定額映像配信サービスというレッドオーシャン

コムキャストは、アメリカ・フィラデルフィアに本社を置くメディア・エンターテイメント企業である。私がアメリカにいた頃には、大手ではあるが、地域に何社もある大手のケーブルテレビ会社の1つだった。その後、GEからNBCユニバーサルのを買い取り、さらにイギリスのメディア企業のSkyをルパート・マードックから買い取っている。それで、今は、アメリカの3大ネットワークの1つのNBC、ユニバーサル映画などを経営するアメリカのエンターテイメント・メディア企業のトップの会社と言っても良い。

日本との関連でいえば、遊園地のユニバーサル・スタジオの運営も行っており、大阪のUFJも完全子会社化している。またスカイの買収により、日本のスカパーも関連会社となっている。この夏の東京オリンピックの動向は、放送権を持つNBCの発言権が大きいので、コムキャスト次第とも言える。

このように、ケーブルテレビから始まり、地上波テレビや衛星有料放送までをカバーする巨大な放送事業者に成長した。

しかし、ブロードバンドが普及し、Netflixのような映像配信がエンターテイメントの中心になっていく中で、コムキャストも映像配信に参入した。その名称は、Peacockで、これはNBCの会社のロゴが孔雀の形をしていることからきている。

コムキャストの3月現在の数字は以下のような状況である。

1,900万件のケーブル契約、これは12月から50万件減少

3,100万件のブロードバンド・インターネット接続契約、12月から46万件増加

4,200万件の映像配信Peacock契約、これは900万件の増加。

コムキャストを収益面から見ると、ケーブルテレビビジネスは契約数が減少しているが、まだ収益を上げている。これは、投資が終わり、回収段階にあるためと思われる。一方急速な契約件数の増加にもかかわらず、Peacockは赤字となっている。そして、今年も赤字の見込みが発表されている。

これはNetflixなどに対抗して、コンテンツを充実させるためだ。オリジナルの番組やスポーツの番組がないと、定額映像配信サービスの競争には勝てない。この市場にはNetflixだけではなく、Amazon PrimeVideoやHuluなどの老舗があり、Disney+、HBO MAXなどが参入して、激しい顧客競争が続いている。

本業の利益を導入しても、定額映像配信サービスでビジネスを立ち上げようとしているのは、そこに未来のエンターテイメントビジネスの中心があると考えているからだ。これはコムキャストに限ったことではなく、Walt DisneyやViacomCBS、 AT&T Warner Mediaなど各社同様の戦略をとっている。

同様の事は日本でも行っており、NetflixやAmazon Prime Videoに対抗してU-NEXT、FOD Premium、TSUTAYA TVなどたくさんの会社が顧客を奪い合っている。この争いに勝つためには、独自の良いコンテンツをどれだけ持つかが勝負だから、ここに資金が投入されるため、利益が出るのはずっと先と言う体力勝負が続くことになる。まさにレッドオーシャン状態だ。先行するNetflixやAmazon Prime Videoに誰が追いつくのか。

感染症との戦いと平均寿命

平均寿命と病気との戦いの記事をNYTで読んだ。読んでわかったのは、感染症との戦いは、生物である人類の終わらない戦いということだ。それでも、この数百年に渡って、人類は数々の成果をあげて、寿命を伸ばしてきている。

100年前のスペイン風邪と呼ばれるパンデミックの際には、1918年から1919年かけて、世界で1億人が亡くなったそうだ。スペイン風と呼ばれた病気は瞬く間に広がり、感染者の死亡率は20%に近づいていた。不思議なことに、この病気は、特に若い成人に致命的であった。理由はよくわからない。

このために、この時期に大量の死亡者が出たので当時の平均寿命は、大幅に下がった。アメリカの平均寿命は54歳だったものが47歳まで。イギリスでは54歳が41歳。インドでは、それは30歳以下になってしまった。

それ以降は第二次世界大戦の時に少し下がったことを除けば、平均寿命は順調に伸びている。アメリカやイギリスでは80歳、インドも70歳だ。この100年で、平均寿命は倍になったと言うことだ。

平均寿命が伸びてきた理由は平均寿命が伸びてきた理由は、たくさんある。

科学的な発明や発見だけが、寿命を伸ばしたわけではなく、ライフスタイルの変化も大きく貢献している。手を洗う習慣やタバコをやめること、ワクチンを受けること、パンデミックの際にはマスクをするなどの習慣が寿命伸ばすことに大きく貢献している。

