AmazonがMGM買収か?

MGMが売りに出ていて、Amazonが買うと言う交渉が進んでいるようだ。その価格が、90億ドルと言うことで1兆円に近い価格と言うことになる。

MGM売却の話はすでに以前からあって、AppleとComcastは、その価格が60億程度と判断して買収を断っているようだ。

この噂が実現するかどうかわからないが、Amazonは以前スーパーのWholeFoodsを134億ドルで買収しているから、Amazonにとって90億ドルは出せない額では無いだろう。

定額映像配信サービスは、最も競争が厳しい領域だ。だから、MGMの過去の映画のライブラリや、今後作られる映画のコンテンツを所有し、配信権を持つ事は、NetflixやDisney+との競争に備えて強い武器となる。

MGMは老舗の映画スタジオで、ジェームス・ボンド、ロッキー、ロボコップ、ピンクパンサーなどたくさんのヒット映画のシリーズを持つ。このライブラリーを配信サービスのメニューに加えることは大きなメリットだ。しかし、メリットはそれだけでない。ヒット作のリメイクはリスクが低く、新たなヒット作を生み出す可能性もあるからだ。

MGMの今制作中の新作として、個人的には興味があるのはリドリー・スコットが監督するレディー・ガガとアダム・ドライバーが主演するHouse of Gucciだ。これ以外にも制作中のたくさん作品がたくさんあるだろう。

映画ビジネスは単体ではリスクが高く、しかも制作費が高騰しているので、多くの映画会社は巨大なメディア企業の1部となっている。Warner Bros.は、今回AT&TからスピンオフしてDiscoveryと合併する。FoxはDisneyに売却されている。もう独立系の映画会社はあまり残っていない。

映画ビジネスはもちろん映画館で公開する映画を作ることだが、以前はその後DVDやテレビで公開する程度の収入しか望めなかったが、今ではそのコンテンツを中心にして、ゲームや映像配信、出版、ストリーミング専用のスピンオフ制作等の様々なビジネスと関連するようになっている。制作費の高騰もあり、映画単体よりも、メディアグループのほうに入った方が効率が良くなっている。

メディアグループでも、投資額が巨大なので、リスクの少ない過去の作品の続編の方がリスクヘッジをできる。そういう点で、MGMのジェームス・ボンドのようなコンテンツは様々な可能性があり、周辺でビジネスを展開することが可能になる。スター・ウォーズを買収したDisneyが、実写やアニメでたくさんのスピンオフを制作しているのと同じことだ。

ただ、ジェームス・ボンドに限って言うと、問題は、MGMは半分しか所有していないことだ。プロデュサーのイギリスのブロッコリー家が残りの半分を所有しているので、MGMを買収してもジェームス・ボンドを完全にコントロールできない。これを、Amazonがどう判断するか。他は、これが理由で買収を断ったのかもしれない。

これから、定額配信サービスを中心にして、メディアコンテンツ企業の競争がますます激しくなっていくだろう。既に巨大な企業が、映画会社やコンテンツ会社を買収してさらに巨大化することによって、競合競争に勝とうとしている。Disneyはルパート・マードックのFoxなどの映画の資産に対して、713億ドルを払って買収している。まさに天文学的数字と言って良いだろう。

金払いと言う意味では、Amazonも負けてはいない。今制作しているロード・オブ・リングの1シーズンの制作費は4億6500万ドルと言う。日本のテレビ局が全局一緒になっての何年分もの金額になるのだろうか。

メディアコンテンツビジネスの競争は、Netflix、Disney+ 、Amazonが上位で争っているが、HBO MaxがDiscoveryと組んで新たな戦いを挑むだろう。ますます激しい競争の中で、面白いコンテンツを作ってくれて世界中の人が楽しめれば良いことなので、この争い自体はもっと激しくなってくれると私たちにとってもメリットが大きい。