オンライン会議システムの普及

大学の授業では、Microsoft Teamsを使用した授業を行っている。5月に使い始めた当初は、画面に現れるのは4人だけだったが、1ヵ月ほどして9人が表示されるようになった。その9人も、発言者が優先的に画面に表示される。私の場合には、10人と少しの授業で使っているので、表示人数的には問題ない。問題は、多くの学生が顔出しを拒む事だ。それでは電話による会議と同じことになってしまう。だが、こちらの顔は表示されているし、PowerPoint等の資料も共有できるので、電話会議とは全く違う、教師からの発信という授業はできている。それが、学生の顔出しが少ないせいで、双方向にならないことが残念だ。

オンライン会議システムの普及

2020年のコロナ禍により、授業だけでなく、ビジネスにおいても、オンライン会議が中心になった。このオンライン授業や会議のためのシステムは各社から2019年以前より提供されていたが、あまり使用ユーザーは少なかった。それが、コロナ禍で一挙に広まった。

3月のコロナ禍の開始の時期には、Zoomがずいぶん話題になった。Zoomの使用が急速に伸びて、5月ごろには1ヶ月の延人数で3億人と発表もされている。しかし、セキュリティー上の懸念が浮上して、ビジネスではZoomを使わないと言うような動きが一般化した。

このために当初はZoomが先行したが、各社が様々なシステムを改良、マーケティングを行い、激しい競争になっている。

個人的な使用経験で言えば、先日初めてZoomを使って、ある写真家と写真の話、その後雑談をした。話の内容は、たわいのないものなので、通信の秘匿性など気にならないものだ。使い勝手は、授業でいつも使っているMicrosoft Teamsとあまり変わらず、違和感もなかった。

以前はSkype

個人的に、2019年までに使っていた通信のシステムは、Skypeのビジネス版でこれは海外とのやりとりに頻繁に使用していた。もともとあったSkpeをMicrosoftが買収して、一挙にビジネス使用を加速させた。その頃は、使えたのかもしれないが、文書の共有などを画面上で行わず、単なるテレビ会議として使用していた。それでも、海外出張せずに定期的に顔を見て話せるということで、十分に機能を果たしていた。ただ、それは海外出張をして、会って話すことの代用であって、主な手段ではないという意識があった。

LINEのグループ通話は便利

それ以外では、LINEのグループ通話でこれは映像を使わずに音声のみで通話することが多かった。国内の相手であれば、ほとんどの人がスマホにインストールしているので、グループ通話により即席のオンライン会議ができる。音声だけでも、十分に会議の役割を果たしていたと思う。

これ以外の主要なソフトとしてはGoogle Meetもあるが、これは使用したことがない。 Google MeetではGoogleのドキュメントやスプレッドシート等の共有だけではなくて、その状態で編集が可能だと言うことだ。Googleのドキュメントを使っていないので、私個人的にはこの点には魅力を感じないが、使っているような組織・企業であれば、かなり有力な選択肢になるだろう。

オンライン飲み会は

個人が飲み会などで使うと言うことになると、お手軽なZoomが候補になるが、無料版だと会議の制限時間が40分になってしまうので、飲み会の時間としては少し短い。一旦切って、第二部として開始すると言うような使い方もできるかもしれない。後は、ほとんどの人が使っているLINEだが、こちらは画面に表示されるのがiOS版で4人、Android版で6人、PC版で16人と言う制限がある。この人数制限であれば、大人数の人飲み会としては臨場感に欠けるので選択肢に入らないかもしれない。ビジネスの会議と違って、飲み会は顔や情景が見えたほうが楽しい。

コロナ禍のもたらした唯一の良いこと

20世紀型の会議は、基本的にはface-to-faceで同じ場所に集まって行うもので、そうでないものは会議の代替にならないと信じられてきた。コロナウィルスによってこの考え方は完全に変わった。むしろオンラインによる会議は、移動等の時間的制約が少なく非常に効率的と言う風な考え方が主流となり短い間に一般化された。それよりも驚くのは、パーソナルな目的でもオンライン会議システムを使うと言う事は、コロナ禍がなければ、誰も考えもしなかっただろう。昔からテレビ会議と言うものはあったがそれを個人で使うようなことを考えることすらなかった。

コロナウィルスがもたらした良いことなどほとんどないが、このようなデジタル技術を使って人と話をすると言うようなことが、一般的になった。資源・予算・時間の効率化と言う観点から非常に良いことだ。

