金曜日, 5月 27, 2022
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IT企業のコンテンツ戦略

アメリカの株価は、ウクライナ情勢がアメリカ経済に大きな影響与えないと言う判断が広がり、安定していたものの、FRBの金融引き締めの結果、株価は4月末に大きく値を下げた。日本の株価も、円安なども影響しているが、引きずられるように下落を続けている。

そんな中で、IT企業各社も第1四半期の決算発表している。ITセクターは、概ね株価を下げた。ブルームバーグは、FRBの利上げにより「IT企業全体で1兆8000億ドルの時価総額が消失」と言う記事を出していた。

特徴的なのはやはり、新型コロナウィルス感染症のパンデミックにより、特需景気に沸いた企業が、その時価総額を大きく失ったことだ。代表例はNetflix、 PayPal、Peloton、Zoom、DocuSignだ。これらの企業は、リモートワークやステイホームに対応して、市場から注目を浴びて高い株価をつけていた。しかし、パンデミックの収束が見えてきた今、高値から60%以上の価値を失っている。

過度な金融緩和の終了、サプライチェーンの停滞、ロシアの侵略から始まる世界的な政治経済の不安感などが市場に大きな影響与えている。この状況の中で巨大IT企業は、コンテンツ投資に舵を切っている。

大手IT企業の中でもMicrosoftは、決算は市場の期待に答えている。2022年1月から3月期の決算では売上高は前年同期比18 %増の494億ドル、純利益は8 %増の167億ドルだった。特にAzureやTeamsのクラウドサービスが好調で、Azureが総収入の39%を占めている。そんな中、Xboxのゲーム部門は成長を続けているが、Microsoftの中のセグメントでは最も動きの鈍い分野である。

そのテコ入れのためか、コンテンツ制作スタジオのアクティビジョン・ブリザードを690億ドルで買収し、ゲームのコンテンツの拡充を図っている。Xboxのハードウェアを売るだけではなく、Microsoftの狙っているのはゲームの定額制のクラウドサービスだ。月額10ドルまたは15ドルのGame Passは現時点で2,500万人の加入者がいる。これにアクティビジョン・ブリザードのコンテンツが加われば、加入者を一気に押し上げることができる。

アクティビジョン・ブリザードの買収はまだ完了していないため、アクティビジョン・ブリザードのコンテンツがGame Passにいつ含まれるか、あるいはどのようにそのコンテンツを活用するのかは現時点ではまだわかっていない。ただし確実にMicrosoftのゲームにおけるコンテンツ戦略の重要な駒になるであろう。

コンテンツに活路を見出そうとしているのはMicrosoftだけではない。Spotifyは3月にFCバルセロナの主要スポンサーとなることを発表した。ユニフォームの胸スポンサーとチーム本拠地のカンプ・ノウのネーミングライツである。この契約金は3億600万ドルと報道されている。

Spotifyの有料会員数は1億8200万人で、前年比15%伸びた。今後FCバルセロナとの協業により、これが伸ばせるかだ。Spotifyは、すでにスポーツコンテンツに力を注ぎ始めている。2020年に元スポーツライターのビル・シモンズのスポーツ中心の番組「ザ・リンガー」とそのpodcastを1億5000万ドルで買収済みだ。ここを拠点にしてスポーツのコンテンツを拡充して、音楽以外での成長目指す戦略のようだ。

Amazonはすでに何度も報道されているように、NFLの「Thursday Night Football」を10年契約・10億ドルで獲得しているし、フランスサッカーリーグのリーグ・アンとリーグ・ドゥを年間2億9000万ドルで3年間の契約済みだ。またAmazonは、SkyとBTスポーツとの共同で、2025年まで、アメリカ国内での英プレミアリーグの放送権を70億ドルで獲得済みである。ここでもAmazonの戦略は明確である。強いコンテンツを手に入れて、それによりAmazon Primeの会員の獲得である。

コンテンツの分野で出遅れている感のあるAppleも、スポーツ放送権の獲得に力を入れ始めている。MLBと8,500万ドルの契約を結んで、Apple TV+で4月よりMLBの配信を開始した。そして今噂されているのはNFLの「Sunday Ticket」を年間25億ドルで獲得することだ。NFLの「Sunday Ticket」の獲得は、Apple TV+をアメリカ国内では一気にメジャーな配信サービスに変えることができる。キャッシュ・リッチのAppleとって年間25億ドルは大した資金ではないため、この取引の実現の可能性は高いと思われる。映像配信で出遅れているAppleが一気に挽回できるかどうかしばらく注目だ

スポーツなどのコンテンツが、IT企業にとって重要な戦略投資先になっている。その意味でスポーツコンテンツの価格の高騰はもうしばらく続きそうだ。

Shogohttps://leicaleica.jp
大学教授 研究テーマは、メディア、マーケティング、サブカル。趣味は、写真、海外テレビドラマ、ミステリ、写真。流行っていないもの限定の嗅覚で生きています。
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