渡部さとる「銀の粒」@ギャラリー冬青

ギャラリー冬青まで、渡部さとるさんの「銀の粒」というタイトルの展示を見に行ってきた。

ギャラリー冬青のある新中野は、自宅から電車で不便なところにあるので自転車で行った。コロナウィルスの緊急事態宣言が出ているので、自転車に乗り電車に乗りたくないと言う理由も少しはある。

渡部さとるさんの「銀の粒」展示は、1月8日から始まっているのだが、すぐに出かけようと思ったが、緊急事態宣言が出ていたので、行っていなかった。しかし会期も1月30日までと終わりが近づいてきたので、ようやく足を運んだ。

ギャラリー冬青が、今年いっぱいで事業を終了するそうだ。毎年1月に行われてきた渡部さんの展示も、ギャラリー冬青では今回が最後になる。

「銀の粒」と題されて、フィルム写真感が前面に出ているタイトル。撮り下ろしではなく、今までの渡部さんの作品から選ばれたものが展示されていると言うことだった。だから、展示されている作品の中には、今までにも拝見した作品や、全く同じカットではないが他のシリーズに入っていたものと思われる作品が何点かあった。今までの展示と違うのは、スクエア・フォーマットではないと言うことだ。主に縦長で、何点かは横長の作品になっている。

これについては、渡部さん自身がYouTubeのチャネルの中で説明されているが、写真そのものはスクエア・フォーマットだが、ブックマットで、その枠を出していると言うことだった。つまり、作品の1部しか見せていないのだ。

個人的には、何点かの写真は、スクエアのフォーマットで見たいと言うものがあったので、ちょっと残念な気がした。

渡部さんの作品を、一軒家で雰囲気が良いギャラリー冬青で見るのも今回が最後かと思うとちょっと寂しい気がした。しかし、ご本人がYouTubeチャンネルの中でおっしゃっているように、固定の場所ではなく移動式の展示スペースを検討されていると言うことなので、来年以降も作品展を期待したいと思う。

渡部さんを知ったのは、北京にいるときにブログを読んだからだ。それで「感度分の16」と言う言葉に反応して、「旅するカメラ」のシリーズの何冊か著書を読んで、モノクロフィルムの世界に関心を持った。北京から帰国して、渡部さんが当時行っていた「ワークショップ2B」に参加しようとしたら、非常に人気が高くて、最初の年には入れなかった。そして再チャレンジして、晴れて「ワークショップ2B」に参加できたのは、2010年のことだった。

「ワークショップ2B」で、フィルム写真のこと、暗室作業だけではなく、写真史・美術史について学んだ。渡部さんは、アートのありかたや捉え方について造詣が深いので、お話を伺うのは、本当に楽しかった。

「ワークショップ2B」では受講後にグループ展を行うことになっていて、それにも参加した。それが、東日本大震災が起こった直後の2011年3月だった。余震や放射能の恐怖に怯えながら、会場の渋谷の「ルデコ」に行ったことを思い出す。

昨日も、渡部さんとモノクロフィルムの値上げやフィルムカメラの今後について話した。フィルムには厳しい状況になってきた。まだまだ家の防湿庫には、使っていないフィルムカメラが何台もあるのだが、昨年1年でフィルムを使ったのはリスボンに旅行に行った時だけだ。それ以外は全てデジタルカメラを使っていた。

それ以上に、もう何年も使っていないカメラがあるので、昨日も話にでた新宿のキタムラに売りに行こうかと思った。ライカの35mmのフィルムカメラは、M3、M4、M5、M6とCLがあるが、M5とCLはほぼ使ったこともない。防湿庫のスペースを空けるためにも、もう手放す時期かもしれない。

渡部さんの「銀の粒」の作品を見て、今年はもう少しフィルムを使おうかと考えながら帰ってきた。モノクロフィルムは、今年から値上がりしたが、家の冷凍庫には前に買ったフィルムがまだかなり残っている。問題は、環境問題に対応するために、自宅でのフィルム現像やプリントをやめてしまったことだ。渡部さんによれば、廃液の回収も今まで行っていた会社が止めてしまったので、今はできなくなっていると言うことだ。そうすると自宅では、現像液などは使えない。フィルムの値上げだけではなくて、他にもフィルムを使っていくためには解決していかなければいけないことが多い。