YouTubeの社会的責任

YouTubeは毎時間に2,000ものチャンネルを削除している。その理由は様々ある。スパムであったり、偽情報であったり、詐欺行為であったり、ヘイトスピーチ等のYouTubeの規約に反するものである。これは、重要かつ責任ある対応である。YouTubeは有害なコンテンツからユーザーを守る義務がある。

2,000のチャネルが削除されると言うのは多いように思うが、全体の数から見ればごくわずかだ。YouTubeには2019年の数字で毎分500時間分の動画がアップロードされている。アップロードされる動画とチャンネルは若干意味が違うが、この数から見れば問題があるとして削除されるのは、ごく一部だ。

YouTubeを利用している人は、趣味で動画をあげている人からビジネスで使っている人まで様々だ。ビジネスで使っている人が、何らかの理由でチャネルが削除された場合に大きな打撃を受けることになる。実際にそのような例はたくさんあるようだ。

さらに、この問題は、削除されるチャネルがメディアや特定の信条を持つグループだったりする場合には、言論の自由も絡んでくるから複雑だ。アメリカやヨーロッパで右翼グループがYouTubeから締め出されて言論の自由を求めて争っていると言うケースはたくさんあると聞く。

特にフェイクニュースや偽情報などの公共の利益に反するような情報発信を行うグループがいくつもあり、YouTubeもその情報拡散の1つとして使われている現状がある。しかし、そのグループやチャネルを他と区別するのも難しい。YouTubeが、そのようなグループを特定して、チャネルを削除することは正しいし、もっと規制を強めて欲しい。

当然のことながら、アップロードされる動画の数を考えても、削除を手作業でやっているとは考えられない。ほとんどはAIがアルゴリズムに基づいて、自動的に削除する仕組みがあるものと思われる。だが、曖昧なものは人による判断になっているのではないだろうか。投稿数を考えると膨大な作業だし、その判断も難しいものだ。

YouTubeだけに限らないが、巨大になったプラットフォームは、その巨大さのために多くの人の生活やビジネスに影響が出る。それを管理して、誰かを排除することも、一民間企業のプラットフォーム会社が行っている。しかもその巨大さは、以前の国ごとのメディアを、はるかに超えて世界的な規模のため、影響も大きい。

YouTubeの全世界のトラフィックは、Googleの検索に次いで第2位の規模だ。ちなみに3位はFacebook。YouTubeの月間アクティブユーザ数は、世界で20億人を超えている。日本においても、視聴人数はテレビのキー局をに肩を並べるまでになっている。テレビのリモコンにYouTubeのボタンがつくようになって、多くの人にとっては、今までの主要メディアである地上波テレビ局と同様のチャネルになっていると思われる。そして、テレビ離れの進む、若い世代ではYouTubeはますます重要なメディアになってゆく。

巨大かつ重要なメディアに成長したYouTubeは、言論の自由を保障し偽情報や詐欺などの犯罪行為から人々を守る責任がある。

しかし、グローバルに運営されており、アメリカ企業であるために、現状では、日本におけるモニターの枠外の仕組みとなっている。政府に都合の良い情報だけを流すと言うことを求めると言う主旨ではないが、何のモニターもなく、海外からも含めて様々な情報がYouTubeにあげると言う状況については不安な感じがする。もちろん個人的には言論の自由を最も大事な権利だと信じているが、昨今のアメリカのような偽情報や情報操作を行うグループが存在する状況を見るにつれ、YouTubeの対応を信じる以外に、何か対策を検討すべき時期に来ていると感じる。