川崎ブレイブサンダースのSNSマーケティング

日経にBリーグの川崎ブレイブサンダースがSNSを活用してマーケティングに成功している記事が出ていた。SNSの特性とコンテンツのアイディアが紹介されており、スポーツ団体でなくても参考になる良い記事だ。

Bリーグは新体制が発足して常に6年になるが、各地で徐々に元気を集め、試合平均では4000人から5000人の観客を集めている。そもそも、バスケットボールは競技人口の多いスポーツなので当然といえば当然だが、Bリーグ発足までは、内部のゴタゴタであまりうまく行っていなかった。

Bリーグの発表ではコロナ禍前のの2019年―2020年シーズンでは280万人の観客を集めたと言うことだ。競技人口が200万人を超えていることを考えるとまだまだ、成長の余地はある。Bリーグのなかでも、千葉ジェッツは様々なマーケティング活動が成功して何年もリーグトップの観客動員数を達成している。その話も面白そうだが、今回の日経の記事に載っていたのは川崎ブレイブサンダースで、SNSやデジタルマーケティングを活用して平均来場者数は2018年にDeNAが東芝から経営権を買収しした後1.5倍まで、観客数を伸ばし、リーグ2位になったという。それ以前は3位だから、驚異的な伸びとまではいかないが、着実に成果を上げていると言う事のようだ。

コロナ禍による入場制限のために、現在はキャパの半分しか収容できないために観客動員数が減っているが、ホームゲームの平均稼働率は制限人数の90%を超えてリーグ1位となっているという。

この原動力はソーシャルメディアマーケティングと言うことで、Bリーグ・アワードで、2020から2021年においてソーシャルメディア最優秀クラブを受賞した。

日経の記事によれば、Twitterのフォロワーは7万1,000人、Instagramは4万3,700人、Facebookは9,700人、YouTubeは8万8,600人となっていると言う。Facebookの人数だけが、他と比べて少ないのは、Facebookの利用者の平均年齢が高く、あまりバスケットボールに関心がない層が中心ということと、川崎ブレイブサンダースの戦略的なSNS活用の結果と考えられる。

この記事で、川崎ブレイブサンダースのデジタル戦略として紹介されていたSNSの特性に合わせた使い分けが興味深い。

SNSを行動面のロイヤリティーと感情面のロイヤリティーでマッピングして、その特性に合わせてSNSを活用している。YouTubeやTikTokは行動面、感情面どちらでも低い位置にあり、認知拡大や新規ファン獲得に活用している。LINE、 Twitter、 Instagramは行動面、感情面のロイヤリティーどちらも中位で、ファンへの情報共有やプレゼント企画に活用している。そしてFacebookとFantsは行動面、感情面のロイヤリティーがどちらも高く、オンラインサロンとして熱狂的なファン向けと選手との交流に活用していると言うことだ。

このSNSの使い分けは感覚的には理解できる。しかしこのように明確に整理されたものを見たことはないので非常に新鮮で、目を開かされた。

スポーツマーケティングでは、熱いファンの対応が重要であるのと同時に、新規を、どう開拓するかが重要となる。川崎ブレイブサンダースは、YouTubeやTikTokを使って新規獲得認知拡大を意識して使っている。これは、この動画共有メディアの特性やコンテンツの特性を考えると非常にしっくりくる。

記事ではバスケットボールとYouTubeの相性の良さが紹介され、指摘されている。ブレイブサンダースのYouTubeチャンネルは、2016年に解説されたが、登録者は、たった3000人程度だった。それがDeNAが買収して、新たに様々なコンテンツを投入した結果、今の9万人近い登録者数を達成している。

コンテンツの例としては、「~してみた」といった挑戦系動画とか、選手のプライベート動画などエンターテイメントに徹した動画を投稿したと言うことだ。

さらに川崎ブレイブサンダースは、YouTubeのコンテンツを強化するために、クリエイター・インフルエンサー・マネジメントのUUUMとパートナー契約を結び、UUUM所属のはじめしゃちょーや水溜りボンドのカンタなど人気YouTuberとのコラボ動画も制作していると言うことで、これらも新しいファンの獲得につながるコンテンツとなっているのだろう。

