蜂蜜とブラックスワン

大病を患った友人から免疫についての本のコピーをもらった。その本を手本にして病気がぶり返さないように免疫に気をつけて生活しているそうだ。参考 にということでいただいたので読んでみた。健康法にはきっと色々な理論や考えがあるのだろうが、この本では魚、野菜、木の子をたくさん食べて塩分はさける ということのようだ。個人的には理にかなった食習慣だと思うので可能なことは取り入れようと思った。

その中で一つ気になったのは、蜂蜜を免疫を高める食品として勧めていたこと。ずっと前に蜂蜜は砂糖と同じで何の栄養もないと読んだことがあり、ずっと蜂蜜を避けてきた。アイスクリームや砂糖は エンプティ・カロリーという言い方をするが、同じようにカロリーは高いが何の栄養素も含まれていない空っぽの食品と理解してきたのだ。

それ が、今回、免疫を高める物質が含まれていると紹介されて信じる気になったのは、きっとナシム・ニコラス・タレブの「ブラックスワン」の影響だ。その本の中で、何かがないことを証明するのは大変難しいという例として、かつては母乳には何も有益な物質は含まれていないと言われ、多くの人は母乳ではなく粉ミルクに換えたり、食物繊 維は何の働きもしないと言われ、重要視されてこなかったことが語られる。その食品のメリットの証明はできても、メリットの不在の証明は難しいのだそうだ。 だから何の効用のないと思われた母乳や食物繊維は重要な効能があることは後から分かってきた。

もちろんタレブは健康食品の話を書いた訳では なくて、歴史上にはかつて経験したことことがないような出来事や想像もできなかった現象が起こりえて、特に株価やあるサービスや本と言った社会的現象に起 こる不確実性について書いた。その例はたとえばキリスト教の爆発的な普及やグーグルの成功などだ。それを彼はブラックスワンと呼んだのだが、不確実性の予 測の際に、今まで無かったからとか、理論的に不在が証明できるからとかの理由でブラックスワン的なことが存在しえないということは間違っているということ を主張したのだ。何かが無いと断言することは、何かがあると断言するよりずっと困難なことだそうだ。

彼の主張のように蜂蜜に有用な物質が含 まれていないという証明は難しいということから、今まで空っぽのカロリーと思っていた蜂蜜を、このところ朝ごはんのパンにつけて食べている。本の重要なポ イントではなく、その不確実性の主張の説明のためのたとえ話に影響されて、あっさり宗旨替えというのも、ポイントを外しまくる自分らしいなと納得。今はスプーンに一杯だが毎朝食べている。だからと言って健康になった感じまはまだまったくない。