数百年に渡って、スペイン風邪以前から、平均寿命は伸びてきていた。

平均寿命が伸びるためには、子供の死亡を抑え、老人を長く生きさせることが必要だ。平均寿命の記録は17世紀から残されている。17世紀当時の平均寿命は35歳だった。これを伸ばした最大の要因は子供を病気にしないことだった。当時は、子供の5人に2人は大人になる前になくなっていた。

平均寿命が延びた要因は、ワクチン接種、細菌の発見、抗生物質の開発の3つと記事では整理されている。この3つが、行われる以前は、天然痘や細菌感染から、若くして病気で亡くなることが多かった。

イギリスの貴族の寿命の研究よれば、18世紀ごろからイギリスの貴族の平均寿命は伸び始めていた。天然痘は、当時は子供を殺す致命的な病気だったが、エドワード・ジェンナーが牛痘接種を発明したのは、1800年だから、それ以前から寿命が伸び始めた。理由の1つは、人痘摂取であった。

イギリスのエドワード・ジェンナーは、牛の天然痘の菌を植え付けることで、天然痘が発症しない予防接種を発明した。この時に、ジェンダーは、牛から取った病原菌を使ったので、ラテン語で牛を意味するVaccaから牛由来の物質をVaccineと呼びここから、今のワクチンの言葉ができている。

エドワード・ジェンナーが、予防接種を発明するのが1800年だが、これ以前からイギリスの貴族の間では、人痘摂種が行われて始めていた。人痘摂種とは、天然痘の患者の膿やかさぶたを健常者につけて免疫を獲得させる方法だ。

中国では11世紀から行われて、17世紀までには中国、インド、ペルシャまで広がっていたと言われている。17世紀までには日本でも中国から伝わったのか、江戸時代から行われていたようだ。

イギリでは、コンスタンチノープルに赴任した大使の夫人が、現地でこの方法を知り、自分の子供に接種させた。この方法が、夫人を通じて、イギリスの貴族社会に広まっていたようだ。

しかし、エドワード・ジェンナーの人工接種はは、人痘摂種に比べると安全性が格段に増し、庶民にまで広がったために、天然痘の死亡は著しく減少していった。

しかし、他にも、まだたくさんの子供を殺しているものがあった。産業革命により都市化が進んだ、イギリスやアメリカの大都市で子供の死亡が多発した。理由は、なかなか突き止められなかったが、牛乳が原因ということがわかった。牛乳に発生する細菌が子供を殺していたのだった。これを発見したのはフランスのパストゥールで、煮沸により殺菌をする方法を見つけた。これにより子供の死亡が減少し、また平均寿命が伸びることとなった

そして、20世紀に入ってさらに寿命伸ばす発明がなされた。飲み水の改良だ。飲み水を殺菌するために塩素を混ぜることが始まったからだ。これにより飲み水から病気になる人が減った。

ワクチンで守られ、細菌や水や牛乳が殺菌されても、それでも病気になった際には薬が必要だ。この薬を発見したのは、イギリスのアレクサンダー・フレミングだ。彼は1928年に実験室に放置した青カビが細菌の発生を止めていることを発見して、ここからペニシリンが開発された。抗生物質の発見により病気にかかっても体内の細菌を死滅させることができるようになったために、病気から回復する確率が高くなり、さらに平均寿命は伸びることになった。

人類の歴史の中で、何万年にもわたって戦ってきた敵である感染症は、過去200年にわたる科学や工夫のために、戦況は人類のほうに傾いてきた。そのため平均寿命はこの100年で倍になってきているが、それでも人類はまだ感染症との戦いに完全に勝利したわけではない。唯一知られている完全に撲滅された病原菌は天然痘だけと言われている。インフルエンザや風邪は、まだ治療が確立しているわけではないし、今回の新型コロナウィルスについても治療法が見つかるまでのはまだまだ先だろう。数万年にわたる感染症の戦いは今後も続くことになる。

Adobeの進化

Adobeは、創業以来Appleのどの関係が深く、1980年代に誰も真似できなかったきれいな印字ができる技術をAppleに供給してきた。その後、IllustratorやPhotoshopなどのソフトウエアを開発して、デザイナーの要求に答えたり、動画編集ソフトのPremiereにより動画編集の分野にも進出している。

多分、一般的にAdobeと言えば、そのようなデザイン系の仕事のツールを提供する会社と思われているが、2009年にOmnitureを、2011年にDemdexの買収して、広告の制作から広告出稿までを管理できる会社に変貌している。Omnitureは、ウェブ解析の会社で、Demdexはオーディエンス分析技術を持つ会社だ。これらの技術を組み合わせて、広告の制作からターゲット選定、広告出稿までを一貫して行えるマーケティング会社になった。