また吉本興業との連携もあり、吉本所属のタレントのとのコラボ動画を制作して、バスケットボールの枠を超えたような動画を制作して、認知の拡大を図っている。これも、スポーツと言うコンテンツの強さと限界を知り、それを超えて、一般の人まで認知を拡大しようとする試みだ。吉本芸人のようなタレントとのコラボと言うのは非常に良いアイディアだと思う。実際ラグビーの仕事をしていた時も、実現はできなかったが吉本興業とは様々な取り組みについて議論をしたことがあった。予算や優先順位の問題で、組織内での調整がうまくいかず実現できなかったことは残念だった。

記事の中では、チケットの新規購入者の50%がYouTubeを見ていると言うデータがあると言う。駅の交通広告の効果は高くても20%と言うことで、その差は2倍だと言う。これは、YouTubeと言うメディアの巨大さと、動画によるコンテンツの魅力と言う意味で、非常に理解しやすい結果だ。新規顧客を獲得するようなプロモーションでは、写真と試合の情報を提示するだけでは魅力を提示することが難しいであろう。

川崎ブレイブサンダースの行っているプロモーションは、SNSの特性を理解した上で、コンテンツの制作に力をいれていて、有効な戦略だ。スポーツのマーケティングは、熱狂的なファンの維持と新規の獲得という2つの戦線があり、これの同時進行が重要なので、以前より考えていたことと同じで納得できる。一般企業にも参考になるSNSマーケティングだ。

DAZNがサッカー日本代表選の放送権を獲得

サッカー日本代表のFIFAワールドカップ公式予選の日本における放送パートナーは、長い間テレビ朝日だった。2001年に最初の契約を結び、サッカー日本代表戦といえばテレビ朝日だった。過去に、「日本サッカー応援宣言」や「絶対負けられない戦いがそこにはある」などのコピーや番組オープニングのサラ・ブライトマンの「クエスチョン・オブ・オナー 」と共に、サッカーといえばテレビ朝日のイメージが浸透していた。忘れてはいけないのが、松木安太郎の応援仲間のような共感できる解説だ。しかし、その時代は終わってしまったようだ。

AFCは、DAZNを、今後8年間の日本における公式放送パートナーとして選んだことを発表した。DAZNは、AFCチャンピオンズ・リーグに加えて、AFCアジアカップとAFC女子アジアカップの日本代表チームの試合の放送権も獲得したのだ。

しかし、これには「ただし」があって、一部の試合についてはテレビ朝日が放送すると言うことになっている。

この一部の試合は日本で開催されるFIFAワールドカップ・カタール大会の公式予選の日本代表戦だ。これをテレビ朝日に譲っている。最大の価値があるものなので、この部分はテレビ朝日の出資を仰いだのか、地上波が必要だという電通の思惑なのかはわからない。DAZNの財布の深さを考えると、多分後者だろう。

この結果、公式予選のアウェイの日本代表戦の放送はDAZNだけになる。

日本代表の試合が地上波で放送されないと言うことが、少し前までは予想できなかった。しかし、今後はこれが現実なのだ。確かにアウェイの試合については、時差の問題もあり高い視聴率を期待できないので、地上波の局が高い放送形を支払ってまで獲得する意欲がわかないのは理解できる。さらに、そこにアウェイの地からの番組制作費ということも考えなければならない。広告収入の低下の影響で制作費を節約しなければいけないと言う現状があるのを想像すると自然な流れなのかもしれない。

JリーグやWEリーグの権利に加え、日本代表戦、AFCチャンピオンズリーグの権利もDAZNが獲得したことで、日本における今後8年間は、サッカーといえばDAZNということになるのだろう。

