「2リットルの水」健康法の神話

いつ頃始まったのかよくわからないが、毎日最低2リットルの水を飲みましょうと言う健康法がある。確かに、脱水症状は良くないので、健康には悪くないと思うが、果たしてどれだけ良いのか、根拠はあるのか、知らなかった。アメリカでも、この健康法は、ポピュラーだそうだ。1日に何度も「水を飲みましょう」とリマインドしてくれるTwitterのボットに登録している人もいるらしい。それもあり、自分も、なるべく水分を途切れずに飲んでいる。

ちょうど水を飲む健康法に関する記事をNYTで読んで、その健康法の間違いを知った。その記事の中でアラバマ大学の腎機能研究者は、水分補給は重要だが、たくさんの水を飲めば健康になると言う考えは真実ではないと言っている。普通に健康な人は慢性的な脱水症状になるわけでなく、1日中水を飲み続ける健康法は正しくないと指摘している。また、ミシガン州のオークランド大学腎臓内科医で準教授は、医学的な見地から水分補給の最も重要な指標は、体内のナトリウムのなどの電解質と水のバランスであると答え、それを維持するために1日中コップの水を飲み続ける必要はないと言っている。

日本では、1日2リットルの水と言うマジックナンバーが信じられるようになっている。しかしこれも何の根拠もない数字のようだ。同医師によれば、体の大きさや気温、運動量によって必要な水の量が変わるので、毎日一定の量の水と言う決まりがあるわけではないという。喉が渇いたときに水を飲めばいいだけで、無理に飲み続ける必要は無いそうだ。ただし70代・80代の高年齢者は喉の渇きを感じることが少なくなるので、意識して水を飲むと言う事は良いと言っている。

日本ではよく言われるのは、お茶とかコーヒーではなく普通の水を飲むのが良いとされている。しかし、これも水でなければいけないと言う理由は無いようだ。カロリーの問題を考えれば、砂糖入りやフルーツジュースなどを避けるのが良いのがわかる。しかし、水分の補給と考えれば何でも良いようだ。よくカフェインやアルコールが入っている飲料は脱水症状になるといわれるが、利尿効果で多少の脱水を起こす可能性があるが、無視できるものだそうだ。2016年に行われた男性72人を対象とした調査で水、ビール、コーヒー、紅茶の水分補給効果はほぼ同じと言う結果が得られている。

それに、無理に水を飲まなくても、私たちは毎日食事からも水分を補給している。さらに食物を消化する過程では副産物として水ができるので、これも体内の水分補給の1部となっていると言うことだ。

水の話では、電解質のレベルの話も聞く。だから、スポーツ飲料を常用するような人もいる。記事の中の医師によれば電解質はナトリウム、カリウム、塩化物、マグネシウムなどの電気を帯びたミネラルで、体の水分のバランスを整えるのには重要な物質だそうだ。これらは、神経、筋肉、心臓の機能を保つためには必要な栄養素だが、普通の健康な人は電解質を添加した飲料を飲む必要は無い。必要な場合は、暑い中での激しい運動や嘔吐や下痢で大量の水分を失ったりするような異常な状態だけという。それ以外では、スポーツドリンクは必要ないと言う。

もちろん水を飲むことにあまり害はないが、大量になると病気を引き起こしたり、場合によっては死に至ることもあるようだ。2007年にイベントに参加した28歳の女性が3時間で9リットルの水を飲み低ナトリウム血症で死亡したと言うこともあったようだ。これは俗に言う水中毒で、大量の水のために電解質のレベルが限界を超えて低くなったことによる死亡のようだ

この記事の結論としては、毎日何リットルと決めて朝から飲み続けるのではなく、喉が渇いたときに必ずしも水ではなくても、飲みたい水分を飲みたいだけ、飲めば良いと言うことだ。

なんとか健康法と言うのは、誰が言い出してどのように広まるかよくわからないが。2リットル水健康法も、同じように何の根拠もなく誰かが言い出したものが広がったのだろう。