色彩のみの登録商標からピンクを解放せよ

色彩のみの商標権が、日本で認められるようになったのは2015年のことだ。それ以来日本でも色彩のみの商標が登録されてきた。ヨーロッパでは、それ以前から色彩のみの商標が登録されている。ドイツテレコムはピンクと赤紫の色を商標として、1995年に登録し、ドイツテレコムと携帯電話子会社、T-Mobileで全世界50カ国で使用している。

ピンクの独占との戦い

このピンクの独占に対抗したのが、5年前に創業したばかりのアメリカの保険会社のLemonadeだ。Lemonadeが、2019年にドイツに進出したときに、同社の使用するピンク色のマークが、ドイツテレコムが商標登録しているピンク色と類似していると言うことで使用差し止められた。直後から、#FreeThePinkという活動を始めた。

フランスで勝利

今月になって、今度はフランスでLemonadeはピンクの使用を求める訴えを起こし、勝利した。これにより、Lemonadeは、フランス国内でピンク色の商標を金融の分野において使用することができる。フランス当局は、金融分野においてドイツテレコムがピンクを実際に使用している証拠がないと言うことを理由にあげている。これで、フランス国内では、ピンク色のLemonadeのマークとT-Mobileのマークが共存する。

色彩のみの商標の数

両者のマークを見比べると、似た色であるが微妙に濃度の違うピンクっぽい赤色で、その中に白抜きでロゴが書かれている。ロゴと同時に使用されているので誤認の恐れは全くないが、マーケティングと言う観点では最初に目に入る色を独占したいと言う意図がよく理解できる。アメリカでは色彩の商標が、400件近くも認められており、またヨーロッパでも300件近くも認められている。一方日本においては、色彩のみの商標として登録されている認められているのは8件に過ぎない。色彩のみの商標登録は、特許庁によれば、①単色、②色彩の組み合わせ、③商品等における位置を特定だ。③の位置の特定については、商品の特定の部分について色彩を用いるもので、例としては包丁の柄の部分に色が付いている、あるいはゴルフバックのベルトの部分を特定の色にしているなどである。

日本の最初はセブンイレブン

この色彩による商標が最初に認められたのは、セブンイレブンの「白、オレンジ、緑、赤」の4色の組み合わせである。それ以降、トンボ鉛筆の消しゴムケースの「青、白、黒」や三井フィナンシャルグループの「濃緑、薄緑」のツートンカラー、UCCコーヒーの「茶色、赤」の組みわせが、現在まで認められてきている。世界第二位の広告市場で、マーケティングが盛んといういうことを考えると、この件数は少ないと言える。

単色登録の問題点

これは、ヨーロッパやアメリカの状況を考えると件数は少ない。ただ、単色の商標が認められると今回のドイツテレコムとLemonadeのように問題が発生する可能性が高いと思う。この両者のピンク色の赤は並べてみれば微妙に違うのだが、別々に見ると同じ色と認識される。

それに対して権利を主張する事は、まるで普通に使われている言葉、例えば「空」などをを登録商標にしてしまうような問題があると考える。マーケティング的には、最初に目に飛び込む色彩を登録する意味は理解できるが、それを単色で行う問題点が、今回のドイツテレコムとLemonadeの争いからよく分かった。