回の味を変更する試みは、どのような結末を迎えるのか楽しみでもある。ただCoke Zeroはあくまでも派生商品でコカコーラの主力商品ではないので、1985年のNew Cokeような大騒ぎになるような事は無いのだろう。