日本代表戦に関してはテレビ朝日と言うイメージは、一部のホームの公式予選で維持されるが、サッカーのテレビ朝日というイメージは消えてゆくのだろう。

アメリカでのオリンピック視聴率

東京オリンピックもあと2日残すのみになった。日本では金メダルラッシュで視聴率もかなり高い。開会式をはじめとして、サッカー、卓球など高い視聴率になっている。無観客であるが、メディアのイベントとしては盛り上がってると言って良いのだろう。

昨日、サッカー日本代表は三位決定戦で破れて4位になったが、バスケットボール女子代表は歴史的な勝利をあげて、決勝に進み、最低でも銀メダルを獲得する。だから、連日、オリンピックの話題で大盛り上がりだ。

しかし、アメリカでは低視聴率でNBCユニバーサルが苦しんでいる。ある意味で、アメリカのNBCユニバーサルがお金を払うからオリンピックが成り立っていると言える。NBCユニバーサルが2014年から2032年までの夏季・冬季オリンピックに対して、IOCに支払う放送権料は、120億ドルだ。つまり1兆円をはるかに超える。だからアメリカで人気のある陸上や水泳の決勝は、北京でもそうだったが、オリンピックがどこであっても、アメリカのプライムタイムに合わせて行われる。

NBCユニバーサルは東京オリンピックだけのために10億ドル以上の金を払ったと想像できる。そして、NBCリバーサルの持つすべてのプラットフォームを利用して7000時間の放送を行っている。地上波のNBC以外に、NBC Sports Network、CNBC、USA Network、the Olympic Channel、the Golf Channel、スペイン語放送のUniverso とTelemundoで放送されている。それ以外にネットでは NBCOlympics.comやNBC Sports アプリと定額映像配信サービス Peacockも使われている。

しかし視聴者は、平均で1,680万人に留まり、リオデジャネイロの2,900万人から大きく落ち込んでいる。このために契約によりNBCユニバーサルは広告主に補償しなければいけない。しかし考えてみればほぼ同じ時間帯にあるリオデジャネイロと、全く地球の裏側の東京と比べると落ち込みは仕方がないことだ。。その落ち込みが、半分近くにもなっているから問題なのだろうが。

落ち込みの理由が時差以外に、あまりにも多くのチャネルで放送しているために、どこで何が放送されているかわからないという問題はないだろうか。今回のオリンピックでは、日本の民放はメインとサブの放送局が決まっていて、同じ日であれば、その局を追いかければよかったので、番組を探すことは容易だった。これが、NBCユニバーサルのようにあまりにも多いと見たい種目を探すのが大変だ。

さらに、もう一つは、Netflixなどの定額映像配信サービスが視聴者を集めて、通常の放送から目を逸していることだ。この傾向は今後も続き、オリンピックといえどもこの流れに逆らえないことがわかった。

NBCユニバーサルにとっても、不運だったのはアメリカで人気のある体操選手のシモーネ・バイルズが団体を棄権したことや、陸上のシャカリ・リチャードソンがマリファナで失格したことも影響している。バスケットボールのスター、レブロン・ジェームズが不在だったことや大阪なおみが早々に敗退したことなど、視聴率に影響を与えたと言われている。

しかし、NBCユニバーサルにとって東京オリンピックの放送は十分に利益が出るもののようだ。東京オリンピックの放送の広告のセールスはリオデジャネイロオリンピックよりも高く、仮に低視聴率の補償があったとしても問題ないと言うことだ。

アメリカではまだ1日10万人と言う新規感染者が発生している状況で、通常の状態ではない。時差の問題も含めて、今回のオリンピックは、NBCユニバーサルにとって特別だろう。次の2024年のパリオリンピックがどのようになるか、NBCにとってもIOCにとっても今後占う上で重要なイベントになる。

オリンピックのブーケ

金メダルを期待されていたサッカーオリンピック日本代表はスペインに1対0で敗れた。最後の最後まで戦い、延長の後半10分の一瞬の隙に得点された。

PK戦で辛うじて勝ったニュージーランド戦も含めて、良い試合をしていたので、大きな期待を背負っていた。どれだけ良い試合をしていても、一瞬で得点されてしまうサッカーの怖さを見た気がする。気持ちを入れ替えて、メキシコとの3位決定戦で銅メダルをとってほしい。銅メダルとは言え、1968年のメキシコシティーオリンピック以来53年ぶりのこととなる。これはこれで偉業だ。