直接関係ないが、パッケージソフトを止めて課金制のクラウドに移行した会社では最も早い会社でもある。以前からPhotoshopを使っていたが、2013年に完全に月額課金に移行したため、毎月お金を払っている。といっても1番安いPhotoshopが使えるPhotographer Packageだが。

話が脱線したが、マーケティング会社に変貌しているAdobeは、AppleとGoogleが、第3クッキーを使用したマーケティングを終わらせようとしている今、新しいマーケティング環境で、さらに成長を図ろうとしている。

インターネット広告の過去20年の歴史は、全てクッキーの上で成り立っていたと言える。第3者クッキーにより精度の高いターゲティングを行い、効率の良いコンバージョンが可能だったからだ。そして今、もっとも重要だった第3者クッキーに多くの広告主が別れを告げようとしている。

AdobeのReal-time Customer Data Platformというサービスは、広告主が自社の第1者クッキーの顧客データベースを構築し、分析するためのツールである。そしてこのツールは、顧客からの同意を取ることによって、データを集め、分析を行うツールへと進化している。

広告主が、自社の顧客データを分析することにより、ウェブサイトで最適な顧客体験が提供でき、顧客の行動の予測もできると言うようにAdobeは言っている。今後のマーケティングはGoogleやAppleが集めた大量の顧客データを使うのではなく、多くの広告主は自社の顧客のデータをベースにして、データベースを積み上げて、マーケティングの企画実施を行うことになる。効率が悪いと言えば悪いのだが、プライバシーや透明性が最も重要な今の社会において、それが最も効率的なマーケティングの手法になると思われる。

Adobeの進化の歴史を見ていると、優秀な経営者のビジョンによって会社は繁栄するか、衰退するかが決まってくることがよくわかる。10年以上前にAdobeの将来の姿を考えて、広告の制作から、ウェブの分析、顧客体験の最適化や広告の出稿までを行う会社になる判断は、一見ロジカルではあるが、飛躍もあり、なかなかできるものでもない。当時考えられていた業種の壁を超えているからだ。それを考えて実行に移したAdobeと言う会社は大したものだ。もしそういうしたビジョンがなければ、Adobeと言う会社は、今もお絵かきソフトの会社の一社と言うことになっていたはずだ。

今のAdobeは年に1兆円以上の収益を上げ、その時価総額も30兆円近い会社である。

Appleのプライバシー保護や安全なインターネットという思想

アナウンスされていたiOS 14.5が27日2時にリリースされた。

この新しいバージョンでは、いくつかの機能が追加されている。最初に、すぐに欲しいと思った機能は、マスクをつけたままロックが解除できることだ。しかし、これはぬか喜びに終わった。ロックの解除の条件としてApple Watchをして、Apple Watchのロックが解除されていることが条件だった。運動用にはFitbitの小さいサイズのものを使っているので、このマスク着用のロック解除では使えない。Apple Watchのあのサイズと時計感が、どうも好きになれないのだ。

また、SiriからApple Music以外の音楽をかけることができるというのは、Apple Musicを使ってないので利用は可能だが、これも、iPhoneでは、なるべく音楽を聴いたりしないようにしているから不要だ。ウォーキングやジョギング、自転車といった活動では、頭に固定されていた方が良いので、ソニーウォークマンのスポーツ用のものを使っている。

基本的にiPhoneの機能は限定して使いたい。それは、バッテリーの時間を伸ばしたいからで、様々な機能を使って、1日の途中でバッテリー切れになると言うことを避けたいのだ。AitTag対応っていうのが追加されたが、これは現時点では持っていないが、将来的には手に入れる可能性もあるので使う可能性はある。

後は絵文字の充実とかもあるのだが、これこそ絶対に使わないので私には関係ない。

最終的に1番関係があるのが、プライバシー保護のATT(AppTrackingTransparency)だ。アプリに第三者から、アプリをまたいだトラッキングを許可する機能だ。アプリの仕様の前に、許可するか、不許可にするか、iPhoneが選ばせる。

