半沢直樹が証明したもの

LINEが発表した「2020年に流行ったと思うもの」の総合1位は鬼滅の刃、2位はGoToキャンペーン、差3位は半沢直樹だった。以下、集まれどうぶつの森、Zoomと続く。

鬼滅の刃が、「2020年に流行ったと思うもの」の1位

鬼滅の刃については、納得できる結果だ。現時点では興行収入は歴代2位だが、千と千尋の神隠しとは、わずかの差なので、近日中に歴代1位になることは確実だ。しかも、これは映画だけの話で、書籍やその他関連グッズを考えるとそのヒットは凄まじいものがある。

実は私個人は見てはいないのだが、内容を見聞きするに、鬼に家族を奪われ、妹を助けるために鬼と戦う主人公は、まるで今年の私たちのコロナウィルスとの戦いを思わせる。2020年に、私たちは、全く勝ち目のない戦いを強いられているが、そのフラストレーションが鬼との戦いを続ける主人公に共感するのだと思う。

GoToキャンペーンは流行ではない

GoToキャンペーンについては、「流行った」という言葉が適切かどうかと思う。確かに、私も使ったし、多くの人が使っているが、コロナウィルスによる移動自粛の反動として、補助を使って旅行ができるという消極的な選択の結果であり、流行ったということとは違うような気がする。だから、結果的に多く使われたが、私たちの気持ちの反映と思えない。

半沢直樹に注目

それよりも、3位の半沢直樹に注目したい。2020年はコロナウィルスとその結果のステイホームの年だから、Zoomによるオンライン会議や飲み会、あつ森などのゲームの流行、YouTubeなどオンラインの動画の流行などの状況の中で、テレビドラマが大ヒットした。

これは、コンテンツの強さの結果による流行だ。7年前の2013年に大ヒットしたテレビドラマが、2020年に帰ってきた。コロナウィルスにより撮影が遅れ放送が延期になった。この間にプロモーションも行われたり、撮影中断のために放送休止があったりと、話題もたくさんあった。それが、奏功したのかどうか分からないが、7月から9月にかけて放送され、コロナ禍の最中に人気を得た。

総合視聴率で44.1%

リアルタイム視聴とタイムシフト視聴の合計の総合視聴率で44.1%を記録した。40%以上を超えるのは、ビデオリサーチが2016年からタイムシフト視聴を加えた総合視聴率を発表するようになってから、初めてと言うことだ。全世帯のほぼ半分が見たと言うことだ。これは、とんでもない人気のドラマだったと言うことが言える。

テレビ局のビジネスモデル

テレビ離れや趣味嗜好の断片化と言うことが言われて久しい。そんな中でも、強いコンテンツは、多くの人を集めると言うことだ。20世紀型の無料テレビ放送と言うビジネスモデルが、コンテンツの種類によっては有効だと言うことの証明になっている。電波によるテレビ無料広告放送と言う送信システムと、家庭におけるテレビと言う受信システムが、21世紀の今でも健在で、使い方によっては有効な使い道があることが分かった。

今のような、あまり興味がわかない(少なくとも私には)放送を続けるのでなく、テレビ局はコンテンツ制作に力を入れて、オンラインによる配信と電波による無料広告放送の組み合わせに、ビジネスの勝機を見いだすべきではないかと考える。そして、20世期型の放送インフラが不要になったら、免許を返上すれば良いのである。

そのためには緻密なコンテンツ戦略を組み立てるべきである。フローで消えていくようなコンテンツとストックされるようなコンテンツの組み合わせにより、広告収入・サブスクリプション・ライセンス収入と収益モデルの多角化を図るべきだ。

21世紀の今でも、20世紀のインフラは機能している。しかし、私たちの生活習慣がどんどん変わっているし、これからはもっと変わる。手遅れにならないうちに、既存のインフラを有効に活用した上で、長期のビジネス戦略を考えるべきであろう。