メダリストになれば、メダルと一緒に小さなブーケが渡される。あのブーケは、東日本大震災の被災地で育てられた花からできているそうだ。

ブーケの緑のトルコキキョウは、福島県産。花を育てるには不向きな場所だが、ある非営利団体が、復興支援のために、トルコギキョウの栽培を始めた。放射線量が多く、野菜が栽培できないための窮余の策だったらしい。ブーケのひまわりは、宮城県産。小さなブーケに収まるひまわりを作る努力があったそうだ。そして、小さな青い花は、岩手県のリンドウ。岩手は、知らなかったが、以前よりリンドウの産地のようだ。

復興五輪が忘れられているという意見もあるが、その意思はこのブーケに表れている。知らないで、批判する人の多いことに辟易する。

サッカーオリンピック代表が、銅メダルとこのブーケを受け取れるかどうかは、8月6日のメキシコとの3位決定戦にかかっている。

オリンピックが盛り上がっている

オリンピックについて様々な意見があり、反対運動も来ている。反対や意見が言える日本であって欲しいと思うので、それはそれで良いことだ。

そんな騒ぎの中で、選手たちにとってのオリンピックが始まっている。期待されていたが不本意な結果に終わった選手もいる。多くの国民が期待し、その期待を背負ってのあまりのミスだから、私たちの側に問題があるのかもしれない。

しかし、日本は金メダルを5個取り、6個の中国に次いで、金メダルの数では2位だ。

昨日は、柔道で、兄弟揃って金メダルを獲得した阿部兄妹。男女のきょうだいが金メダルと言うのは日本で初めてだそうだ。卓球混合ダブルスの水谷・伊藤ペアも決勝に進んだ。26日に決勝戦のようだ。ソフトボールも次は決勝戦。どちらも金メダルへの期待が高まる。

大坂なおみ選手もオリンピックでは元気にプレイしているようでうれしい。サッカーでは、なでしこが苦戦しているが、男子は昨日メキシコ下して2連勝。久保と堂安がゴールを決めると言うすばらしい勝利だ。次のフランスを勝利して1位でグループステージを突破してもらいたいものだ。

メディアでは、連日のようにオリンピック反対の意見を言っていた人も、オリンピックが一旦始まると、選手の活躍に大拍手になっている。メディアは、他人の不幸や問題点を取り上げるのが商売だから仕方ない。だが、オリンピックは選手のものだ。オリンピックの商業化と言う批判がなされるが、選手を1カ所に集めて最高のコンディションでスポーツの大会を開くためには、誰かが費用を負担しなければいけない。それがスポンサーシップや放送権と言う形になっているだけで、このこと自体に問題は無い。お金がなければ、大会自体が存在しない。

もちろん、不要な施設、演出や装飾に多額の費用をかけることには問題があり、程度の問題だ。今回のオリンピックでも当初の計画の4倍のお金がかかったとされるが、これは多くの競技場を新設したからだ。本来の大会予算とは言えない。

新設の会場が、今後も経済的に成り立つかどうか。もし成り立つ程度の施設が作られたのであれば、オリンピックのレガシーとして意味があったことになる。

問題は、他の多くの国で起こったように、オリンピックに合わせて、巨大な施設を作り、それがオリンピック終了後に全く使われずに廃墟となり、維持のための費用がかさむと言う状況になることだ。今回のオリンピックのために新設された会場が同じようになる可能性もある。どこかで、必要な施設かどうか、適切な規模かどうかを見極める必要があったのだろう。

8年前にオリンピックの開催決定の熱狂は、コロナの前に消えてしまい、むしろオリンピックが負のイメージになってしまった1964年の大成功と日本の誇りの回復のイメージが強いからか、オリンピックは日本にとっては輝かしいブランドだ。それが大きく落ちたとも言える。