アプリ使用の際に最初に第三者からのトラッキングをそのアプリを通じて許可するかしないかを聞かれる。これで不許可を選べば第三者からのトラッキングを受けない。個人のプライバシーを守ると言う意味で、良い機能だが、やろうと思えば今までもできたことだ。

iOS 14.5では最初に聞かれて許可・不許可を選ばせるので、無意識にボタンを触らない限り、自主的に許可・不許可を選ぶことになる。これは広告業界にとっては大きな打撃となる。特に影響が大きいのは、Facebookだ。Facebookは、このトラッキングによりユーザを特定してFacebookやInstagramのプラットホームで広告を配信するビジネスだ。そして、iPhoneのシェアは世界的では25%、日本では45%程度あるため、iPhoneでトラッキングができなくなると、そのビジネスに大きな影響が出る。Facebookの広告ビジネスの規模は7兆円を超えるから、仮に25%が影響受けるとしてその額は1.7兆円程度と言うことだ。

これは、Facebookだけにとどまらず、他のメディア企業やそれを利用し利用している広告主にも影響が出る。

このATTに対抗して、広告をビジネスとするアプリは、この許可・不許可の画面の前に、「次の画面で許可をしましょう」と言うような画面が現れる。すべてを見ていないが少なくともYahoo!のアプリでは、最初に「次の画面で許可を押しましょう」と言う案内が出て、ようやくATTの画面が表示される。ATTが表示されないアプリは、すでに選択済みと言うことなのかもしれない。この辺は、もう少し使ってみなければよく分からない。

Appleの立場としては、ユーザのプライバシー保護と言う1点に尽きるのだろう。Appleの思想は一貫していて、まずアプリはApp Storeからしかダウンロードできない。かつ、App Storeで販売されるアプリは、全て検査済みで問題がないと言うことを確実にしている。また、そのアプリが機能する範囲も限定されていて、仮にアプリに問題があったとしてもiPhoneのiOSや他の機能に影響がないように設計されている。

だから、Appleの考え方は、安全だから高くてもiPhoneを使ってくださいと言うことだ。その意味で、非常にコントロールされた環境下でインターネットを使用できると言うことを保証している。一方、Androidのほうは、現実の世界と同じように、自由な環境となっている。だから「野良アプリ」と言われるような検査を受けていないアプリであっても、ダウンロードすることができる。インターネットも社会も自由であるべきという思想だ。この規制か自由かと言うことは、個人の趣味の問題だろう。

思想はともかく、インターネットの広告のビジネスが、また違う段階に入ったことは間違いない。

YOLOエコノミー

今まで会社員や安定した仕事を持っていた人が、コロナ後の生活に向けて新しいことを始めるケースが増えたということだ。楽な安定した職を捨てる事は、大変な決断だと思う。しかし、ワクチンの接種が始まったアメリカでは、多くの人が転職したり、起業したり、作家などの自由業を目指したりしていると言う。

背景には、たくさんの要因がある。この1年のリモートワークで職場から離れて働く自由を満喫してきた。1年間の自粛生活で、あまりお金を使わず、貯金ができた。ある程度の資産を持っていた人は、株式市場やその他の金融商品の予想もしない上昇で資金を得た。起業するための、金利は、コロナ禍でさらに下がった。

転職や起業だけでなく、仕事をせずに、本当にやりたいと思っていたことに挑戦するすると言う選択に。かなり有利な条件が、このコロナ禍の中で整ってきていた。

単に転職と言うケースもあるが、かなりリスクを伴うような起業や、挑戦を始めるケースも多い。このような風潮のことを、アメリカではYOLOエコノミーと言うらしい。YOLOは『You Only Live Once』の頭文字で、リスクを取って新しいことを始めるようなことに対して使われるらしい。

新型コロナウィルスのために、アメリカでは60万人近く、世界では300万人以上が亡くなっている。このような状況で、明日自分の身に何が起きるかを考えたときに、自分の人生、自分の本当にやりたいことを考えた人が多かったと言うことなのだろうか。外出もできず、家に閉じこもって1日中ZOOMの会議で追われる日々。ストレス解消もできず、高まる不満と不安感が、急激な変化を求めたのだろうか。

このような状況で変化を求めると言う事は、ある種の燃え尽き症候群とも言えそうだ。そもそも、アメリカでは、転職は当たり前のことだし、起業する人も多い。アメリカの全労働者のうち40%はフリーランスとも言われている。日本とは労働市場の構造自体が違うので、同じようには比べられない。日本では幸いなことに、死者はまだ1万人に達していないし、転職・起業の増加と言うことを聞いてはいない。

少しニュースになったのは、大企業が都心のオフィスを売却したり、関連して多くの人が都心から、求められれば通勤が可能な2、3時間の距離にある住宅に買い換えると言うような動きがあると言うことだ。

