インターネット上の安全とプライバシー保護

インターネット上の空間は現実世界とは別ではなく、そこには現実世界と同じように言葉の暴力や犯罪行為が溢れている。

IT関連ではFacebookの内部告発者により、Facebookが、自社の利益を守るために公共の利益や安全を無視してきたと非難されている。コンテンツがユーザによって作り出されるようなプラットフォームにおいては、ユーザによるコンテンツの創出を妨げるような事は一切せず自然に任せると言うことがFacebookのポリシーだったのだろう。そのほうが儲かるからだ。

しかしながら、Facebookはあまりにも巨大になっている。電話や電気のように、人々の日常生活に必要なものだ。このような存在になると、社会に対する責任があることを自覚すべきだった。

以前より、インターネット上の違法・有害コンテンツに対して誰が責任をうべきかと言う議論は何度もされてきた。最終的には日本においては、プロバイダ責任制限法により、違法コンテンツに対するプロバイダの損害賠償責任を免責にしている。しかしながら、有害なコンテンツに関しては自主的な禁止や削除の行うことをプロバイダに求めている。これについては表現の自由とも合わせて、グレーの領域となる。Facebookも表現の自由との厳しい判断となるが、自主規制を強化する方向で動くのだろう。

一方で、AppleとGoogleが取り組んでいるオンライン上のプライバシーについては、一般のユーザからは評価されている。しかし、広告主の企業やユーザのプライバシーのデータをもとに広告を配信しているFacebookのような企業からは非難の声が上がっている。

Appleは2017年にそのブラウザのSafariからサイトをまたぐクッキーを無効にする機能を付け加えた。さらに2021年に入って、iPhoneのアプリの使用の際に、ユーザにアプリやウェブサイトをまたいでトラッキングされることを認めるか、認めないかを決める機能を追加した。これに対して、多くの人がトラッキングされないことを選んでいると言う。

Googleは、2023年にはGoogle Chromeからサイトをまたぐクッキーをブロックする機能を付け加えることを発表している。そして、クッキーに変わる、個人を特定しないでグループとして広告を配信する新しい仕組みを発表している。

Google Chromeはシェア1位のブラウザであり、AppleのiPhoneはシェア1位のスマホであるため、今まで通り属性や行動履歴をもとにした広告配信はできなくなる。

iPhoneに表示される広告は、個人を特定したものではなく、今までのテレビ放送のように、幅広い人に向けたものになる。このために広告の効率は著しく下がる。

Google Chromeにおいても、グループとして認識されるために、iPhoneほど一般的ではないものの、これまでのインターネット広告のようにピンポイントで特定の商品に絞った広告ではなく、それでも関係するような商品の広告が表示されるようになる。例えばNikeのサイトを訪問して、特定の靴を見た場合には、その後はNikeの特定の商品ではなく、様々なスポーツシューズの広告が表示されるようになる。

どちらの場合でも、広告の効率は今までのインターネット広告のように、ピンポイントでユーザに広告を出すわけではなくなるので、著しく下がる。つまり広告主は広告費の効率が下がり、結果的に商品の値段が上がるかもしれない

iPhoneの場合には、全くターゲットが分からないので、広告効果が落ちるので、広告主がiPhoneを使用しなくなる可能性もある。その場合、iPhone向けのアプリについては、今までのように無料ではなく有料課金モデルが増えてくる可能性がある。しかしこれについては、個人の嗜好なのでプライバシー保護を求める人にとっては良い環境が生まれることになる。

Google Chromeの場合には、グループとして広告のターゲットになるので、Appleの場合よりもやや広告の効果はある程度維持される。このために広告主は主にGoogle ChromeやAndroid向けの広告行うようになるのかもしれない。その場合には、アプリ開発者や、ニュースなどのウェブのサービス事業者は、Androidを含めたGoogle Chrome向けのサービスに特化していくことになるのだろう。もちろんAppleのSafariで、サイトが全く見えないと言うことではないが、SafariやiPhoneで見ると、広告が表示されない白紙のスペースがたくさんあるサイトになるのかもしれない。

様々な詐欺や犯罪にあわないために、インターネット上でプライバシーを守る事は重要なことだ。そしてAppleもGoogleもその方向で動いているのは望ましい。ただその結果として今後インターネットのにおけるサイトやサービスがどのようになっていくのかは、広告と言うビジネスモデルを欠いて、成長していけるかどうかは、有料課金モデルを受け入れるユーザ次第で不透明になると思われる。