ただ少し気になるのは、Microsoftの人の話としてどこかで読んだが、リアルの会議よりもビデオ会議の方が、脳が疲れると言うことがあると言う。個人的には1回90分の授業を行って、対面の授業と比べて疲れたと言う事はあまり感じない。しかし、これは授業と言う性格上回数が少ないからかもしれない。一般の企業であれば、日に何度も会議を行って、そのために脳が疲れると言うことがあるのかもしれない。この点については、システム提供各社が研究して疲れを感じさせないような改善がされていくのだと信じている。

雑草と郵便受け

「ペンキ塗りたて」の世界

学生が、大学に戻ってきて、ゴーストタウンが普通の街になった。教室にもキャンパスにもたくさんの学生が歩いている。

前期の間の寒々とした雰囲気がまるで嘘のように日常が戻った。でも忘れてはならないのは、コロナウィルスは見えない。どこに潜んでいるかもわからない。そういうウィズコロナの時代をこれからも生きていかなければいけない。

学生への注意の中で初めて聞いたのだが、「ペンキ塗りたて」と言う概念だ。家を出たらすべてのものが「ペンキ塗りたて」になっていると思って生活をすると言う事。何かに触ったらそれは「ペンキ塗りたて」で手べったりとペンキがついたと言うことをイメージする。もちろん普段から何にも触らないように生活しているが、やむを得ず何かに触ることはある。そういう時には手にペンキがついたと思って、顔には触らない。顔にペンキがつくからだ。それで手についたペンキを早い機会に洗い落とすことを心がける。手から感染を防ぐ基本だがなかなか実行できない。つい顔を触ってします。

コロナウィルスはエアゾール感染すると言われているが1番確実なのは何かに触ってそれが顔に伝わり口などに入ること。それをわかっているのだがつい忘れてしまう。だから世界が「ペンキ塗りたて」と思って生活をするというのは良い行動の指針だ。イメージし易く、実行を促す。

以下のNHKの「未来スイッチ」と言うサイトで詳しい解説があって非常にわかりやすい。内科医とNHKが開発したそうだが、非常に良い提案だ。

未来スイッチ「新型コロナウイルスを塗りたてペンキに例えてみる」

壁と樹木

対面で後期授業が始まる

私の勤務する大学でも後期の授業が始まった。

基本的には対面授業となり、学生の数の倍の収容人数の教室を使用して行っている。席を一つ空けて座り、座席指定になっている。座席指定になっているのは、感染者が発生した場合に濃厚接触者を追跡できるようにするためだ。

学生も教員も朝晩に体温を測定して37.5度を超える場合には大学には登校してはいけない決まりになっている。授業中も全員マスク着用で、窓も開けられている。今後、冬になっても窓を開けられたままなので、着用する衣服についても指導がされている。

また、受講者が300人を超えるような授業や一限目(9時から)については、オンデマンドがたのオンライン授業となっている。

300人を超えるような人数の講義は倍の収容人数の教室がないからだ。一限目を避けているのは通勤ラッシュと重なり、他の乗客も含めて感染リスクが高ない配慮だ。

オンライン授業がオンデマンドになっているのは、リアルタイムのオンライン授業だとその前後の授業の関係で学内や移動の途中と言うことが発生する可能性があり、学生に不便が発生することや学内でオンライン受講となると、学内のwifiへの負荷が大きいと考えられているからだ。

オンデマンド型だと自宅で好きな時間に受けられる。実際にオンラインの授業になっている授業の数は限られていて、ほとんどの授業が対面になっている。先日報道されていた文部科学省の調査によると、後期授業で全て対面授業の大学が19.3%、対面とオンライン授業の併用が80.1%となっておりほとんどの大学が対面事業を行っていることがわかる。

私の勤務する大学では入学式は中止になったものの新入生のオリエンテーションは十数人程度で大学で行われた。この時が新入生が登校した唯一の機会となっていた。半年で一回だ。後期に入り対面授業が始まるので新入生もようやく大学に足を踏み入れることになる。

オンデマンド型のオンライン事業の良さはあるのだが、大学と言うのは単に学問をするだけのところではない。授業には学生や教員と会話をしたり、議論をすることが欠かせない部分となっている。また大学生活には部活や学生との交流など大事なことがたくさんある。大学と言うところは知識を得たり、研究したり、技能を習得するだけのところではなく、社会性を身に付ける場所でもある。