そもそも、労働市場が違うので、いきなりYOLOエコノミーといっても日本では成功する確率を低いから、そのような決断をするをする人が少ないのかもしれない。あるいは、今回のコロナ禍で、単に自粛を求められて、忠実に従っている国民性とYOLOの決断は合わないかもしれない。

ただ、自分の人生について考え直して、本当にやりたいことを見つけ、それを始めると言う事は決して間違ってはいない。間違っているとすれば、燃え尽き症候群や自粛の欲求不満で衝動的に新しいことを始めてしまうことだ。

何かYOLOエコノミーと言うとファッションのようにも感じてしまうが、そのようなレッテルを貼るのではなく、このコロナ禍の中で、自分に向かい合い、人生を考えると言うことであればYOLOは意味があると思う。

Eメール・マーケティングに脚光

Amazonが、新しいEメールを使ったプロモーションの方法を、Amazonのプラットフォームでの広告主に提供し始めた。Amazonは、この仕様を「ManageYour CustomerEngagemnet」と名付けた。「顧客エンゲージメントを管理する」が直訳だが、これだとぴんとこない。

その仕様の内容は、Amazonのプラットホームに、広告主に対するフォローボタンを設置することができるというものだ。このフォローボタンは、よく見かける、記事や広告で広告主が設置しているソーシャルメディアのフォローボタンと同じことだ。このフォローのボタンにより、顧客のパーミッションが取れ、Eメール・マーケティングを開始することだできる。一度、フォローボタンにより広告主と顧客の関係が成立すると、広告主はAmazonとは関係なくEメールによりコミニケーション行う。商品の発売やキャンペーンなどを、Amazonや他の媒体を使わずとも告知することができる。

当然このメールは勝手に送られているのではなく、Amazonでそのブランドに対するフォローしたから送られているので、顧客からの苦情が来ない。広告主は、新たに顧客とダイレクトな関係を持ち、エンゲージメントが高められるので、メリットは大きい。

ただ、問題は二つある。どの程度の顧客がフォローボタンをクリックするかが一番目。二番目は、このフォローボタンを設置するための、この「ManageYour CustomerEngagemnet」に課金されるのかされないのか。広告を出せばついて来るのか、追加で課金されるのか、されるのであれば、どの程度なのかということだ。あまり高ければ、広告主も二の足を踏むだろう。

Amazonのプラットフォームは、広告主にとって重要だ。最近の消費者の行動として、商品を買おうと思っているようなときには、Googleなどで検索するよりも最初からAmazonで検索すると言うケースが増えている。このため、広告主はAmazonに広告を出しているし、Amazonも広告主に対してAmazonで広告するように、どの程度の強さかわからないが、依頼をしている。販売店と言う強い立場からの依頼なので、半ば強制と言うこともあるのかもしれない。このためAmazonでの広告は順調に伸びている。2020年の数字では、アメリカでのデジタル広告市場の10%がAmazonだということだ。

Eメールマーケティングと言うと一昔前と言う感覚もあるが、クッキーの制限により、消費者の行動トラッキングが難しくなってきた今、Eメールによってコミュニケーションをすると言う方法は見直されてきている。Appleは先週から、iPhoneでのトラッキングをより難しくした。また近日中にはGoogleも第三者クッキーをサポートしなくなるので、消費者をトラッキングするのはかなり難しくなる。

このような状況を受けてFacebookとTwitterどちらもEメール・マーケティングを行う会社の買収を行っている。Facebookは昨年12月にKustomerを、Twitterは今年1月にRevueを買収した。今後はFacebookやTwitterでも、広告主のフォローボタンが登場して、広告主と消費者が直接Eメールでコミニケーションをするような形でのマーケティングが主流になっていくと思われる。

スパイ組織のInstagram

イギリスのスパイ組織、保安部のMI5がInstagramのアカウントを開設したとして話題になっている。リクルートが目的だと、MI5自身が説明している。MI5は防諜組織で、海外からイギリスに対するスパイ行為やテロ行為を防ぐことを目的としている。

最初に投稿された、Instagramの写真は、イギリスの国会議事堂に近いエムズハウスにあるMI5の入り口で、中庭にある明り採りのガラスの天井から建物に囲まれと空を見上げたもので、一目では何かよくわからないような写真だが、非常に写真としては面白い。はっきりって好みだ。ロンドンによく言っていた頃に、テレビ局などに訪問する際に、よく建物の前を歩いていたことを思い出す。

