定額映像配信サービスの競争激化

パンデミックの発生後、恩恵を受けたのはオンラインショッピングやリモート会議ツールなど様々あるが、定額映像配信サービスもその一つだ。

中でもNetflixは契約者を急増させ、2021年の新規加入者は3,700万人を数え、全体で2億人を超えた。これも、要因となり、創業以来の初めての黒字転換を果たした。

2021年3月末現在で、Netflixの契約者数は2億760万人。そのうちの6,700万人がアメリカ国内であるので、世界展開が成功していることがよく分かる。日本の数字は発表されていないのでよくわからない。

しかし、その成長にも限りが陰りが見えてきたようだ。2021年の第一四半期では加入者が400万人弱で終わり、見込みの600万人を達成することができなかった。このために株価も13%下落している。

同期の2020年の第一四半期は1,580万人の新規加入者だったから伸びは著しく同化している。と言っても、昨年のパンデミックの始まったという時期でもあり、同じように考えてはいけないのかもしれない。しかし、四半期で400万人の新規加入と言う数字は、2013年以降最低の数字となるそうだ。

Netflixの料金の値上げと言うことも影響している可能性がある。アメリカでは2020年10月にスタンダードプランを1ドルを上げて14ドル、プレミアムプランを2ドル上げて18ドルにした。日本でもベーシックを110円あげて990円、スタンダードを170円上げて1490円とした。プレミアムの1980円は変わっていない。これが、新規獲得にどの程度影響しているのか。

競合しているHBO MAXは同時期の1月から3月で270万人の新規契約をとっているので、競争が激化しているとも言える。HBO MAXは、従来から有料放送のHBOの契約者やワーナー映画のコンテンツも背景にしていることもあり、強気の月15ドルと言う価格にもかかわらず好調のようだ。

ワーナー映画はすでに2021年の新作映画のラインナップのすべてをHBO MAXで劇場公開と同時に配信すると発表している。これが新規契約の増加の1つの要因となっているとも考えられる

定額配信サービスの市場は、過去10年に渡ってNetflix、 Amazon Prime Video、 Huluが激しく戦ってきた。そこにDisney+、HBO MAX、NBCのPeacockなど新規参入が相次いでいる。当然競争が激しくなり、独自コンテンツ獲得のために多額の費用がかかることとなる。この点で言うと、HBO MAXやDisney+、Peacock等はグループに映画やコンテンツ制作会社があり独自コンテンツを持てると言う強みがある。

競争の結果と言う側面もあるが、グローバルで見るとHBO MAXやDisney+、PeacockはNetflixほど多くのマーケットに参入しているわけではない。これが、今後、規模の経済を追求する時に影響しそうだ。

Netflixは、今までと同様に、コンテンツの調達にも力を入れており、ヒット映画の「ナイブズアウト・名探偵と刃の館の秘密」の続編2作に4億6500万ドルもの大金を投資している。これは映画の制作費の10倍にあたると言う。

このような大盤振る舞いも、映画の製作者や俳優の囲い込みと言うような目的もあるとみられている。またSonyピクチャーズと契約を結び、Sonyピクチャーズが保有するスパイダーマンシリーズやマーベルの作品の配信をNetflixを通じて行うこととなった。

地上波、ケーブル、衛星と言うテレビの市場は、大きく変わろうとしている。コロナ禍で需要が急増している定額配信サービスで勝ち残るためには、マーケティング費用も含めてコンテンツへの大きな投資が必要となる。日本ではU-NEXTがHBO MAXの配信の権利を得た。これについては、U-NEXTが多額の対価を支払ったと言うことと、HBO MAXは日本での展開を諦めていると言う2つのことがわかる。今後グローバルレベルで激しい競争が続くことが予想され、誰が生き残るのだろうか。