川崎ブレイブサンダースのSNSマーケティング

日経にBリーグの川崎ブレイブサンダースがSNSを活用してマーケティングに成功している記事が出ていた。SNSの特性とコンテンツのアイディアが紹介されており、スポーツ団体でなくても参考になる良い記事だ。

Bリーグは新体制が発足して常に6年になるが、各地で徐々に元気を集め、試合平均では4000人から5000人の観客を集めている。そもそも、バスケットボールは競技人口の多いスポーツなので当然といえば当然だが、Bリーグ発足までは、内部のゴタゴタであまりうまく行っていなかった。

Bリーグの発表ではコロナ禍前のの2019年―2020年シーズンでは280万人の観客を集めたと言うことだ。競技人口が200万人を超えていることを考えるとまだまだ、成長の余地はある。Bリーグのなかでも、千葉ジェッツは様々なマーケティング活動が成功して何年もリーグトップの観客動員数を達成している。その話も面白そうだが、今回の日経の記事に載っていたのは川崎ブレイブサンダースで、SNSやデジタルマーケティングを活用して平均来場者数は2018年にDeNAが東芝から経営権を買収しした後1.5倍まで、観客数を伸ばし、リーグ2位になったという。それ以前は3位だから、驚異的な伸びとまではいかないが、着実に成果を上げていると言う事のようだ。

コロナ禍による入場制限のために、現在はキャパの半分しか収容できないために観客動員数が減っているが、ホームゲームの平均稼働率は制限人数の90%を超えてリーグ1位となっているという。

この原動力はソーシャルメディアマーケティングと言うことで、Bリーグ・アワードで、2020から2021年においてソーシャルメディア最優秀クラブを受賞した。

日経の記事によれば、Twitterのフォロワーは7万1,000人、Instagramは4万3,700人、Facebookは9,700人、YouTubeは8万8,600人となっていると言う。Facebookの人数だけが、他と比べて少ないのは、Facebookの利用者の平均年齢が高く、あまりバスケットボールに関心がない層が中心ということと、川崎ブレイブサンダースの戦略的なSNS活用の結果と考えられる。

この記事で、川崎ブレイブサンダースのデジタル戦略として紹介されていたSNSの特性に合わせた使い分けが興味深い。

SNSを行動面のロイヤリティーと感情面のロイヤリティーでマッピングして、その特性に合わせてSNSを活用している。YouTubeやTikTokは行動面、感情面どちらでも低い位置にあり、認知拡大や新規ファン獲得に活用している。LINE、 Twitter、 Instagramは行動面、感情面のロイヤリティーどちらも中位で、ファンへの情報共有やプレゼント企画に活用している。そしてFacebookとFantsは行動面、感情面のロイヤリティーがどちらも高く、オンラインサロンとして熱狂的なファン向けと選手との交流に活用していると言うことだ。

このSNSの使い分けは感覚的には理解できる。しかしこのように明確に整理されたものを見たことはないので非常に新鮮で、目を開かされた。

スポーツマーケティングでは、熱いファンの対応が重要であるのと同時に、新規を、どう開拓するかが重要となる。川崎ブレイブサンダースは、YouTubeやTikTokを使って新規獲得認知拡大を意識して使っている。これは、この動画共有メディアの特性やコンテンツの特性を考えると非常にしっくりくる。

記事ではバスケットボールとYouTubeの相性の良さが紹介され、指摘されている。ブレイブサンダースのYouTubeチャンネルは、2016年に解説されたが、登録者は、たった3000人程度だった。それがDeNAが買収して、新たに様々なコンテンツを投入した結果、今の9万人近い登録者数を達成している。

コンテンツの例としては、「~してみた」といった挑戦系動画とか、選手のプライベート動画などエンターテイメントに徹した動画を投稿したと言うことだ。

さらに川崎ブレイブサンダースは、YouTubeのコンテンツを強化するために、クリエイター・インフルエンサー・マネジメントのUUUMとパートナー契約を結び、UUUM所属のはじめしゃちょーや水溜りボンドのカンタなど人気YouTuberとのコラボ動画も制作していると言うことで、これらも新しいファンの獲得につながるコンテンツとなっているのだろう。