しかし、何度も書くが、オリンピックは選手のためのもので、彼や彼女が努力した結果がこのオリンピックで試されることに意味があるので、その意味でしっかり見て応援したいと思う。

今日は、開会式

いよいよオリンピックの開会式当日。その前日まで開会式を中止すべきかどうかと言う議論がなされていたようだ。関係者が様々な理由で辞任したり、解任されたりする中、メディアにとっては大忙しの、おいしい話題が続いてきた。

一度、自分の口から出た事は取り戻せないので、人は発言に責任を持つべきだ。問題になった人の過去の行動や発言は、過去のこととして許されることではない。しかし、主要な関係者について調査を行わなかった組織委員会にも責任があるだろう。

相互監視社会のようなネット住民による調査も徹底しているから、どんなことでも発見されて問題になる。今や秘密や見逃と言う事はなくなったと言ってよい。エンブレム問題の時にも、そのようなネットでの話題の盛り上がりが問題をさらに大きくした。オリンピックのような注目されているイベントでは、すべての要素や関係者が徹底的な調査の対象になる。今や、全てが晒されると考えた方が良い。これは、これで正しい姿なのかもしれない。

開会式の前にすでに競技は始まっており、ソフトボール代表チームは素晴らしい内容で2勝をあげ、サッカー代表も南アフリカを降した。今日からは、世界から集まった選手たちの姿に注目して、本来のオリンピックのを楽しみたいと思う。

開催決定を歓喜で迎えた8年前から、本当にたくさんのことが起こった。そしてその決定打がコロナウイルスによるパンデミックだ。オリンピックの歴史上はじめての延期ということになり、大会予算も考えると関係者の苦労は測り知れないほど大変だったと思う。自分の経験からしても、収支を合わせなきゃいけないと言うプレッシャーは大きい。そして、そのプレッシャーが、組織内で様々な軋轢を生む。まだ、途中だが、関係者にお疲れ様と言いたい。

そんな中で、ようやくたどり着いた開会式だ。日本が世界が、本来のオリンピック、選手たちが自身の限界に挑む姿を楽しんで見られるような雰囲気に変わってくれればと願わずにいられない。

オリンピックに合わせて世界中から来日したであろう人々との交流は、パンデミックにより既に叶わないことになってしまった。しかし、メディアを通じて世界中の人々に、日本で行われるオリンピックの確実な運営を見てもらいたいと思う。

オリンピックの商業化批判について

オリンピックの開会式まであと4日になった。ここにきて、また開会式に関係する人のことで揉め事が起こっている。本当に開催決定からのこの8年間、多くの出来事があった。関係している人の苦労が想像される。

しかし、オリンピックは選手が自分の努力と能力を試す場であり、選手のためのものである。たとえ観客がいなくてもそれが実施できることになった事は喜ばしい。

オリンピックは選手のためのものと書いたが、一方では、その巨額の運営費を支えるためのビジネスの仕組みも忘れてはならない。その意味でオリンピックは選手のためのものではあるが、広告主や放送局にとって重要なものである。

オリンピックのスポンサーは、4つのレベルに分かれている。ワールドワイドオリンピックパートナー、東京2020オリンピックゴールドパートナー、東京2020オフィシャルパートナー、東京2020オリンピックオフィシャルサポーターである。この順番にスポンサーシップの料金は高いと考えられる。その料金に応じて権利の内容は変わってくる。最上位はIOCのワールドワイドオリンピックパートナーで、世界中で権利が使える。このカテゴリーでは14社が契約をしており、日本企業ではブリヂストン、パナソニックトヨタの3社が入っている。残りの3つのカテゴリーは、組織委員会のスポンサーで国内だけの権利で、今回のオリンピックパラリンピック大会のみのスポンサーだ。

