日刊紙の発行の停止のニュース

アメリカでは日刊紙の発行の停止のニュースが続いている。新たに、ソルトレイクシティーで2つの日刊紙が毎日の発行を止め、週刊に切り替えると発表された。これは対岸の火事ではない。

どちらも古い新聞でソルトレイク・トリビューンは150年の歴史があり、もう一方のデザート・ニュースは170年の歴史を持つ。活字離れとインターネットの普及によりニュースの主な手段は速報性の強いウェブメディアに切り替わっており、新聞には厳しい状況が続いている。

アメリカで新聞と言えば、地元のニュースを取材、編集されて発行されたものが新聞というのが一般的な考え方だ。そのために全国紙は普及していない。コンビニや駅、空港で販売されるUSA today を除いて全国紙は無い。

アメリカでは過去15年間に1400もの都市で地方紙の発行が終わっている。その結果として新聞がない街が増えている。

日本でも、この傾向は同様で、新聞業界全体としては、この数年は毎年100万単位で発行部数が減っている。長い間にわたって発行部数が1位だった読売新聞は、最盛期には1000万部を超えていたが、今は700万台となり、今の現象のペースが続けば近いうちに600万部台になると予想されている。30%程度の減少だ。2位の朝日新聞も、やはり最盛期には800万部を超えていたが、今は500万部を切るような状況となっている。

新聞の発行を支える新聞広告もインターネット広告に抑えられ長期低落傾向にあり、毎年マイナス5%程度の減少が続いている。しかも、その傾向は反転する気配は感じられない。

これは、日本の地方都市の地方紙と呼ばれる各地の新聞も同じで、同様に購読者と広告費の減少の苦境に陥っている。現時点でアメリカのような新聞の発行が継続困難と言うようなことではないが、長いレンジでは同様のことが起こるかもしれない。

ソルトレイクシティーは、人口19万人の街だが、その都市圏には100万人の人口を抱えており、市場としてそう小さいわけではない。日本の地方都市と同様の規模か、いくつかの都市よりも大きい。

購読者の減少と広告費の減少と言うダブルパンチが、日本の全国紙と地方紙を苦しい状況に追い込んでいるが、各紙共に収益の多様化を図り、インターネットでのビジネスに取り組んでいる。これが新聞社全体を支える基盤となるかどうかはまだわからない。

同じ新聞業界でも、ニューヨーク・タイムスが電子版の普及に努め、もともと100万部程度の部数のニューヨークの地方紙だが、2020年の9月時点で購読者が650万人を超えた。つまり朝日新聞を超え、読売新聞に迫る規模だ。650万人のうちの570万人は電子版だけと言う購読者だ。これは、ニューヨーク・タイムズのブランド力もあるが、各種の施策が成功したこともある。特に今年は、コロナウィルスによるステイホームの影響もあり、電子版の購読者が増えている。

多くの新聞は、フリーミアムと言うような記事数限定で無料で読めて、それを超えると有料版に切り替えると言うように誘導されるが、ニューヨーク・タイムズはこれをかなり以前から実施している。

当初は広告モデルで全て無料で行っていたのが、フリーミアムの形に切り替わった。特に今年は、週に2ドルと言う期間限定のお試しキャンペーンを行っており、これが奏功していると思われる。

デジタル技術とインターネットの普及が様々なビジネスに変革を求めているが、メディアの世界もこの影響が大きく、電通広告統計によれば2019年に初めてインターネット広告がテレビ広告を抜き、メディア別の1位になっている。このことからも、購読収入等のないテレビ業界も、新聞のようにビジネスモデルの再検討を求められている。動画においてもインターネット配信やYouTubeにより家庭のテレビの画面は、テレビ局の独占ではない状況が生まれているからだ。テレビ広告費も長期低落傾向にあり、東京のキー局だけではなくローカル局も含めて対応が迫られている。