金曜日, 5月 27, 2022
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Androidのプライバシーポリシーの変更

今月初めに、Meta(旧Facebook)の株価は、決算発表を受けて26%も急落、時価総額を一時2400億ドル(約27兆円)を失った。この時価総額の損失分だけで、トヨタの時価総額に匹敵する。

この理由とされたのが、2021年の広告事業の収益悪化だ。CEOのマーク・ザッカーバーグは、Appleのプライバシーポリシーの変更で、失った広告収益は100億ドル(約1兆1000億円)に上ると発言している。この発言により、広告収入に依存している、 Metaの将来性に対して懸念が高まったことが、株価急落の原因の1つである。

もう一つの理由は、新聞などが書いているのは、メタバースへの巨額の投資に対して、株主が実現可能性について不安を覚えたのではないかということだ。こちらについては、今日の主題ではない。メタバースについては、もう少し考える必要があると感じている。

今日は、広告事業について考えてみたい。インターネットの広告においては、スマホやPCのユーザの行動を追跡して、データを蓄積して、そのデータに基づいて広告を特定のターゲットに向けて配信できる。つまり、インターネット上の行動履歴のデータから、そのユーザの興味・関心・購買意図がはっきりとわかるからだ。このために、インターネット広告は、効果・効率が良いことが成長の要因となってきた。また同時にユーザの行動を追跡しているために、広告を配信したターゲットのユーザが実際に商品を購入したかどうかも知ることができ、広告の効果を高い精度で測定することができる。だから、広告配信の結果を分析することによって、より確度の高いユーザを知ることができ、さらに高い効果を持つ広告キャンペーンを実施することができる。

これが、できるのは、ブラウザの第三者クッキーやスマホのトラッキングIDといった技術だ。インターネット広告は、これらの技術によって成り立っている。

Appleは、第三者クッキーをすでにサポートしていない。そして、2021年に、iPhoneのプライバシーポリシーを変更した。この変更は、広告主がユーザのインターネット上での行動履歴を追跡することを、ユーザが事前に許可をすることを必要とするものだった。この変更により、70から80%のユーザが追跡をブロックすることを選択したと言われている。この結果、AppleのiPhone使用者のインターネット上での行動履歴が追跡できず、このため広告の効率が著しく低下したと言われる。その結果が、Metaの広告収入の損失100億ドルと言うことだ。これはMetaだけの広告収入損失だけであるので、すべてのメディアをの損失を考えると莫大なものであろう。

このようなことが出来るのも、Appleは広告収入をビジネスとしていないからだ。基本的にはiPhoneやPCのハードウェアの事業を行っている。その上で取引されるアプリやコンテンツの販売に関する手数料を得ているだけだ。

一方、スマートフォンの、大部分を占めるAndroidのOSを持つGoogleは、広告収入を事業の中心に据えている。Googleも一部Androidのスマホのハードウエアを販売しているが、市場にあるほとんど全てのAndroidのスマホは、Googleからライセンスを受けて製造するスマホ製造事業者のものだ。このため、Googleのユーザの追跡に関しては、Appleとは大きく違う。

Googleは、ユーザのプライバシー保護のため、第3者クッキーのサポートを2023年中に停止することをすでに発表している。そして、その後の広告配信のためのユーザの追跡を、個人のプライバシーに配慮して、個人を特定しないグループで行う計画をすでに発表済みだ。

Googleは、今週Androidのデータ共有に関する方針を発表した。2年程度をめどに、ユーザのプライバシー保護のための変更を行うとしている。つまり今後2年間は、既存のトラッキングIDで、ユーザの行動を追跡できる。

この2年間については、Googleの発言によればすでに、Androidの設定からトラッキングIDを無効にする方法が提供されているそうだ。個人的にはAndroidを使用していないので実際どのような仕組みになっているかよくわからない。

2年先に向けては、ユーザと言うより主に広告主に対しての発言だが、既に発表している第3者クッキー廃止後の広告配信の仕組みと同様に、Androidでも、新しいシステムを導入することを計画しており、そのテスト版を2022年中にはリースする予定だと言う。

当然のことながら、Googleが取り組む新しい広告配信のシステムは、個人を特定せず行うために、そのターゲティングの精度はかなり落ちることが予想される。このために、広告の効率に大きな影響が出て、広告主は他の方法を考えざるを得ない。それがインターネット広告の減少につながる可能性がある。

そのような事態になった場合には、広告収入で成り立っているメディアは、やはり対応して他の収益の道を考えなければいけないかもしれない。1つの方向は課金モデルであり、もう一つの方向は、今はネイティブ広告と呼ばれているような、アナログの広告時代の編集タイアップ的な広告手法を取り入れることだ。この方法は、広告主から依頼を受けて、記事の形をとった広告を製作して、その商品に関心を持つユーザを惹きつけることができる。

今回のGoogleの2年後のプライバシー変更の発表を受けて、2024年はインターネット広告の大きな変化の年になると考えられる。

Shogohttps://leicaleica.jp
大学教授 研究テーマは、メディア、マーケティング、サブカル。趣味は、写真、海外テレビドラマ、ミステリ、写真。流行っていないもの限定の嗅覚で生きています。
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