ゴールドパートナーは15社オフィシャルパートナーは28社、オフィシャルサポーターは20社。

このスポンサーシッの契約金額は発表されていないが、トヨタは2017年から2024年までの間の契約に支払った金額は8億3500万ドルと言われており、日本円で1000億円に近い金額だ。この期間には、平昌、東京、北京、パリの夏季大会2回、冬季大会2回、合計4回のオリンピック・パラリンピックが含まれている。国内のスポンサーの上位のゴールドパートナーは、最低でも150億円を支払っていると言われている。

同様に放送局も、オリンピックの運営には欠かせない。彼らを支払う放送権料が大会の経費に使われているからだ。

最大の貢献者は、アメリカのNBCユニバーサルで、彼らは2014年から2032年までの8年間8年間で125億ドル、日本円で1兆3200億円を支払っている。このために、アジアで行われるオリンピックでは、アメリカで人気のある水泳や陸上等の決勝がアメリカの時間に合わせて午前中に行われ設定される。NBCユニバーサルがいなければオリンピックが成り立たないといってもいいほどの放送権料を支払っているからの時間設定だ。

NBCユニバーサルはリオのオリンピックの際には広告売り上げ等で、1,760億円の売り上げを上げたと言われているが.今回はそれを超えると同社は発表している。

オリンピックに限らず、どんなスポーツ大会でも、会場の設定や運営のために巨額の資金を必要としており、これらの広告主や放送局の存在は必要不可欠だ。これを商業化と言う意見も時々見られるが、しかし商業化して資金を得なければ大会そのものが存在し得ない。どこかの空き地で大会を開いても誰も見ることができない。要はそのバランスの問題であって、少なくともオリンピックには会場内で看板を見ることもできないし、過度に商業化されていると個人的には考えていない。

金曜日からは始まる東京オリンピックが無観客になって、テレビで見るオリンピックはどのような感じなのかよくわからない。テレビ局は観客も歓声もない会場を何らかの形で演出して雰囲気を出してくれるものだと考えている。

吉田麻也選手のインタビューへの共感

サッカー日本代表の吉田麻也選手が、オリンピックの無観客について再考できないかとインタビューで発言した。

スポーツ選手にとってオリンピックは特別なもので、人生をかけて、その日のために努力を続けている。そのオリンピックに出場するのに、観客がいないと言う事は残念なことだと感じるのだと思う。特に家族に会場で自身のパーフォーマンスをみせられないという辛さは本人でないとわからない。

吉田選手は、自身が2002年のFIFAワールドカップを観客として体験したときの、大きな感動を語っていて、同じように日本の若者が自国開催のオリンピックを体験できない問題点に対しても割り切れなさを感じているようだ。

それから、吉田選手のインタビューで、もう一つ感激したのは、苦しい時に観客の声が助けになると言う発言だ。後半の苦しい時に、応援してくれるファンの声援に応えようと最後の力を振り絞るのだろう。

スポーツ選手として、政府の方針に対して意見を言うのは勇気が必要だ。それでも、あの発言をした吉田選手を強く支持する。

吉田選手の発言の裏には、イギリスでEURO2021やウィンブルドンが観客を入れて実施されたことに対して、日本ではオリンピックが無観客になったことが影響している。さらに言えば、日本国内でも野球やサッカーは観客を入れて実施されている。どうしてオリンピックだけが別なのか、そういう無念の思いがあるのだろう。

EURO2021の決勝戦は、7月11日にイングランドとイタリアの対戦となり、イタリアがイングランドを降して優勝した。この時点のイギリス国内の新規感染者数は、週間平均で32,116 人だった。イギリスの人口は日本の半分の6,600万人程度なので、これを日本に当てはめると、1日平均で6万人の新規感染者が発生していることになる。日本では、このところ新規感染者が増加気味だが、それでも3,400人程度で、イギリスのユーロ決勝戦の時の20分の1程度だ。これで、感染者数が問題になるのは、昨年から1年数カ月の政府の無策の結果というしかない。

さらに、ワクチンの接種は遅れ気味とは言え、既に累計で4,000万人が接種を受けている。このために65歳以上の新規感染者数は激減した。そして、死亡者は、1日にたった16人だ。その16人の方には、弔意を示すが、それで日常生活や経済活動を含め、オリンピックなどの方針に変更をもたらすほどでもない。

