狂気と驚異の構成:Mr.Robot

テレビをほとんど見ないが、アマゾンのPrime Videoで海外ドラマよく見ている。それも、映画ではなくて海外テレビドラマが好きだ。映画より圧倒的にじかんが長いから、ストーリー展開が複雑で人物像も深く描かれるからだ。でも、次々と見たくなる連続ドラマ避けたいのだが、面白そうなものが多く、ついハマってしまって一日に何回分も見てしまう。できれば1話完結型のもので、連続の要素が少ないものが望ましいのだが、一話完結にしても興味をつなぐ縦糸として連続的な要素が入ってくることが多い。手法として、クリフハンガーよ呼ばれ、宙吊りのように次回につなぐためだが、これがいけない。狙いどおり次がみたくなってしまう。

あらすじ(ネタバレなし)

最近のものでどうしても続きがみたくて、1日に何回分も見てしまったシリーズに、「ミスター・ロボット」がある。最近人気のラミ・マレックの主演するもので、主人公のエリオットはニューヨークに住む天才ハッカーだ。彼は神経症を病んでおり、様々な症状に悩んでいる。それをコントロールするために適度にドラッグを使い、同時に回復のための薬を服用して、中毒の悪化を防いでいる。天才ハッカーなので周辺の人の個人情報をハッキングで手に入れてデータを保存している悪趣味な男だ。

そのエリオットが、ドラマの中ではEコープと言う巨大企業とダーク・アーミーと言う謎の組織との戦いに巻き込まれていくストーリーだ。地下鉄で、Eコープとダークアーミーが企む陰謀を食い止めようとするハッカーグループに参加するように求められる。驚いたことにそのグループを率いているのは、彼が幼い頃に死んだはずの父親だった。エリオットは様々な出来事に対応しながら巨大企業と悪の組織を追い込んでいく。と同時に彼自身の神経症も悪化して何をしているのかわからい状況まで追い込まれる。

ドラマはよくあるような陰謀もののストーリーなのだが、登場する人物の造形やスピーディーな展開と複雑な構成で目を離せなくなる。特にハッカーグループのメンバー、ダレーンやエリオットを追うFBI捜査官のドミニクが良い。

ネタバレになるので、これ以上書けないが、見ていてその緊張感や途中で訪れるちゃぶ台返しに驚くことになる。

ラミ・マレック

主役のエリオット演じるマレックは、今や最も注目される役者だろう。2018年のBohemian Rhapsodyのフレディー・マーキュリーの役は圧巻だったし、2021年に公開が延期されたジェームス・ボンドのNo Time To Die の悪役でさらに注目を集めるはずだ。

ミスターロボットのエリオットの危うさと凄さを演じているのを見ると、彼の才能の豊かさに驚かされる。エジプト系のアメリカ人と言うことなのだが、その独特の風貌はナイトミュージアムに出ていた頃から見覚えがある。エジプト王の役だったがそれはその風貌で採用されたのだろう。プロデューサーでこのシリーズの創造者で脚本家であるサム・エスメルもやはりエジプト系のアメリカ人である。ただし、このドラマでは、エスメルにしてもマレックにしてもエジプト系であるかどうかはあまり関係がない。どちらも才能豊かというだけだ。エスメルが、マレックを主役に採用にあたって、エジプト系かどうかを考慮したかどうかは知りたいものだ。

彼のモノローグが中心になって話が進むが、この声のゆっくりとしたトーンが展開の基調になって、画面とアンバランスな感じが緊張感を高める。

カーリー・チャイキン

Fソサエティの中心人物で、ウイルス・コードなども書くプログラマーのダリーンを演じる。物語の中で重要な役割を果たす。この女優は、今までに見たことはなかった。

途中まで展開がよく分からないのだが、だんだんと彼女の重要性が分かってくる。これ以上はネタバレになるので書けない。そして、彼女が大きな仕掛けを繰り出して、敵を倒してゆく様はなぜか爽快感を感じる。

細かなこだわりが面白い

このドラマの各回のタイトルは、ビデオファイルの拡張子が付いていたり、暗号ファイルの拡張子が付いていたり、インターネット上でのエラーコードのような名前が付いていたりして面白い。ハッカーの物語だから、そこもシャレにしているということか。

ドラマに登場するEコープのロゴをどこかで見たような気がしていたら、エンロンだった。エンロンも史上最大の粉飾決算を行った企業として歴史に名前をとどめているが、そのロゴを使うと言うのもEコープの素性を最初から提示しているのか面白いアイディアだ。

このドラマはニューヨークで撮影されているので、見覚えあるようなところが時々出てくるが、1番印象的なのはEコープの本社ビルの外観で、よく前をとっていた57丁目とレキシントンの交差点にあるビルが使われている。

それから、もう一つ好きなのは、このミスターロボットのタイトルのロゴだが、セガが作っていたフォントだ。セガの会社のロゴやソニック・ザ・ヘッジホックのロゴにも使われていた。

面白いといえば、ハッカー・グループのFソサエティがマスクとして使っているのがモノポリーのおじさんのキャラクターでこれがほのぼのしていて良い味が出ている。

細かいところまで作りこまれていて面白かったが、残念なのはシーズン4の展開が予想通りでもう少し驚かせてほしかった。若干のマイナスでも、好きなドラマということに変わりはない。