フェルメールの作品分析

面白い記事を読んだ。パンデミックにより美術館の休館が続いているので、美術品の研究が進んでいると言うことだ。美術館が開館しているときは、来場者のために美術品を研究所に持ち込んで調査を進めると言うようなことができない。しかし長期にわたって休館していると、十分な時間をとって作品の研究ができると言う。美術研究にとっては不幸中の幸いと言うような事だ。

読んだのは、ワシントンのナショナル・ギャラリーのフェルメールのことだ。ナショナル・ギャラリーには、手紙を書く女性」、「天秤を持つ女性」、「赤い帽子の女性」、「フルートを持つ女性」という4作品が展示されている。この中に、個人的にも、多くの研究者も完全にフェルメールの真筆とは考えていない作品がある。1つは「赤い帽子の女性」、もう一つは「フルートを持つ女性」。どちらも他のフェルメールの作品のようにキャンバスには描かれておらず、板に描かれている。それに、ひと目見て、他のフェルメールの作品にあるような光のグラデーションや深みが感じられない。だからナショナル・ギャラリーでもフェルメールのものとは断定せずに、「Attributed to Vermmer」(考えられる)と言う断定しないような、曖昧な説明書きが付されている。

研究が進んでいるのは、この2作品についても同様だ。もう一つ驚いたのは、ナショナル・ギャラリーは、アメリカ空軍のU2のような偵察機用のカメラを開発している会社の研究者を雇って、美術品の研究をしているということだ。その会社のカメラは先日の火星探検の際にも使われるほど高性能のものだと言う。

絵画の分析に使われているカメラは、X線分光器カメラとでも訳すのだろうか。絵画分析のために作られている特殊なカメラで、反射してくる光の波長を分析して、絵の具に含まれている物質を特定できる。

反射してきた光の波長により、その絵画の絵の具の亜鉛、銅やその金属を測定したり、紅い絵の具に含まれるカイガラムシの測定もできるということだ。

それで肝心のフェルメールの作品の分析だが、結論から言うとまだわからない。分析によれば他の作品に比べて、下地の描き方が荒いなど、他の作品との相違点がいくつかあることがわかってきた。しかし、まだ結論が出せないと言うことだった。

興味を持って記事を読み始めたが、結論はまだ出せずと言うことで、少しがっかりな気分だった。

誰が描いたにせよ、作品が残っているわけで、フェルメールではなくても、あの作品が好きだと言う人もいるだろうから、どちらでも良いと言えばどちらでも良い。

個人的には、一目で、フェルメールでないと思ったから、フェルメールでないとしても驚かない。むしろ、もしフェルメールの作品と確定した場合には、ある時期の習作と言うことになるんだろう。

ワシントンDCには、一年ほどいたからナショナル・ギャラリーのことも思い出して、行きたくなったが、いつ行けるのだろうか。