米国通信品位法230条(セクション230)の今後

Google Facebook TwitterのCEOが米国議会の公聴会にオンラインで出席し、1月6日の暴動との関連について質問を受けた。

暴動と自社の関係について質問されたGoogleのサンダー・ピチャイ氏と僕のFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏は質問に回答しなかったが、Twitterのジャック・ドーシー氏は、5人が死んだ暴動とTwitterは関係があることを認めた。

しかし、認めたとしてもTwitterが責任を問われることはない。なぜなら、インターネット企業は、米国通信品位法230条(セクション230)によって守られているからだ。インターネット企業は、虚偽や問題のある投稿に対して責任を負うことはないと定められている。

条文では、下記のように書かれている。

No provider or user of an interactive computer service shall be treated as the publisher or speaker of any information provided by another information content provider.

(Section230)

つまり、Twitterのようなインターネットのサービス企業やユーザーは、そのサービスで提供される情報の発行者や発言者ではないとみなされている。

これには2つの要素がある。下記の「丸紅ワシントン報告」で峰尾氏がまとめているので、引用する。

i. 「第三者提供情報コンテンツの包括免責」双方向コンピューターサービス1の提供・利用者は、第三者から提供されたコンテンツの発行者(Publisher)とは看做されず、その内容に責任を課されてはならない(Section 230(c)(1))ii. 「好ましくない情報コンテンツ規律への免責」双方向コンピューターサービス提供・利用者が、「善意に基づいて」、第三者提供情報コンテンツの中で、好ましくないと判断した内容を、修正・削除等した場合、責任を課されてはならない(Section 230 (c)(2))

「丸紅ワシントン報告」

セクション230により、インターネット企業は、掲載しているコンテンツについては、広範囲な免責が保証されている。しかし、すべて免責ということについては、議論があり、2018年に売春・人身売買に係る第三者コンテンツを掲載した場合については、例外規定が設けられた。

トランプ前大統領は、自らの情報発信がファクトチェックなどの制限を受けたこともあり、このセクション230については廃止あるいは制限を設ける事を主張していた。実際にインターネット企業の230条を制限する大統領令にも署名をしている。そしてバイデン大統領も同様にセクション 230についての改正の必要、あるいは廃止について主張していた。

この民主党と共和党の主張は改正・廃止の意見は同じだが、方向性は違っている。先の丸紅のレポートに書かれている第一のポイントの、コンテンツについての免責については、民主党が問題視している。一方、共和党は第二のポイントの編集を行ったとしてもそれについての責任を負わないと言う点を問題視している。両陣営は、セクション230を問題にはしているが、ポイントが違っているのである。

この問題にどう対応するか。共和党と民主党の違いをどう調整するかが、今後のセクション230の運命を決める。全く違う主張している両党の考え方が調整できるかどうか不明だ。議論されているいくつかの考え形としては、免責の範囲・方法を決めると言う方法だ。

1つはインターネット企業に事前チェックの義務を課す。偽情報や過度に政治的な情報について検閲をして問題あるコンテンツを削除させると言う事。2つ目は、売春・人身売買のような、今の例外規定を拡大して、免責が適用されない項目を増やすと言う方法だ。

米国議会と両党がどのように歩み寄り、結論を下すかわからない。どのような方法であれ、インターネット企業は、コンテンツの事前チェックのためのシステムの導入やコストが上昇する。事前チェックの結果、中庸の内容になり、内容は重要なつまらないものになり、ページビューは減少して、広告収入も減る可能性がある。

インターネット業界の興隆を支えてきたセクション 230がどうなるかによって業界全体の運命も変わってくる。