対面授業が始まってようやく大学らしい教育が始まった。ただ、これも新型コロナウィルス感染症の今後次第だ。今は少し落ち着いているが、これが急激に増加するようなことがあると、またすべてオンラインにと言うことになる。これから冬に向かってコロナウィルスがなくなるわけではないので、感染に注意しながら全員が生活をし、授業を受けることになる。いわゆるウィズコロナの大学生活が始まったわけだ。

壁に猫の絵

リアルとオンラインの大学授業

先週末から急に涼しくなった朝晩は寒い位で散歩の時の着るものも変わった。もう今年の夏も終わってしまった。今年の夏はコロナ禍による自粛とティックトックの騒動と少し遅れたスポーツの開始で今までと今までとは全く違う夏だった。

大学は今週から授業が始まる。

私の勤務する大学では前期の間はすべてオンラインで授業が行われた。オンラインといっても2種類あって事前に録画した授業を学生が好きなときにストリーミングで見るオンデマンド形式とリアルタイムでインターネットを介して会話も出来るような形の授業がある。後者はどちらかと言うと少人数で講義と言うよりはゼミのような形で行われる形式の授業で用いられた。

後期は、基本的には対面授業だが、大人数の講義形式の授業に関しては前期と同様にオンデマンドの授業が再び採用される。もちろん理由としてはコロナウィルスの感染を避けるためだ。しかし授業の形式によっては講義内容を学生がよく理解するためにはオンデマンドで途中で止めて資料を参照したりして学ぶ形式は決して劣っていないと言うことがわかったからでもある。日経で早稲田大学の田中総長がインタビューに答えているが学生が1人でよく考える授業にはオンラインが向いていると考えているようだ。

「オンライン授業は、1人でよくよく考える『熟慮』に向いている。ただ、熟慮で導き出せる表面的な結論を乗り越えるには、対面を通して誰かとじっくり議論をする『熟議』が必要。それこそが対面の価値で、教員が質問にも答えず教室から去ってしまうなら、対面の意味はない。それはポストコロナの時代でも大事な考え方になるはずだ」

日本経済新聞 早稲田大学 田中総長インタビュー

新型コロナウィルス感染症による新しい生活様式は大学教育だけではなくすべての生活仕事をこれから変えていく。人と人の接触がリスクを高くすると言う事は今後も変わらないし、移動によるリスクも考慮しなければならない。

大学教育においてリアルな対面授業とオンライン授業が両方が使われるようになるのは、コロナ禍がきっかけだが教育と言う目的を考えるとオンラインが取り入れられたと言う事は決して悪いことではなかったと思う。

田中総長が答えているようにオンラインだけでは大学の機能は果たせない。田中総長の発言では1人で学んで熟慮し、その上で熟議を教員と行うと言うことをおっしゃっているが、その両方がなければ教育と言う目的は機能しない。

同様にこれを仕事に当てはめると、オンラインで行うこととリアルで行う事を切り分けて、収束後においてもオンラインで行う事は続けるべきだろう。

よくある会議で情報共有や伝達のための目的であればオンラインで充分であろうし、顔を合わせて議論をして結論を出すような会議はオンラインでも行えるが対面で行う方が良い場合もある。会議の参加者についても人によってはオンラインでその会議に参加できれば良い。

今回のコロナ禍のリモートワーク・オンライン会議の経験でそういうことが一般的に行われるようになれば効率は上がる。

これは不動産業界や旅行旅行業界に大きな影響を与えると想像されるが、オンラインでできる事はオンラインで済ますと言うような行動様式が生まれるべきだと思う。

このことにより普段の生活は大きく変わる。通勤をあまり考慮せず出張も減らせるとすれば時間の余裕が生まれ生活や個人の時間は豊かになる。今回のコロナ禍の危機にあって新しいものが生まれるとすればそのような考え方だ。合理的にオンラインでできるものはオンラインで済ませる。

実際にオンラインショッピングと言うのはすでにコロナ禍の前から買い物行動の重要な方法になっていたわけなのでこの傾向はますます進み、流通業界は対応迫られるし対応できない企業は存在できなくなる。セブンイレブンは配送に力を入れると言う発表している。

飲食業界も出前やレトルト等での販売を重要視するようになる。

与えられた環境の中で最善の方法を考えていくべきだ。英語の諺に「人生がレモンを与えられればレモンネードを作れば良い」と言うことがあるが、これはレモンと言う言葉に不良品という意味が含まれているので、その状況から最善のものを考えると言うことだ。 この諺のようにウィズコロナの時代を生きていくしかない。今週から始まる後期の授業も対面とリアルの良さを生かしたような授業と教育を心がけたい。