また吉本興業との連携もあり、吉本所属のタレントのとのコラボ動画を制作して、バスケットボールの枠を超えたような動画を制作して、認知の拡大を図っている。これも、スポーツと言うコンテンツの強さと限界を知り、それを超えて、一般の人まで認知を拡大しようとする試みだ。吉本芸人のようなタレントとのコラボと言うのは非常に良いアイディアだと思う。実際ラグビーの仕事をしていた時も、実現はできなかったが吉本興業とは様々な取り組みについて議論をしたことがあった。予算や優先順位の問題で、組織内での調整がうまくいかず実現できなかったことは残念だった。

記事の中では、チケットの新規購入者の50%がYouTubeを見ていると言うデータがあると言う。駅の交通広告の効果は高くても20%と言うことで、その差は2倍だと言う。これは、YouTubeと言うメディアの巨大さと、動画によるコンテンツの魅力と言う意味で、非常に理解しやすい結果だ。新規顧客を獲得するようなプロモーションでは、写真と試合の情報を提示するだけでは魅力を提示することが難しいであろう。

川崎ブレイブサンダースの行っているプロモーションは、SNSの特性を理解した上で、コンテンツの制作に力をいれていて、有効な戦略だ。スポーツのマーケティングは、熱狂的なファンの維持と新規の獲得という2つの戦線があり、これの同時進行が重要なので、以前より考えていたことと同じで納得できる。一般企業にも参考になるSNSマーケティングだ。

Google の拡張現実広告サービス

Googleが検索の際の新しい広告サービスを発表した。

この広告サービスは、拡張現実(AR: augmented reality)を利用したものだ。Googleがイベントで発表したデモでは、ボルボとポルシェの広告で拡張現実を使って自宅に止めたところや車のインテリアを詳しく見せることができた。

車の外観やインテリアを細かいところを拡大して見せたり、角度を変えて見せたりできる。現実に車を見るように、インテリアのボタンや細かなところまで拡大することができる。拡張現実は様々なところで既に使われている。最も代表的なものはPokémon GOだ。現実の世界とゲームの世界を拡張現実を使って統合するようにして遊ぶ。

IKEAは、拡張現実のアプリで家具を自宅に置いた時の部屋での雰囲気を見るために、使って自宅の現実の世界にその家具を配置してみせる。

広告でもSnapchatが既に今回のGoogleのサービスと同様の拡張現実を使った広告サービスを実施している。それ以外にも、拡張現実を使ったマーケティングの例も多い。

今回発表されたiPhone 12のセンサーは機能が上がっており、拡張現実の機能を向上させると言うことなので、ますますそれを使ったサービスやゲームが充実してくるだろう。

今回のGoogleの新しい広告サービスもその流れで、新しいものではないが、Googleの検索連動型広告は日本語では「リスティング広告」と呼ばれ、文字であるということが今までは前提になっていた。これに拡張現実の機能を加えると言うことで「リスティング広告」と言う名前が現実に合わなくなってくる。

もちろん名前など、どうでもいいことで知りたいことがの情報が手に入ればいいわけで、拡張現実を使って検索するものの対象が細かなところまでよく見えるのはいい事だ。

ただ、この拡張現実に対応したデータを作り込まなければいけないので、表示を希望する広告主がGoogleに広告費を払ってさらに、そのデータを作らなければいけない。 だから、検索の結果が全て拡張現実になると言うことではない。

今の新型コロナウィルス感染症の流行の中で、車のディーラーに行ったりするような事は避けたいと思う人は増えている。オンラインで車を確認したり、細部をよく見てみると言うことができれば、利便性は高まる。高い買い物なので最終的には試乗に行うのであろうが、候補を検討すると言う意味では便利だ。

Googleは、今回これの拡張現実のサービス以外にも新しい検索の機能を発表している。1つはGoogleレンズを使って購入が簡単になるものだ。例えばウェブで好みの衣類を見つけた時に、そのスクリーンショットをGoogleレンズで読むと似たようなものが販売されているサイトが紹介される。

もう1つは鼻歌でその音楽を紹介すると言う機能だ。これらも既にサービスとしてできるが、検索のところで簡単にできるのであれば便利だろう。