イギリスのスパイ組織と言うとジェームス・ボンドを思い出すが、ジェームス・ボンドはMI6の所属で、イギリスが対外的に行う情報活動を担当する。これに対して、MI5はスパイやテロから国を守るための活動を行っている。その範囲は、イギリスの在外公館も含む。

個人的にMI5と言えば、チャーリー・マフィンだ。チャーリー・マフィンは、ブライアン・フリーマントルが創り出したMI5のスパイで、伝統的なイメージにある上流階級の子弟がマティーニを飲みながら国のために働くと言う人物像の対極にある。母一人子一人の貧しい生まれで、公立の学校しか出ていない。チャーリー・マフィンは、その出自のためにMI5の中で仲間外れにされている。仲間はずれということで、味方によって囮にされて、危うく殺されそうにもなっている。

しかし、明晰の頭脳と行動力で、驚く方法使って、常に窮地を出していく。このシリーズの第一作を読んだのは、大学を卒業した頃だが、その後何冊か読んだところでしばらく途切れていた。赴任したニューヨークの本屋で、ブライアン・フリーマントルの作品を探したが、大きな書店でも在庫がなかった。

そのために、このシリーズをまた読みだしたのは今世紀に入ってからだ。だから全15冊となるチャーリー・マフィンのシリーズを読み終えたのは、まだ5、6年前のことだ。一応のハッピーエンドになっていて、途中で何度もクビになったMI5の幹部となることがほのめかされたところでシリーズは終わっている。できれば続きを読みたいものだが、ブライアン・フリーマントルは、1936年生まれだからすでに85歳。続編は難しいのかもしれない。

チャリー・マフィンの人物造形は、やはり好きな作家のマイケル・コナリーの創り上げたハリー・ボッシュを連想させる。どちらも母1人に育てられた、厳しい環境から、強い正義感を持って人生や任務に当たっていく。チャリー・マフィンの方が、やや狡猾で生き残ると言うことに長けている感じがする。それはチャーリー・マフィンが、冷戦時代のロシアと西側の戦いと言う、ある意味戦争状態の中で活躍すると言うことも影響している。やはり、その点ではハリー・ボッシュは、アメリカの作家の創り出した人物で、また舞台もロスアンゼルスの警察と言うことで、舞台の違いも影響しているのかもしれない。他にもいくつも刑事や探偵のシリーズを読んでいるが、この2人が自分にとって最高の人物造形だと思っている。

MI5のInstagramからチャーリー・マフィンの話になってしまったが、この記事を読んで、思いついたのは数ヶ月前に、アメリカのCIAがリクルートのためにウェブサイトを一新した事だ。そのデザインや雰囲気が、まるでウェブ制作会社のようだと評判いなり、連邦政府の機関で、かつスパイ組織とは思えないような軽さが話題になった。

この英米の情報機関のリクルート対応について思うのは、そのような時代が既に終わってしまったと言うことだ。もちろんテロ対策など重要な業務を行っているが、ユバル・ノア・ハラリも書いているように、すでに縦割りの国の組織は崩壊して、FacebookやTwitter Instagramといった横割の大きな集団が世界をまたいで存在している。このようにインターネットサービスなどを通じて世界中の情報が共有され、人々がつながっている中で、スパイ活動とは何なのだろうか。何をするかよくわからないが、少なくとも若い優秀な人を集めるだけの魅力に乏しいと言うことだけは確実だろう。このMI5のInstagramやCIAの新しいウェブサイトがそれを証明している。

定額映像配信サービスの競争激化

パンデミックの発生後、恩恵を受けたのはオンラインショッピングやリモート会議ツールなど様々あるが、定額映像配信サービスもその一つだ。

中でもNetflixは契約者を急増させ、2021年の新規加入者は3,700万人を数え、全体で2億人を超えた。これも、要因となり、創業以来の初めての黒字転換を果たした。

2021年3月末現在で、Netflixの契約者数は2億760万人。そのうちの6,700万人がアメリカ国内であるので、世界展開が成功していることがよく分かる。日本の数字は発表されていないのでよくわからない。

しかし、その成長にも限りが陰りが見えてきたようだ。2021年の第一四半期では加入者が400万人弱で終わり、見込みの600万人を達成することができなかった。このために株価も13%下落している。

同期の2020年の第一四半期は1,580万人の新規加入者だったから伸びは著しく同化している。と言っても、昨年のパンデミックの始まったという時期でもあり、同じように考えてはいけないのかもしれない。しかし、四半期で400万人の新規加入と言う数字は、2013年以降最低の数字となるそうだ。

