コロナと鮫の保護とスクアレン

NYタイムズで新型コロナウィルスのワクチン製造のためにサメの大量虐殺と言う記事を見かけた。

読んでみると、ワクチンの効能を高めるためにスクアレンと言う物質が使われるケースが多いようだ。これは新型コロナウイルスのためのワクチンに限ったことではない。

このスクアレンは様々な動植物に含まれているようだ。人間の体からも発見される。人間では皮脂として分泌され、肌を柔軟にして潤いを保つために使われているようだ。

他にアボガドやオリーブオイルなど様々な植物からも発見されるが、植物の場合にはこれを取り出すのが難しいと言うことだ。一番簡単なのは鮫からで、鮫の肝臓にはスクアレンが大量に含まれている。鮫には浮き袋がないために肝臓の油が浮力を得るための役割を果たしているそうだ。

このため鮫の体重の4分の1は肝臓で、ここから大量のスクワレンが抽出できる。スクアレンを大量に得るためには鮫から取るのが1番簡単だと言う事のようだ。

今回大量のワクチンが必要なことから相当数の鮫からスクアレンを抽出しなければいけない。

そこで「鮫同盟」と言う団体がFDAやその他の政府機関に対して鮫を守れと言う抗議を行っているようだ。「鮫同盟」によれば今回必要な大量のワクチンの製造には50万頭の鮫が必要だと言うことで、大虐殺は許さないと訴えている。

この「鮫同盟」の50万頭のサメという根拠がよくわからないのだが、ニューヨーク・タイムズによれば1トンのスクアレンを得るためには2500から3000頭の鮫の肝臓が必要だと言うことだ。ただ書いていないは、1トンがあれば何人分のワクチンになるかは書いていない。だから全体の数がよくわからない。

日本は、欧米の製薬会社の開発するワクチンを期待しているので、この数の中に日本人の分が入っていないと私たちも困る。

世界中の人にワクチンを投与するためにはどれだけの数のサメが必要かはわからない。また、先日の記事のようにワクチンの効き目は限定的なので、何度か投与すると言うことになるとその数はまた増える。

同じ記事の中には世界には500種類もの鮫がいて、その中には絶滅危惧種にも含まれている。一般的に鮫は成長が遅く、繁殖率も低いようだ。だから、大量の鮫を捕獲してワクチンの材料にすると、生態系に大きな影響が出るのは事実のようだ。

記事は学者の研究を引用していて、その研究によれば毎年6300万頭から2億7300万頭の鮫が人間によって殺されている。そのうち、肝油の抽出のために殺されるのは200万頭程度と推定されているようだ。

思いつくのはフカヒレやその他の形での食用というのが主な目的のような気がする。個人的には何千万から億の単位までの鮫が毎年殺されているのであれば、今回のコロナウィルスの対策のために相当数の追加はやむを得ない気もする。生態系保護の観点からすれば捕獲する鮫の種類を絶滅危惧種を避けて、比較的に安定している種類を中心にして捕獲するような方針を世界的に決めればいい。

この記事を読んで気になったので、スクアレンのことを調べてみた。まず発見したのは日本人の辻本徳丸さんと言う人で100年以上前の1906年のことである。子供の頃に肝油とお菓子のような砂糖のついた健康食品を食べさせられていた覚えがある。今でもスクアレン入りの深海鮫の肝油と言う健康食品が数種類も売られている。免疫力を高めると言うことなので、コロナウィルス対策に買ってみようかと考えた。

ちなみに、スクアレンは、スクワレンという表記もあり、どちらでも良いようだ。英語では、squaleneで、深海鮫(Squalus spp.)から由来するようだ。日本人の命名で、日本語の表記が混乱しているのは何故なのだろう。