この状況考えても、オリンピックを感染対策を実施した上で観客を入れて行えないのは考え難い。多分、ワクチン接種済みの国内向けのパスポートの発行がデジタル化の遅れによってできないことや、PC R検査による陰性の証明等の手続きの煩雑さを政府が恐れたからなのだろう。

もう一つは、最近の日本で問題でなることが多い、マスメディアの一方的な煽りが政府に影響を与えている。世論に配慮すると言うのは聞こえが良いが、明確なビジョンもなく、流されるままに政策を決定している方法の限界がここにも現れている。

オリンピックまで1週間を切った。なんとも気分的に盛り上がらないが、一昨日の日本代表のスペイン代表との戦いぶりや昨日のバスケットボール日本代表の試合を見て、オリンピックへの期待が少し高まってきた。

6月の日本代表の2次予選の放送局は、どこ?

新型コロナウィルスの変異種により、関西・関東で再び感染者数が急増している。オリンピックの開催の是非についてメディアでは議論が溢れてきた。しかし様々な状況から考えて、最悪無観客で行われると言うことも考えれば、中止や延期は無い。

サッカーのFIFAワールドカップ・カタール2022のアジア二次予選も、コロナ 禍によりスケジュールが大幅に遅れている。そして従来のホーム&アウェイを止めて、集中開催方式に変わった。日本が属しているグループFは、日本での開催だ。これは日本代表にとっては、この環境下で他国に移動し、試合をしなければいけないと言う事態から解放されて、悪いことでは無い。

しかしながら、この試合についても観客の有無やテレビ放送等の詳細はまだ発表されていない。3月に行われた日本対モンゴル戦はフジテレビの放送であった。6月のタジキスタンとキルギスの試合については、それぞれ会場については吹田と発表されているが、テレビ放送についての発表はまだない。

昨年のテレビ朝日の撤退と言う状況と、ABCの放送権が、電通からFootball Marketing Asia(FMA)に移ったことの影響で調整中だと思っていた。

しかしAFCは、4月22日に日本における放送権については電通との契約に変更されたことを発表している。この電通との契約は2021年から24年までの4年間で、電通は放送権を含むコマーシャル権の独占エージェントとなると言う発表だった。FMAの内部の混乱や、ビジネスの不調が噂されていたが、日本と中東・北アフリカを除く全世界のコマーシャルエージェントと言う立場は変わらないようだ。

つまり、現時点においては電通が各テレビ局と6月の第二次予選についての放送の調整を行っているものとみられる。これにテレビ朝日が参戦しているかどうか、興味がもたれる。どうもあのテレビ朝日の今までの放送に慣れている。Sarah Brightmanの歌で始まり、松木安太郎の絶叫で見るテレビ放送が、日本代表の公式戦のイメージが強く、他のパターンに慣れるにはもう少し時間がかかりそうだ。とは言いつつも6月の第二次予選も来月のことであり、試合については不安はないものの、放送局の発表を待ちたい。

アサヒビールが、ラグビーワールドカップ 2023のスポンサーに。

今週驚いたニュースは、アサヒビールがラグビーワールドカップ2023のスポンサーになったことだ。

ラグビーワールドカップの最上位のスポンサーは、「ワールド・ワイド・パートナー」と言うカテゴリーで、6社程度選ばれ、会場に広告看板を出る他に、全世界でマーケティング権を使用できる。また、様々な大会との関連するイベントへの参加権が与えられる。マッチ・ボール・デリバリーの少年少女を選ぶことや、オフィシャルカーを提供することなど、スポンサーの、商品に合わせて決められる。今まで、ビールカテゴリーのスポンサーであったハイネケンは、試合前のコイン・トスをハイネケンのブースで行う権利を持っていた。