Netflixの料金の値上げと言うことも影響している可能性がある。アメリカでは2020年10月にスタンダードプランを1ドルを上げて14ドル、プレミアムプランを2ドル上げて18ドルにした。日本でもベーシックを110円あげて990円、スタンダードを170円上げて1490円とした。プレミアムの1980円は変わっていない。これが、新規獲得にどの程度影響しているのか。

競合しているHBO MAXは同時期の1月から3月で270万人の新規契約をとっているので、競争が激化しているとも言える。HBO MAXは、従来から有料放送のHBOの契約者やワーナー映画のコンテンツも背景にしていることもあり、強気の月15ドルと言う価格にもかかわらず好調のようだ。

ワーナー映画はすでに2021年の新作映画のラインナップのすべてをHBO MAXで劇場公開と同時に配信すると発表している。これが新規契約の増加の1つの要因となっているとも考えられる

定額配信サービスの市場は、過去10年に渡ってNetflix、 Amazon Prime Video、 Huluが激しく戦ってきた。そこにDisney+、HBO MAX、NBCのPeacockなど新規参入が相次いでいる。当然競争が激しくなり、独自コンテンツ獲得のために多額の費用がかかることとなる。この点で言うと、HBO MAXやDisney+、Peacock等はグループに映画やコンテンツ制作会社があり独自コンテンツを持てると言う強みがある。

競争の結果と言う側面もあるが、グローバルで見るとHBO MAXやDisney+、PeacockはNetflixほど多くのマーケットに参入しているわけではない。これが、今後、規模の経済を追求する時に影響しそうだ。

Netflixは、今までと同様に、コンテンツの調達にも力を入れており、ヒット映画の「ナイブズアウト・名探偵と刃の館の秘密」の続編2作に4億6500万ドルもの大金を投資している。これは映画の制作費の10倍にあたると言う。

このような大盤振る舞いも、映画の製作者や俳優の囲い込みと言うような目的もあるとみられている。またSonyピクチャーズと契約を結び、Sonyピクチャーズが保有するスパイダーマンシリーズやマーベルの作品の配信をNetflixを通じて行うこととなった。

地上波、ケーブル、衛星と言うテレビの市場は、大きく変わろうとしている。コロナ禍で需要が急増している定額配信サービスで勝ち残るためには、マーケティング費用も含めてコンテンツへの大きな投資が必要となる。日本ではU-NEXTがHBO MAXの配信の権利を得た。これについては、U-NEXTが多額の対価を支払ったと言うことと、HBO MAXは日本での展開を諦めていると言う2つのことがわかる。今後グローバルレベルで激しい競争が続くことが予想され、誰が生き残るのだろうか。

各国でインターネット企業規制

世界中でインターネット企業への逆風が吹いている。

中国政府は、Alibabaに対して3,000億円の罰金を科し、関連の金融会社のアント・グループの業務内容を見直すように求めた。

オーストラリアでは、GoogleとFacebookにニュース使用の代金を支払う法律を通過させている。

イギリスは、テクノロジー産業の規制を行う政府機関の設置を決めた。

ロシアは、Twitterの帯域を規制して、アクセスの制限を開始した。

ミャンマーとカンボジアは、広範囲のインターネット制限を実施している。

欧州委員会は、AIを利用する技術の利用について規制する計画を発表した。

アメリカでは、Amazon、Facebook、Googleに対して、独占禁止法の適用の動きを見せている。

このような動きが、なぜ各国で始まっているかが、指摘されている。理由は、国によって異なっている。アメリカやヨーロッパでは、巨大IT企業による自由競争の妨害、偽情報の流布、プライバシー侵害の可能性が理由となっている。。ロシアでは、政治的な理由でインターネットによる自由な言論を押さえ込もうとしている。そして中国の場合は、両方だ。独占を抑え、言論をコントロールする目的があるという。

本来インターネットは、グローバルな自由なネットワークだ。World Wide WebやHyper Textなど必要な要件を満たせば、誰でも、どこでも、何でも発信できることができるネットワークとして発展してきた。それが、各国政府が規制しようとしているのは、Google、 Facebook、AlibabaなどのIT企業が巨大化し、大きな力を持つようになったからだ。GAFA, BATなどの10大IT企業の時価総額は、1,000兆円にも達している。東証1部の合計の時価総額が700兆円程度なので、それをはるかに上回ることになる。

