Googleに対する独占禁止法違反の訴訟

Googleに対する独占禁止法違反の訴訟が長く話題になってきた。そしてついに今週、アメリカの連邦司法省が、11の州と共同で、Googleに対して訴状を提出した。

この訴状によれば、Googleは端末メーカーやその他に多額の金額を払い、Googleを標準の検索エンジンとして固定させ、他の検索エンジンの参入を阻害して、検索エンジンと検索広告の市場を独占していると言う理由が示されている。

確かにGoogleは、世界の検索市場の92%を支配して、そこからもたらされる巨額の検索広告をほぼ独占している。その金額は兆の額に達する。

しかし、今回の訴訟については、政治的な動機も噂されている。と言うのは連邦司法長官を始め、11州の司法長官も全員が共和党員だからだ。一般的に民主党を支持しているIT業界の企業に対して、トランプ大統領が選挙前に攻撃に出たと言うような観測もある。

司法省が指摘するGoogleの反独占禁止法的な行為とは、Appleに対してiPhoneの標準的な検索エンジンをGoogleにするために、毎年1兆円を超える金額を支払っていること、またそこで発生する検索広告の収益から一定の割合をAppleに支払い、iPhoneをGoogleの検索から逃れられないようにしていることが理由の一つになっている。

iPhoneは全世界のスマホの15%のシェアを持ち、広告の大市場であるアメリカや日本ではそれを超える圧倒的なシェアを持っている。ここから得られる検索広告の収益は莫大なものと推定できる。またスマホの残りの大多数、80%を超えるOSはアンドロイドであり、これはGoogleの所有のOSだ。iPhone以外のスマホは、ほぼこれに準拠しており、全世界のiPhoneを除くスマホはGoogleの支配下にあると言ってよい。

アンドロイドを採用する携帯メーカーは、Googleとの契約によりホーム画面にGoogleのアプリを最初からインストールして、Google検索を標準としなければいけない。つまり携帯メーカーは世界の業界標準となっているアンドロイドを使うためにはGoogleとの検索の標準固定の契約から逃れられないのだ。

このiPhonのAppleとの契約とアンドロイドによる支配により、スマホの検索は独占状態と言って良い。

またPCにおける検索も、GoogleのChromeは、ブラウザで第一位のシェアを持っており、こちら当然のことながらGoogleが標準の検索エンジンとなっている。その他の競合するブラウザに対しては、例えばAppleのSafariはiPhoneと同様の契約をしており、Googleを標準の検索エンジンとしている。

同様の契約を、様々な企業、ブラウザ・メーカー、通信キャリアと行なっている言われている。

このような端末メーカーなどを縛るような契約が反独占禁止法と指摘されているわけだが、Googleはユーザーの選択の結果だと反論している。確かにGoogleの検索エンジンが事前に標準とされていても、ユーザーは、それを変更したり、アプリを削除することや、使わないと言う選択もできる。だから、最終的にはユーザーの選択と言うことも言える。

ただし、リテラシーが低い場合は変更は難しいし、面倒でしない人もいるだろう。Googleの検索エンジンに満足していない人が多い場合には、それも起こるが、多くの人がよく分からずに満足しているのが現実だ。

実際、このようなプロモーション的な契約は、Google以外の会社も行ってきている。司法省に独占禁止法で訴えられたMicrosoftの場合には、ブラウザのインターネット・エクスプローラーをウィンドウズのOSに組み込んで標準としたことが訴訟の理由となった。これについては、長い裁判の結果和解が成立している。

日本ではインターネットが普及する過程で、Yahoo! JAPANはPCメーカーに一定の金額を支払って、ブラウザのホーム画面としてYahoo! JAPANのサイトを標準で設定した。これによりYahoo! JAPANは、日本においてインターネットの玄関であるポータルとしての地位を築いて、日本最大のインターネットの会社となった。

今回の訴訟について、政治的な背景や今後の展開はわからないが、Googleがあまりにも巨大であるが故の、アメリカらしい成り行きだ。アメリカと言う国は、自由を重んじて競争がより良いサービスや国民の利益につながると言う強い信念があり、Googleのように1つの市場を完全に独占しているような場合には政治が動き出す。

ただしMicrosoftの時のことと同じようにその進捗はゆっくりで最終的な結論が出るまでは、何年もあるいは10年を超えるような期間が必要な気もする。これはインターネットの世界では世紀にも相当する時間で、新しいサービスや新しい技術が登場して、例えば検索サービスと言うようなことを私たちの生活から不要にしてしまうようなこともあり得なくもない。実際に、検索がインターネットの入り口だった時代は、ややソーシャルメディアが入り口に変わりつつあり、その変化は激しい。