2番目のカテゴリーは、開催国内限定のスポンサーで「オフィシャル・スポンサー」。これは「ワールド・ワイド・パートナー」よりも数が多い。会場に広告看板は出せるが、「ワールド・ワイド・パートナー」より、広告看板の数は少なくなる。そして3番目のカテゴリーは、「オフィシャル・サプライヤー」。会場に広告看板は出ない。

アサヒビールの前に、ビールやアルコール飲料のカテゴリーでスポンサーになっていたのはハイネケン。ハイネケンとラグビーの関係は深く、サッカーで言えばUEFAチャンピオンズリーグに当たる、欧州ラグビークラブ選手権は、ハイネケンがタイトル・スポンサーになって「ハイネケンカップ」と呼ばれる。そして、ハイネケンとラグビーワールドカップの関係は深く、2007年から4回にわたってスポンサーを続けてきた。それが今回降りるのはどういうわけなのだろうか。

このようなスポンサーシップの場合には、既存スポンサーに第一交渉権があるので、ハイネケンが交渉しなかったわけではないがと思うが、金銭的な折り合いがつかなかったのだろう。フランスでは、スポーツ会場でのアルコールの提供や広告が禁止するエヴァン法があり、これが障害になった可能性はある。

確かに2015年のイングランド大会では、会場で190万リットルのビールが消費されたと言われ、2019年の日本大会でも、発表はされていないが、かなりのハイネケンビールが売れたと聞いている。

この販売増加分がスポンサーシップの見合いとなって、広告費としてのスポンサーシップ料が出費されており、全世界を対象とした広告は金銭換算で評価が低いとすれば、スポンサーを降りると言うことも理解できる。

ラグビーワールドカップの試合は全世界に中継されており、そこに映る看板の広告の効果は大きいと考える。しかし、それをハイネケンは、あまり評価していないのかもしれない。その金額は、公表されていないが、「ワールド・ワイド・パートナー」の場合には、15億円から20億円と言われている。幅があるのは、そのカテゴリーや契約時の状況によって変わるからだ。

しかし、2018年にUEFAチャンピオンズリーグではアルコールの販売を解禁している。そして、今のところスタジアムで年10回だけ、事前に申請すればアルコールの販売が許可される。そして、このエヴァン法の改正が議論されているようなので、2023年までにはラグビーワールドカップの会場でビールが販売される可能性がある。

当然ハイネケンもそのような動きがわかっているが、それでも二の足を踏んだか、ビールが売れるかどうか分からない会場でのスポンサーとしての出費に踏み切れなかったと言うことなのだろうか。

アサヒビールのほうは、世界市場開拓のためにラグビーに賭けたのだろう。

ラグビーとビールは、切っても切れない関係がある。ビール好きが多いことでも知られるラグビーファンを対象に広告をする事は意味がある。問題はアサヒビールの世界各国への販売体制の展開がどうなっているかだ。販売されていないものは売れないので、世界各国での販売体制の確立がある程度見えているのかもしれない。確かに、ロンドンで働いていた時期に、ロンドンの中心部のパブであれば大抵スーパードライが置いてあり、同僚の多くも好んでスーパードライを飲んでいた。

しかし、それはハイネケンの場合は世界100カ国で生産され、世界170カ国で販売されていると言う全世界の販売体制とは違う。アサヒビールがその域に達していない。ラグビーワールドカップのスポンサーになると言う出費に見合うだけの体制を2023年までに作る自信があるのか、あるいは、このスポンサーシップを梃子に、世界各地での販売についての交渉を始めると言うことなのだろうか。

どちらにしても、ラグビーワールドカップの「ワールド・ワイド・パートナー」に日本企業が入ると言う事は喜ばしいことだ。かつては、オリンピックやFIFAワールドカップに、たくさんの日本企業がスポンサーとして入っていた。しかし、オリンピックではまだパナソニック、トヨタ、ブリヂストンの3社が残っているが、FIFAワールドカップでは、日本企業はソニーの撤退後は、1社もない。 何か日本企業の凋落を反映するようで寂しい気持ちがしていたが、久々に日本企業がメガ・スポーツイベントのスポンサーになると言うニュースは少し勇気づけられる