このように、インターネット企業が巨大化したのは、インターネットが世界中をカバーし、さらに1人勝ちを産みやすいインターネットビジネスの性質があるからだ。

一方では、それはまたユーザ側の利便性ももたらしている。かつては高い郵便料金や電話料金を払って、世界各地の通信を行ったものが今はほとんど無料で行うことができる。様々なサービスを指先で簡単に受けられる。これにより個人や企業も大きな恩恵を受けている。

グローバルのインターネットというネットワークが、各国それぞれの規制が行われるようになると、グローバルと言う機能が失われる。これは、何としても避けたい。

アメリカでは政権になって、FacebookやGoogleといった巨大企業に対して企業分割と言う意見が出始めている。このような政策は、簡単にするものでもない。少なくともアメリカでは、仮にそのような政策が実行にうつされても、何年もかかる裁判を行うことになるだろう。

このような形の逆風を受けて、アメリカの巨大インターネット企業は自主規制と言う形で、プライバシー保護やコンテンツについての自主的な審査を強化し始めている。

World Wide WebやHyper Textが発明されて30年、インターネットの普及が始まって25年、まだまだ進化の過程にあるので、これからも様々なことが起こるのだろう。

Appleのトラッキング防止ソフト

Appleは、恒例の発表会を開催し、いくつかの製品を発表した。コロナ禍を受けて昨年同様にオンラインでの発表だ

Apple TV 4K、M1チップを使ったiMacやiPad Proが発表された。前から話に出ていたAir Tagも発表されている。

この中で新しいiMacのシャープなデザインに目をひかれた。USB-Aが廃止されて、11.5mmという薄型だ。キーボードには、Touch IDも付いている。我が家のiMacも既に5年使っているので、もうすぐ寿命だから、買い換える日が楽しみだ。

しかし、このオンラインの発表会では発表されなかった新しいソフトの方が大きな影響力がある。それはiPhoneのアプリでトラッキングを困難にするソフトだ。来週からは、iPhoneでアプリを利用する際には、トラッキングを許可するかどうか聞かれることになる。これは、トラッキングを利用して広告を配信している企業には大きな影響力がある。

携帯電話のシェアは、日本ではAppleは46.5%でトップ、2位はシャープだが、はるかに引き離されて13.3% 。 以前はiPhoneのシェアが70%を超えていたが、徐々にアンドロイドが増えて今の比率に落ち着いている。AppleのiPhoneは世界で見ると25%程度のシェアなので日本は倍近く高いと言うことが言える。

その高いシェアを持つiPhoneはプライバー保護から、トラッキングを行うクッキーを規制してきた。iPhoneに搭載されている、同社のブラウザのSafariにITP(Intelligent Tracking Prevention)がすでに装備されている。何段階かのアップデートを経て、広告配信をすでに難しくしている。ITPによって、Google広告やYahoo!広告が発行する計測タグが制限されているのだ。

そして、昨夜Appleがリリースで発表したのは、新しいソフトウェアである。これが来週からiPhoneで動き始めて、iPhoneでアプリを利用する際には、トラッキングを許可するかどうかを聞かれ、許可・不許可を選べるようになる。多くの人は不許可を選ぶだろうから、トラッキングによる広告が非常に難しくなる。これはインターネット広告業界に大きな影響与える。特にFacebookには打撃となる。

しかし、だからといって致命的になると言う事でもなく、先に述べたようにiPhoneの世界のシェアは25%で影響受けるのはその部分だけだ。とは言え25%は大きく、Facebookは昨年840億ドルの広告費を得ているのでその25%は200億ドルを超える。日本の広告費が6兆円程度まで、コロナで減少したので、日本の広告費の3分の1程度が影響受けると言う事だ。大きいと言えば大きい。

Googleも2022年のクッキーのサポート停止を発表しているので、長く続いたクッキーによるトラッキングを利用した広告手法はもはや有効ではなくなる。

これに対して様々な提案がテクノロジーや広告の業界から発表されている。どのようなテクノロジーで広告のターゲッティングの精度を維持するのか皆が注目している。

Appleは広告の企業ではないので、ユーザのプライバシーを守ると言う錦の御旗を掲げれば誰も反対はできない。しかし、ユーザのプライバシーを守ると言う事以外にも、自らのプラットフォームを利用して大金を稼いでいるFacebookへの嫌悪感があるのではないと邪推する。

直線的な上昇の成長続けてきたインターネット広告だが、このような状況を受けて少し成長が鈍化するのではないかと思われる。