金曜日, 5月 27, 2022
ホームスポーツABEMAが、FIFA W杯放送権獲得

ABEMAが、FIFA W杯放送権獲得

今年11月に迫っているFIFAワールドカップ・カタール大会の放送権をインターネット放送局ABEMAが獲得したことを、スポニチだけが報じている。他のメディアは後追いしておらず、真偽は現時点で不明だ。

今年の大会の放送権は、今までと同じように電通がFIFAと契約済で、電通がNHKと民放キー局からなるジャパンコンソーシアムと交渉行ってきている。だが、金額面で折り合いがつかなかったようだ。スポニチの記事によれば、当初200億円を提示され、NHKが半額を負担し、残りを民放各社で分担する構造に、昨今のテレビ広告費の減少を受けて、民放キー局の承認が得られなかった模様。テレビ東京は、すでにFIFAワールドカップの放送から撤退しているため、残りの4社で100億円の負担、つまり一社25億円負担には耐えられなかった。

NHKも全体的なコスト削減の方針の中で、特にスポーツ放送権については見直しの最中で、100億円を超えての負担金額の増額については応じなかったとみられる。

この結果、ABEMAが電通から購入することを決め、その金額は180億円だとスポニチの記事は伝えている。ジャパンコンソーシアムとの交渉不調にを受けて、電通は、インターネット事業各社にセールスをかけたのだろう。サッカーと言うコンテンツであれば電通とも関係の深いDAZNが真っ先に思い浮かぶが、値上げを行うなどしてキャッシュフロー改善に努めようとしているDAZNには、もはや追加投資の余裕がなかったのかもしれない。その結果、ABEMAが、と言うよりも、サイバーエージェントが引き受けることになったのかもしれない。

ABEMAがこのワールドカップの放送権をどのように活用するのかまだわからない。2002年の日韓大会の時に放送権を獲得したスカパーは、全試合無料で放送して、アンテナやチューナーの設置を促進すると言う目的があった。ABEMAはそのような特殊な機器を必要としないために、同じような発想ではないと思う。可能性としては、無料会員登録による視聴習慣の獲得なのだろうか。

スポニチの記事では、「地上波での日本戦はABEMAと資本関係にあるテレビ朝日、NHK、フジテレビで放送。日本戦以外はNHKがBSを含めて放送する方向で話が進んでいる」とある。ABEMAが180億で購入した後、NHKと民放キー局2社にサブライセンスするものと思われる。NHKが当初の予定通りに100億負担するとすれば、民放キー局2社もある程度の金額を支払うために、ABEMAが最終的に負担するのは数十億円にとどまるのではないだろうか。

想像だが、その様な負担の仕組みを作って、NHKとテレビ朝日、フジテレビの合意を得た上で、不足分についての負担金額とABEMA側のメリットを作った上で、サイバーエージェントに話を持ち込んだのではないだろうか。これは、勝手な推測なので全く裏はとっていない。

この記事からは、日テレとTBSが落ちている点も気に掛かる。単純な記載漏れか、スポニチが取材して裏が取れているのだろうか。

今回の話から、2つのポイントが浮かび上がる。テレビ放送と巨大スポーツイベントの相乗効果の神話の終焉とテレビ時代の終焉の2つだ。

オリンピックにしても、FIFAワールドカップにしても放送権は高騰を続けてきた。1998年のフランス大会の際にNHKが支払った金額は、5億5000万だったとされている。しかしその時点までのFIFAのビジネスモデルは、今とは違っていた。放送権を格安にして、世界各国の公共放送に販売し、そのテレビに映る看板の価値を高めて、スポンサーシップで儲ける仕組みだった。それが変わったのは、その次の日韓大会だ。この時点から、世界各国の公共放送への放送権の販売を止め、IOCと同じように入札によって販売する方式に変えた。これにより劇的にFIFAワールドカップの放送権は高騰した。

その後も同じ仕組みで、入札を続けたことから、日本の放送権も上昇を続け、様々なメディアの放送では、ロシア大会で600億円と言う金額も出ているが、それはあくまでも噂に過ぎない。実際はそこまで達していないものと思われる。ただ今回の記事で報じられている今年のカタール大会について200億円は現実に近い数字なのではないだろうか。サッカーのワールドカップやオリンピックのようなメガスポーツイベントは、テレビ向けのコンテンツと言うこともあり放送権が高騰を続けてきたが、もはやその限界まで達したと言うことだ。

もう一つのテレビ時代の終焉は、明確にテレビ広告費の減少で示されている。2019年には、インターネット広告が、テレビ広告を追い越し、2020年にはテレビ広告を含めたマスコミ4媒体の広告費全体を上回った。つまり広告を前提としたテレビを含めたマスメディアは衰退期に入ったと言える。現実に、スポーツイベントを含めて様々なコンテンツを、インターネット配信企業が獲得することが、世界的に普通になってきている。単純にテレビには、もはやその体力は残っていないと言うことなのだ。

今回のニュースについては、現時点ではスポニチのニュースだけで、関係者の電通ABEMAなど誰も正式なコメントを出していない状況なので、もう少し確認には時間がかかりそうだ。

Shogohttps://leicaleica.jp
大学教授 研究テーマは、メディア、マーケティング、サブカル。趣味は、写真、海外テレビドラマ、ミステリ、写真。流行っていないもの限定の嗅覚で生きています。
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